7篇からなる短編連作だ。死ぬ直前、その人の前に現れるバクと名乗る存在。彼は(それは目には見えない存在で、意識に働きかけるので「彼」というのは少し変かもしれないのだが)もう一度、ある時点から人生を生き直すことを持ちかける。そのかわり、交換条件として、自分が過ごした最初の人生でのやり直す前の記憶を貰うという。
この設定のもとで生き直す人たちの、その顛末が描かれていくことになる。最初のエピソードにはちょっと驚かされた。なんと、あの、誰もが知っている夏目漱石の『こころ』を、ほぼそのまま焼き直した話なのである。だから、先生とか、Kをリライブさせてしまうのだ。Kは死なないし、お嬢さんと先生も幸せに暮らすのである。その大胆さには、笑えるやら、呆れるやらで、ちょっとした感動がある。
その後のエピソードも、単純と言えば単純なのだが、でも、読んでいて、心がほっこりする。さすが、小路幸也だ。第6話には、エピソード0とでも言うべきストーリーテラーであるバク誕生秘話を挟んで、ラストまで、一気に読ませる。軽い読み物として、悪くない。とても楽しかったし、なんだかいい気分にさせられる。単純なよみがえりではなく、第3者も関与させ、けっこう重層的な結末も用意するのは、心憎い。
この設定のもとで生き直す人たちの、その顛末が描かれていくことになる。最初のエピソードにはちょっと驚かされた。なんと、あの、誰もが知っている夏目漱石の『こころ』を、ほぼそのまま焼き直した話なのである。だから、先生とか、Kをリライブさせてしまうのだ。Kは死なないし、お嬢さんと先生も幸せに暮らすのである。その大胆さには、笑えるやら、呆れるやらで、ちょっとした感動がある。
その後のエピソードも、単純と言えば単純なのだが、でも、読んでいて、心がほっこりする。さすが、小路幸也だ。第6話には、エピソード0とでも言うべきストーリーテラーであるバク誕生秘話を挟んで、ラストまで、一気に読ませる。軽い読み物として、悪くない。とても楽しかったし、なんだかいい気分にさせられる。単純なよみがえりではなく、第3者も関与させ、けっこう重層的な結末も用意するのは、心憎い。