手をつける機会をなんとなく逸してきた円城氏の作品、芥川賞受賞記念みたいになってしまったが(笑)やっと読んだ。といっても既に「超弦領域」で短編1本は読んでいたのだが、それで残っていたおぼろげなイメージのままで読んでみたらそれとはちょっと違った。あれに載っていた作品は、大枠の印象としては普通に(内容が普通かどうかは別)SFだったので。
「人が降る町」というのも突飛ならば、バットを持ったレスキュー・チームというのも人を食った話である。「野球ではない」と何度も言いながら、タイトルは「オブ・ザ・ベースボール」。その「of」ってどういうこと? ってーのが実は最後まできっちり理解できなかったんだけど(笑)。
人が降ることの謎に対するさまざまの憶測や研究やファウルズというの町のどうしようもなく何もない日常が淡々と語られつつ、物語は進むようで進まない。そう思った時点で既に、読んでるこっちはファウルズの住人になってしまったようなものなのかも。
レスキュー・チームの一員たる主人公がついに目撃した「降ってくる人間」が遺していった、少しだけその正体を垣間見せるものからすると、「ええと、表題作は結局のところくくりとしてはSFに入れてもいいのかな?」などとちょっと思ったが、まあジャンルなどはこの際いっそどうでもいい。無限ループの言葉遊びみたいな文体は、意外と癖になる。解決したようでしてないのかもしれない謎も、実は無限ループなのかもしれない。
同録の「つぎの著者につづく」は、一転して難解というか、読み慣れない哲学書を読んでるような気分になる。「薔薇の名前」も、カフカもちゃんと読んでないなーと註を参照しつつ思いながら読み進んで、ドツボにはまる。
この作品そのものに、読者が何らかの意味を見い出す必要があるのかないのかもわからない。っていうか、私自身は意味なんぞ考えなくてもいいんじゃないかと思っている。でも、そう思いながらも、ここに何が書いてあるのかは理解したいと思ってしまうのだ。これもまた、「癖になってる」ということなのだろう。つまり、すっかり円城氏にしてやられたってことなのだろう。
「人が降る町」というのも突飛ならば、バットを持ったレスキュー・チームというのも人を食った話である。「野球ではない」と何度も言いながら、タイトルは「オブ・ザ・ベースボール」。その「of」ってどういうこと? ってーのが実は最後まできっちり理解できなかったんだけど(笑)。
人が降ることの謎に対するさまざまの憶測や研究やファウルズというの町のどうしようもなく何もない日常が淡々と語られつつ、物語は進むようで進まない。そう思った時点で既に、読んでるこっちはファウルズの住人になってしまったようなものなのかも。
レスキュー・チームの一員たる主人公がついに目撃した「降ってくる人間」が遺していった、少しだけその正体を垣間見せるものからすると、「ええと、表題作は結局のところくくりとしてはSFに入れてもいいのかな?」などとちょっと思ったが、まあジャンルなどはこの際いっそどうでもいい。無限ループの言葉遊びみたいな文体は、意外と癖になる。解決したようでしてないのかもしれない謎も、実は無限ループなのかもしれない。
同録の「つぎの著者につづく」は、一転して難解というか、読み慣れない哲学書を読んでるような気分になる。「薔薇の名前」も、カフカもちゃんと読んでないなーと註を参照しつつ思いながら読み進んで、ドツボにはまる。
この作品そのものに、読者が何らかの意味を見い出す必要があるのかないのかもわからない。っていうか、私自身は意味なんぞ考えなくてもいいんじゃないかと思っている。でも、そう思いながらも、ここに何が書いてあるのかは理解したいと思ってしまうのだ。これもまた、「癖になってる」ということなのだろう。つまり、すっかり円城氏にしてやられたってことなのだろう。