太田知子の いきいき!健康長寿

健康医療ライターで介護予防インストラクターの太田知子が介護されない体づくり、若さと元気をキープする方法について語ります。

おひとりさま女性の終の住処は・・・

2020年07月15日 | おひとりさま 終の住処 サ高住 ケアハウス シニア向け分譲マンション

4か月ぶりに開催した一人の老後を応援する団体・リリアンネットの定例会。12日午後、立川市女性総合センター・アイムにはマスク姿の会員16人が集まりました。3人掛けのテーブルに1人ずつと、間隔を空けて座りました。

この日のテーマは「終の住処」。おひとりさま女性にとって、どこを終の住処にするかは大きな問題です。「できれば自宅でずっと暮らしたい」というのが多くの会員の本音。でも、年をとって自由に動けなくなったり、認知症になったりしたら一人暮らしは難しい。では、どこに住み替えるか? 住み替え先として考えられる高齢者住宅について、これまでの取材経験をもとに、フェイスシールドを付けてお話しました。フェイスシールドはマスクよりも話しやすいけど、マイクとの距離感が微妙です。

さて、おひとりさまの住み替え先として比較的入居しやすいのがサ高住(サービス付き高齢者住宅)です。介護施設不足を補うため、2011年に国が設けた高齢者住宅の登録制度で、建設費の助成や固定資産税等の優遇策を講じて、民間による設置を推進しています。サ高住はバリアフリー構造で安否確認と生活相談サービスが義務付けられた賃貸住宅で、ほとんどが食事サービスも提供しています。その数は年々増えており、今年6月現在、日本全国に7619棟(約25万6000戸)あります。

サ高住は設備もサービス内容も様々で、元気な高齢者を対象にして入居者に仕事を提供しているサ高住もあれば、重度の要介護者を受け入れて看取りまで行うサ高住もあります。月額費用は家賃+共益費+サポート費。それに利用した分の食費と光熱費がプラスされます。月額費用は15万円~30万円くらい。

シニア向け分譲マンションも最近増えてきています。通常の分譲マンションと同様に買い取って所有権が持てる高齢者住宅で、食事サービスがあり、ケアスタッフが常駐していて見守りや緊急時対応をしてもらえます。食堂、大浴場、余暇施設などが充実しているため、毎月の管理費が高いのが特徴。重度の要介護になって病院や介護施設に移っても、管理費は払い続けなければならないので、購入する時は、将来のこともよく考えて決める必要がありそうです。

比較的安い費用で入居できるのが、ケアハウス(軽費老人ホームC型)。半公的な施設で、所得に応じて月額費用が異なるのが特徴です。年間所得が150万円以下なら、ケアスタッフによる見守りや緊急時対応の費用が月1万円ですむため、月額費用は食費も含めて10万円前後。これなら年金でも暮らせそうです。ただ、ケアハウスは数が少なく、どこも待機者が多いのが現状です。

定例会では、高齢者住宅について一通り説明した後、終の住処についてどう考えているか、参加者一人ひとりに話してもらいました。Kさんは横浜のマンションから犬吠埼のサ高住に住み替えたそうですが、次第に要介護の入居者ばかりになり、だんだん気分が暗くなってきて1年半後に退去。現在は立川市内のマンションで一人暮らしをしています。5階の部屋に住み、晴れた日には富士山が見えるのが気に入っているそうですが、将来のことを考えると不安もあるとか。ケア付きマンションへの住み替えを考えていて、情報収集を始めたそうです。

中には、すでにケアハウスへの入居申し込みを済ませた人も。ただ、そのケアハウスは80人も待機者がいるので、入居できるのはいつになるか分からないとのことでした。

自宅での一人暮らしは自由気ままでいいけれど、孤独死の不安もあります。それを考えると、「元気なうちに住み替えたほうがいいかも」と思いながら、でもなかなか踏み切れないというのが多くの会員の本音のようでした。

今後も高齢者住宅の情報収集を続けて、引き続き意見交換をしていきたいと思います。