まだ候補者が確定されてはいないが、11月の米大統領選挙は、共和党トランプンと民主党バイデンの戦いになる。
現在はバイデン優勢となっている。理由の一つに、警察官の黒人射殺事件がある。
5月25日のミネアポリスにおける警察官の黒人容疑者殺害に関して抗議デモが起こり、さらにそのデモが一部エスカレートして暴動化してショップでの略奪まで行われた。これに対して、トランプが、適切なコメントどころか、軍隊を派遣するといった、黒人を逆なでするツイッターをしたことで、全米や日本を含む世界の各地で人種差別への抗議デモが起こり、それがトランプの支持を落としている。これまでトランプは、人種差別らしきことはしなかったし、今回の黒人容疑者は偽札を使ったことではっきりとワルであったから警察官が殺すところまでしなければ通常の逮捕劇であったはずであった。警察官は殺人罪で起訴されたが、行政側の処置は、時すでに遅し、の処置であった。
さらに輪をかけて、6月12日アトランタで白人警察官が飲酒運転の黒人を捕まえたが、逃げるので射殺した事件が発生した。警察官にすれば、従来から行っている処置であったろうが、タイミングと、今度は後ろからの発砲で、好ましくなかった。これも殺人罪になるかも。
人種差別問題の解はトランプには手に負えないだろう。バイデンにも難しい。それでもトランプは現職として事態の収拾を図らなければならない。バイデンはトランプ政権の批判だけで済む。トランプは警察改革の号令を発して幕引きを図るようである。大統領としてはそれくらいで、アメリカの警察は自治体が行うので、あとは州や市が実行することになる。すでに着手の動きがある。
大統領選挙で、この人種差別の動きはトランプには確かにマイナスではあるが決定的なことではない。なぜなら人種問題に関してバイデンも確とした解を示せないからである。
トランプがバイデンを攻める材料は中国である。バイデンの息子が中国の会社から金をもらっていることは周知の事実であるし、バイデン自身も中国マネーに毒されていることを突くことができるはずである。コロナ感染症ウイルスに関しても、チャイナウイルスといわれても多くの人々は違和感を持たない。トランプは公然と中国を批判するが、バイデンはチャイナウイルスとまで言うことに異論を言う。中国贔屓なのである。
アメリカのこれから、および世界のこれからを考えるとき、アメリカは親中国であってはならない。冷戦でもよいが、世界ははっきりと中国と一線を画した付き合いで行くべき状況になったのである。日本はまだ習近平国賓待遇検討などと言っているようだが、トランプのスタンスははっきりしている。特許侵害を理由にして対中貿易に強い姿勢を示すことには、世界は納得する。アメリカの大統領がバイデンになって、トランプの現状路線と逆の方向になったら、中国の横暴を許すことになり、世界が困る。日本も困る。
アメリカ人は中国のいやらしさを知ったから、バイデンの中国寄りを嫌うはずである。トランプは選挙でそこを徹底的につくことでアメリカ人の民意を得ることができよう。
折しも、前大統領補佐官ボルトンによるトランプ政権の暴露本の抜粋が出され、そこには、昨年7月、トランプは中国主席習近平との会談で、トランプ再選に力を貸すように頼んだと書かれているという。昨年のことだから、トランプは取り合う必要はない。