湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆シマノフスキ:交響曲第4番(交響的協奏曲)~Ⅰ、Ⅱ

2017年12月15日 | 北欧・東欧
○作曲家(P)フィテルベルク指揮デンマーク国立放送交響楽団(POLSKIE RADIO)1933/1/19live・CD

ポーランドの国民的作曲家シマノフスキ晩年の平易でカッコイイ名作である。ルービンシュタインのレパートリーだったことで知られるが、作曲家自作自演によるこの盤は一部がLP(SP)化されてはいたものの楽章全体として復刻されたのは今回が初めてである(3楽章は残念ながら残っていない模様)。ポーランド放送のCDとして作成されたこの盤はコルドによる交響曲全集のおまけとして付けられた歴史的録音であるが、一緒に入っているマズルカ2曲とインタビュー2片はMUZAから出ていたLPボックスの付録EP収録のものと同じである。

やはり全体を聴かないとわからないところが多いのだなあと思わせた。作曲家の指の弱さ、衰えを感じさせた断片はしかし全体像を捉え切れておらず、何より録音状態が極度に悪いため音響バランスが崩れていたがゆえの印象にすぎなかったのだなあと。ここで通して聴く限り作曲家は非常にニュアンスに富んだ(作曲家にしかなしえないであろう)細かい表現を施しており、舞踏リズムを明確に打ち出してこの曲が抽象音楽ではなく民族音楽であることを強く意識させるところが後発の演奏にみられない大きな特徴である。といっても硬質な響きが目立つ楽曲でありその点を意識しコントラストを付けてもいて(だから録音の問題で不協和なハーモニーの繊細なバランスが崩れて聞こえ、衰えに思えたのだ)、テンポも意外と速いまま維持されていく。ロマンティックなぐずぐず感は皆無である。演奏は熱気はそれほどないし専門ピアニストほどの安定感は無いもののこなれていて非常に印象的である。もっとも1楽章のカデンツァは鬼気迫るものがある。1楽章の聴き所も多いのだが2楽章のソロ部分はマズルカで僅かに聞かれた作曲家の繊細なリリシズムが感じ取れる非常に美しいものである。惜しむらくはバックオケだ。フィテルベルクの粗野な棒に技術的に問題のあるオケ、それでライヴということでシマノフスキの色彩的なオーケストレーションを十分表現できているとは言えない出来である。木管もしょっちゅうとちるしこの程度のソリストの揺らしについていけない棒というのもどうかというところである。鈍重だ。全体として作曲家がやはり素晴らしい民族的作曲家であるという印象は感じられる特筆すべき演奏ではあるが、過度には期待しないほうが、といったふう。○。

※2008-08-28 10:38:19の記事です

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