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映画・演劇のレビュー

いしいしんじ『海と山のピアノ』

2016-07-25 23:55:46 | その他
    この不思議な9つのお話はお互いに独立した短編であるはずなのに、どこかでつながっている。響きあう九つの「水」の物語、と帯に書かれてあるけど、まさにそんな感じだ。誰もが痛みを抱え、生きていく。大きな災害の後、どうしてそこから立ち直って、いくのか。 これは明らかに東日本大震災以降をイメージしたお話である。リアルな現実に対して、この作品は想像力を駆使して向き合う。   いずれもあり得ない . . . 本文を読む
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『ウォルト・ディズニーの約束』

2016-07-25 23:50:53 | 映画
  いやな女の話だ。できることならこんな偏屈な女とは関わり合いたくない。なのに、ウォルトは彼女に20年間もオファーをし続けた。そして、ようやく念願が叶い、彼女をロスまで呼ぶことに成功した。もうこれで大丈夫だ、と彼は信じたはずだ。だが、甘い。それはまだ、始まりに過ぎなかったのだ。でも、こんな面倒な女を投げ出すことなく、彼と彼のスタッフは受け入れた。さぁ、どうする?    ディズニー映画である。 . . . 本文を読む
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瀬尾まいこ『春、戻る』

2016-07-25 23:36:06 | その他
こんなへんなお話あるか、と思いつつ読み進める。きっとどこかにオチはあるから、と思うけど、なかなか、それが見えてこないし、わからない。この仕掛けがわからないまま、結局最後まで読んで「やられたぁ、」と思う。そして、涙が止まらない。   これはこんなに優しい小説だったんだ、と改めて思う。瀬尾まいこの作品なんだから、きっとがっかりすることはないとは思ったけど、つまらないSF仕立てにもならないで、このオ . . . 本文を読む
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関大一高 『誰』

2016-07-25 23:11:08 | 演劇
    今年のHPFオープニング・プログラムだ。関大一高は80分のオリジナル長編に挑む。当日貰ったパンフには台本は「箕面東高OG 原田結子」とあるが、彼女が高校生の時に書いたものなのかもしれない。舌足らずで、でも、とても切実な想いが込められた作品だ。   不思議なタッチで、落ち着いた作品。だから、最初はその摑みどころのなさに、戸惑う。何が描きたいのか、それすら、わからない。ひとりの少女を巡 . . . 本文を読む
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第27回 高校演劇祭 HPF 

2016-07-25 23:05:44 | 演劇
  3月20日に古賀さんが亡くなった。先日行われた古賀さんのお別れ会で、追手門高校の演劇部の顧問をされていた阪本先生が、古賀さんの声掛けで、このHPFが始まったということをお話をされた。阪本さんの言葉だからこそ、そのお話が胸を打つ。ずっと高校生たちと寄り添い、演劇部のために全力を尽くす。その阪本先生も引退されて、HPFから去った。阪本先生と一緒にHPFに最初から参加していた追手門も去って行った。 . . . 本文を読む
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柚木麻子『幹事のアッコちゃん』

2016-07-21 21:33:26 | その他
  シリーズ第3作。またか、と思いつつも、テンションが上がる。最初に『ランチのアッコちゃん』を読んだ時の感動は今でも僕の心に深く刻まれている。それくらいに衝撃的な感動だったのだ。   そうかぁ、と目から鱗、だった。こういう生き方が出来たなら人生は素敵なものになる。そこまで思った。あのささやかな本がそこまで思わせるほど、元気を与えてくれたのだ。「もっとアッコちゃんから指導されたい」と主人公の三 . . . 本文を読む
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松竹座『七月大歌舞伎』

2016-07-21 21:21:53 | 演劇
たまたま今、俵万智の『恋する伊勢物語』を読んでいた。これは伊勢を彼女の解釈で解説するエッセイ集で、子供たちのために『伊勢物語』の現代語訳した彼女が訳だけではなく、伊勢の魅力をわかりやすく伝える為に書いたものだ。短いお話が多く、余白だらけの伊勢は、その余白を埋めることで普遍的な恋の姿を伝える古典の名作だ。わざわざ僕が何かをいうことはない。   高校の授業でよくやるのだが、在原業平ではなく、昔男の . . . 本文を読む
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A級MissingLink 『或いは魂の止まり木』

2016-07-18 19:58:02 | 演劇
  この芝居の初演も見ている。土橋演出によるそのオリジナル版も優れた作品だったが、今回の竹内銃一郎演出による新版のすばらしさはどうだ。こんなふうに作るのか、と改めて目を奪われる思いだ。今までの土橋さんの作り方に慣れていたから、このほんの少しの差異がとても新鮮だ。大胆な新解釈とかではない。脚本の持ち味、キャストの組み合わせの妙。それが結果的に台本の魅力をさらなり高みへと引き上げた。書いた本人が演出 . . . 本文を読む
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魚クラブ『一家団欒』

2016-07-18 19:42:37 | 演劇
  1987年の初演から30年。本当に久しぶりにこの作品を見る。大竹野正典の初期の代表作である。1昨年、「劇集成Ⅲ」が出た時、初めて読んだ。(というか、解説を書くため、ゲラで読んだのだが)やはり、おもしろかった。実は、初演時見た感動はもしかしたら自分がまだ若い頃だったからのもので、買いかぶりでしかなかったのではないか、と少し不安だったのだけど、戯曲を読んでみて大丈夫だとわかり安心した。   . . . 本文を読む
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窪美澄『アカガミ』

2016-07-17 07:32:38 | その他
    これは怖い。だいたいこのタイトルからして実に挑発的なものだ。近未来の世界を描く一種のSFなのだが、さりげない日常が描かれるだけで、ここにはまぁドラマは確かにあるにはあるけれども、そのドラマで驚かせようというわけではない。SFの衣をまとった純文学だ。 ここで描かれるのは、今のほんのすぐ先にある世界なのに、そこにはまるでこの世界が終ったあとのような光景が描かれる。2020年代なのである。 . . . 本文を読む
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『インデペンデンス・デイ リサージェンス』

2016-07-17 07:17:13 | 映画
  20年振りの続編である。こういうタイプの映画の続編としてはめずらしいパターンだ。大ヒットした映画の続編は時期を待たずして作られるものだ。モノには旬というものがあるのだから、覚えられている間にささっと作るのがいい。なのに、20年である。しかも、この手のSF大作は今ではもうはやらないのに。   さらにはあのローランド・エメリッヒ監督作品なのである。悪条件はどこまでも重なる。大味な大作映画を作 . . . 本文を読む
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『幸せへのまわり道』

2016-07-11 21:15:25 | 映画
  イザベル・コイシェ監督の作品だ。昨年ひっそりと公開されたとても素敵な作品である。 先日ようやく見た。DVDになったのは知っていたけど、なかなか手に取ることが出来なかった。あまり自己主張しない映画だから(僕がそう思っているだけだけど)どうしても後回しになる。   やはり、素敵だった。予想通りの作品で、胸一杯になる。見てよかった、と素直に思える。ほんの少し勇気を出したなら、手に入る幸せ。そ . . . 本文を読む
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『高台家の人々』

2016-07-11 21:13:35 | 映画
実は1ヶ月くらい前に見た映画なのだ。公開されてすぐに見に行った。でも、あまり面白くなかったからここには書かなかったのだ。だけど、たまたま今、時間があるし、書くネタもないし、ということで、この映画のことを思い出した、というわけだ。かなり期待したからかもしれないけど、見た時の脱力感はすごかった。きっとめちゃくちゃ書きそうで怯んだこともある。まぁ、今なら少しは冷静に書けそうだ。   妄想女子を主人公 . . . 本文を読む
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劇団うりんこ『罪と罰』

2016-07-11 21:07:24 | 演劇
  名古屋の劇団である。学校団体での公演としてはめずらしい。学校にセールスに来るのは、大阪の劇団や、東京の劇団が多い。なかなか地方での学校公演の出来る劇団はない。しかも、この素材である。勇気がある。   ドストエフスキーの大作をなんと2時間の作品としてまとめた。膨大な原作からお話をダイジェストにするだけではなく、1本の完結した作品にして提示したのは凄い。   しかし、見ている高校生たちは . . . 本文を読む
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犯罪友の会『風の姿で』

2016-07-11 20:52:38 | 演劇
  どんどんさりげなくなっていく。武田さんの描く世界が、である。けれんもなくただ日常の風景を淡々と綴る。そんな芝居になる。だから今回は野外ではなく劇場を選択した、というふうに考えることもできる。いつもなら9月の野外公演が入るところなのに、今年は2月に続いてウイングでの劇場公演をする。もちろん諸事情からこうなったのだろうが、これはこれで悪くはない。   昭和40年代、とある地方の商店街を舞台に . . . 本文を読む
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