~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

「第7回カンマームジークアカデミーin呉」終了いたしました。

2019年04月04日 21時11分26秒 | コンサート(企画、協力、出演 含む)

     

個人的に年間でもっとも大きいイベント、「カンマームジークアカデミーin呉」(3月26日~30日)が無事終了いたしました。

よくリサイタルなんかで「無事終了いたしました」と書きますよね。それはまあ「大失敗なく、なんとかお客さんも来てくださって」くらいのニュアンスだと思うんですけれでも、

このアカデミーについての「無事」は本気です。とくに今回のように、小中学生が多いと、とにかく「体調崩しませんように、事故やトラブルに遭いませんように」と最後まで祈るような気持でした。さらに「おうちに帰りつくまでがセミナーです」ということで、みなさんが無事に帰り着かれた(であろう)ことでほっとしております。

第1回から事務局(呉市文化財団とのコラボ)をやっておりまして、こちらとしてはいろいろ慣れてきたのですが、同時に「こちらだけが慣れている部分」も生じているのではなかろうか?ということもあり、受講生の立場からセミナーを見直す機会をちょっと前から狙っておりました。狙ったから叶うというものでもありませんが、今回は史上最年長受講生として参加することにもなりました。

初日の26日はプレイべントとして、9時過ぎから「はじめてのトリオ体験」(全8組)を開催。「牧歌(ブルグミュラー)」「楽しき農夫(シューマン)」「甘い夢(チャイコフスキー)」を呉周辺在住の小中学生が、上里はな子先生(ヴァイオリン)、向井航先生(チェロ)と初共演しました。ひとり10分という短い時間でしたけれども、トリオとして室内楽として「おお~、なるほど!」というお話等があったように思います。

開講式を経て、午後からはレッスンが始まり、18:30からはアカデミーアーティストによる「スペシャルコンサート」。今回は「小説の中の室内楽」というタイトルで、「船に乗れ!(藤谷治著)」「騎士団長殺し(村上春樹)」の中に登場する5曲を取り上げました。

27~29日は終日レッスン、

30日は修了演奏会。受講生による25プログラムと講師による4プログラムが演奏され、13:30開演、19:17終演いたしました。

期間中の受付手伝いや、ふたつの演奏会ではステージのサポートをいただき、裏方としてはスムーズに運営できたと思っております。

  

 

で、受講生としてですが・・

実は2010年5月にこのセミナーの前身ともいうべき広島市での室内楽セミナーを受講したことがあったんです。なんとブラームスのピアノ五重奏で。

今ちらっと読んでみたら・・・いや、やめとこう(笑)。

私、室内楽そのものは遊び感覚でたまに友人達とやりますけれども、セミナーとしてはほぼ9年ぶり。

9年前でもなかなかの高齢者部門でしたけれども、当時はまだこういうものに一切関わったことのない、主婦兼お母さんのただの趣味のピアノ弾きでした。

今回は事務局歴6年にして50代半ばですから~(文句あるか)。

同時に先生方もその頃からしたら9年を経たベテランです。音楽家としても若手から中堅になられてます。

私も事務局しながら、毎年聴講はしているんですが、さて聴講と受講はどう違うのか?

一言でいうと、「聴講」はいつか役に立つ学び、「受講」は今ここで変わる学び。

9年前は9年前で、背伸び気味の曲(これまた冥途の土産のつもりでの選曲)でしたし、弦とのアンサンブルの難しさはそれはそれで感じていて、

小学2年の娘ほったらかして、期間中それなりに練習しましたし、本番ぎりぎりまでヤマハの練習室借りてたんですが、

なんというか物珍しさのほうが先に立って、「とりあえずどんなものかやってみた」的なところがありました。

今回に関してはこれまでの6回ずっと聴講してきたのと、日ごろ松本先生に教えていただいているのとで、

ピアノの受講生への指導というのは、なんとなく予想がつくし、自分もだいたい言われることは想定内。

ただ、相手があるのと、修了演奏会にはなんとかせねばならない、・・・ということから、普段と違って即修正できないといけない。

私もこの9年でそれなりにいろんな経験したんですけど、

私のようなアマチュアピアノ弾きでも、「仕事として依頼があった場合は、たとえ本番が明日であっても、その曲をなんとかしないといけない」ということが、再々あるわけです。で、相手がある場合はそれにも合わせないといけない。

この「期限があって」「相手があって」という条件ってすごく重要なんですよね、当たり前ですけど。

もちろん音楽的に技術的に急に修正できないことは多々あります。あるけれども、この缶詰状態の5日間でできるところまでなんとかしないといけない。

また、そういう状況下で聴講するレッスンというのは、他人のことながら「刺さる」わけです。

今年も何人もレッスンで泣いてたんですけども、声かけると「でも、そのために来たんだから!」と顔を上げていました。

「極限状態」というのはオーバーな言い方ですけれども、そういう状況下だと「火事場の馬鹿力」的なものがでる。

毎年そういう組があるんですけれども、今回もそういう組を何組か見ました。

とくに大人になって(大学等卒業して)からここに来る人は、自分を変えたいとか、今の状況を変えたい、と思っている人も少なくないです。

私の頭をふとよぎったのは「おかれた場所からシフトする」ということ。

それは自分の今の地位とか職業とかいうことではなくて、音楽的に「このレベルくらい」と自他ともになんとなく認めてしまっているところから、脱出する。

勇気と努力の要ることですけど、可能だと思うんですよね。

14年前、あるコンクールのコンチェルト部門に参加したときに指揮者先生に言われた言葉をみなさんにも贈ります。

「音楽はどこでも、何歳からでもやれます!」