life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「ときどき意味もなくずんずん歩く」(著:宮田 珠己)

2011-03-17 23:50:57 | 【書物】1点集中型

 こんな時だけど読む。いつ読めなくなるかわからないから読む。もしかしたら何か辛いときに思い出し笑いとかできるかもしれないし、誰かに話したら和むかもしれないし、とかいうネタを仕入れるつもりで。
 ……というのは後づけの理由なんだけど(おい)、でもやっぱりいつ読めなくなるかわからないから読む。これは事実。

 宮田氏のエッセイを読むのは2作目だが、解説・高野秀行氏の「何が面白いのか、なかなか言葉で説明できない」という言葉がほんとに的を射てると思う。確かに、個々の話はものすごい突飛なものばかりというわけではないのだ。いや突飛な話も当然あるし、単純にネタとして面白い話も多いんだけど、やっぱり言葉の使い方がいちばん面白いような気がする。組み合わせ方というか、ひとつの文の中であっちこっちに引っ張りまわされてオチにすとんとおさまるこの感じ、これがけっこう快感になるのである。中毒性高し。「ふざけてはいけない。」の一言がなんだかとてもツボに入ってしまって、自分の中で流行語にしたいくらいである。←本気か?←わりと。
 この本にはたまたま、東海村の例の再処理工場を、あの放射能漏れ事故の起こったその日にそれとは知らず取材に訪れていたというエピソードがあり(もちろんご本人に異常はなかった)、おいおいなんでこのタイミングでこの話を読んじゃったんだよ私、とか思ったりもしたのであるが読んでしまったものは仕方がないので、とりあえずどういうことをやってる施設なのか垣間見られたのは悪くなかったと思う。とかいう当たり障りのない感想を述べておく(いやこれはこれで本当の感想なんだけど)。

 あと「ディープうどんインパクト」の「グルメはもともと食べるのが好きだから、食べてるだけでうれしいのであり、どうしたって食べものに甘い。」というお言葉にはなんだか妙に納得したのでありました。うん。ちょっとおいしいだけでもお金出したと思ったらなんか点が甘くなるかもっとか思っちゃうからね。とか言いつつも、食いたいから食っている私にも「まずいもの食うぐらいなら何も食わないという分別」は、ないわけじゃない。だってお金出したのにまずかったら悲しいから(笑)。
 って何の話だ。私の話じゃなくて本の話をしてるんだけど。まあとにかく、タマキングの本は文句なしに笑えるのでご一読されたい。面白さが実際説明しにくいから。←結局そこなの?

 しかし、タマキングin東海村(そんなタイトルではない。正しくは「原子炉の中で散歩」)もそうだが、津波で「深海のYrr」を思い出したり原発事故で「神の火」を思い出したりして、どんな表現だったか確かめたくて読み返したくなった。そしたら「深海のYrr」は手許にないからともかくとしても、「神の火」は上下巻だった。蓋を開けるまでが長いじゃないか……(なので今は手をつけていない)



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