東北の温泉ファンにとっては聖地の一つと言っても過言ではない青森県の古遠部温泉。私も何度か立ち寄り入浴しており、拙ブログでは2度(2009年・2011年)記事にしていますが、一度は誰にも邪魔されず一人で長時間トドになってみたかったものですから、それなら宿泊するほかないと考え、願望を実現させるべく、某日一泊して参りました。温泉への未舗装路に立っている「熊出没注意」の看板に描かれているクマさんのイラストがかわいらしく、あまり警戒感が起きません。
夕方5時前に到着です。前日に電話予約をした際、ご主人が「5時までにはチェックインしてください」とおっしゃっていたので、その指示を忠実に守りました。
建物も石灰華のドームも、いつもと変わらぬ佇まいにホッと一安心。他ブロガーさんも取り上げていらっしゃいますが、噂によれば一時期は宿を閉じることも検討したんだそうですね。
玄関の傍では犬のチョコがお出迎え。
今回宛てがわれた客室は「梅の間」です。最近内装を改修したそうでして、畳や障子の桟、襖以外は真新しく、一点の染みもない壁紙や鴨居の白木が印象的でした。冷蔵庫やテレビの備え付けもあり、照明のON/OFFはリモコンスイッチで操作します。なお当地は青森県の地デジの電波が届かないため、テレビはBSと難視対策衛星放送(関東広域圏の放送から青森県をネットしていないフジとテレ東を削ったもの)が映ります。従いまして、津軽の山奥にいるのに、放送されるニュースや天気予報は関東地方のものという、摩訶不思議な体験ができます。なお私が持っているauのスマホは圏外でした。
後で宿のご主人から伺った話によれば、宿泊客の多寡には予測の難しい波があるんだそうでして、たとえば私が泊まった某日はお客さんが他に2人しかいなかったのですが、次の日は平日でもほぼ満室だったそうです。もし混んでいる場合は一人客を断っているそうですので、前日に予約して部屋を確保できた私はラッキーだったのでしょう。
こちらは共用の洗面台。画像はありませんが、かつてボットンだったトイレは、改修工事によりちゃんとした水洗に更新されていました。
「5時までにはチェックイン…」には夕食にその理由があったのでした。なんと夕食のスタート時間が5:15なのです。しかも夕食会場への集合は時間厳守。スタート時間が早いことは伺っていたので、この日は一切の間食を絶って、山小屋並みの早い夕食に対応できるよう胃袋のコンディションを整えてきたのですが、山間の一軒宿へやってきていながら、まさか体育会系的な時間感覚を求められるとは思わず、普段いい加減な生活をしている文化会系の私は軽く狼狽してしまいました。
画像左(上)はイワナの塩焼きと天ぷら、右(下)はお鍋です。いずれも大変美味。古遠部温泉は、お湯の良さや湯量を絶賛する方もいれば、このお食事を褒め称える方も多くいらっしゃり、料理のレベルには定評があるんですね。若女将曰く、お客さんのチェックインを確認してからイワナを獲りに行くんだそうですが、でも時間が遅くなると獲りにくくなってしまうので、早めのチェックインをお願いしているんだそうです。なるほど、そういうことだったのか。お魚は焼きたて、天ぷらは揚げたてが提供されます。尤も、最高の状態で食べてほしいという若女将の熱意が強すぎるあまりに、目の前にできたての料理が提供されているにもかかわらず、客がもたもたしたり、他の小鉢などを呑気に突いていたりすると、職人気質の頑固な板前さんみたいな剣幕で急き立てられてしまい、実際に私の隣の席に座っていたマイペースなおじさん達は、まるで若女将から何度も怒られていました。その様子はまるで母親に叱責されるだらしない中高生を見ているようであり、だらしなかった自分の学生時代を思い出して、つい噴き出しちゃったりして…。
こちらは朝食。
おいしゅうございました。
次回へつづく…
いつも黙って拝見しております。
日帰りで一度行きましたがとても混んでいました。
お湯が良かったので今度は泊まりで来ようと思いながら、帰りがけにトイレに入ったらボットンだったので泊まりは諦めていました。
水洗になっているとの情報に安心いたしました。
ここは大事です!
古遠部のお客さんはみんな長湯するので回転が悪く、混むときにはかなり混んじゃいますよね。今回は宿泊して正解でした。
トイレは以前のようなボットンではなく、水洗、しかもシャワートイレに進化していましたので、ご安心を。