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或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

今ごろやっと「照柿」

2005-08-18 23:38:29 | 【書物】1点集中型
 言わずと知れた、村薫氏の合田雄一郎3部作その2。実は、「マークスの山」も読んだのは文庫におりてからなので、どっちにしても今さらなのだが。
 たまたま、会社の人が「照柿」ハードカバーを会社の本棚に置いていたので、「おお!」と思って飛びついたのであった。で、このでかい本を見て初めて気がついたのだが……ずっと普通の「高」だと思いこんでいたが、よくよく見たら「」だった。すいません。←注意力散漫すぎ

 「マークスの山」はどっちかってーと雄一郎より水沢の比重の方が高かった気がするけど、今回は雄一郎の内面の比重が「マークスの山」より高かった(ように見えた)ので、個人的には合田雄一郎という人物には非常に興味があったからけっこう満足。終わり方も村作品らしかったし……こうなると早く「レディ・ジョーカー」が読みたいものですが(笑)←買えよ。←でも、ハードカバーを買う気はないらしい。←ケチ。そして本棚も空いてない
 そういや、「マークスの山」では雄一郎が常に「合田」と書かれてあったんだよね、確か。それが「照柿」では「雄一郎」になってたのがまた、印象の違いを生んでいるのかも。まあ「マークスの山」も文庫化にあたっては「全面改稿」だったらしいので、ほんとはハードカバーも読んでおきたいとこなんだけどね。どう変わってるのか見てみたいし。

 とにかく、個人的には、雄一郎の恋が……いや、恋と呼べるのかどうか、それがああいう形で終わるとわからない。人間の感情とは一体何であるのか、他者と交わるということはどういうことなのか、うーん、言葉にはなかなかしづらいんだけど、「雄一郎」から感じるものはものすごくあった。「窓のない家に住んでいる」って表現には、正直、目から鱗。
 なのでやっぱり早く「レディ・ジョーカー」が読みたい。←しつこいっていうか、本当に何を今さら。って感じ。'97年の本なのに(笑)。
 でもやっぱり蔵書にするなら文庫というか……文庫の方が、手軽に持ち歩いて読めるので再読するのも楽なんだよなー。私はどうしても、気に入ったものを繰り返し読んで咀嚼し直すタイプみたいなので。

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