温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

舟唄温泉 老人福祉センター 柏陵荘

2014年05月26日 | 山形県
 
海から離れた内陸地でも驚くほど塩辛い温泉に遭遇することがありますが、今回はそうした温泉のひとつである山形県大江町の舟唄温泉で入浴してまいりました。舟唄温泉は「道の駅おおえ」と最上川に挟まれた一角に位置しており、外来者は温泉入浴施設「テルメ柏陵」を利用するのが一般的なのですが、同じ敷地内にある老人施設施設「柏陵荘」でも同じ源泉のお風呂に入ることができ、個人的には以前「テルメ柏陵」を利用したことがあったので(拙ブログでは紹介していませんが)、今回はその手前にある「柏陵荘」を訪うことにしました。


 
下足場左側の窓口前に立っている券売機で料金を支払い、事務室の窓口に券を差し出します。館内はいかにも昭和の建物らしい地味な雰囲気なのですが、地元密着型の施設らしく、事務室近くには食品類がたくさん陳列されていました。


 
館内中央の小さなホールに置かれている長椅子で自由に休憩できますが、別途料金を支払えば休憩のお座敷も利用できるんだそうです。その有料休憩室の鴨居にはなぜか力士のサイン色紙が写真とともに並べられていたのですが、私の訪問時には障子の向こう側から爺さん婆さんがドンチャン騒ぎする声が聞こえてきました。


 
賑やかなのはお座敷だけでなく、お風呂も多くのお客さんで混雑していました。人気があるお風呂なのですね。爺様達の間をすり抜けながら棚の前に立ったのですが、脱衣室に設けられている棚は一つ一つが妙に小さくて、室内に用意されている白いプラ籠が収まらず、籠を使うお客さんは棚に収めず床へ置きっぱなしにしていました。せっかく棚がたくさんあるんですから、有用に活用できるようにすれば良いのに…。


 
浴室には手前側に洗い場が、奥に浴槽が配置されていました。洗い場にはシャワー付き混合水栓が10基設置されており、洗い場まわりにはヒマワリの絵がプリントされたタイルが用いられていまhした。一方、無機質で地味な館内でありながら、浴槽付近では伝統的な湯屋のような意匠が取り入れられており、天井は高く、木材の柱や梁はむき出しになっていました。


 
タイル貼りの浴槽「木造りの湯」は10~11人サイズといったところで、「源泉100%かけ流しです」と誇らしげなプレートが載せられている湯口からお湯が注がれており、湯加減はちょっと熱めの43~44℃くらい、浴槽名の由来になっている木の縁から絶え間なくオーバーフローしていました。槽内に吸引や供給のための穴は見当たらなかったので、掛け流しの文字に偽りは無いでしょう。
湯船のお湯は暗めのエメラルドグリーンを帯びた透明です。もしかしたら槽内のタイルの影響でそのような色に見えているのかもしれません。湯中では黒く小さな湯の華が舞っており、湯船に浸かりながら底へ手をつくと指先には硫化鉄と思しき黒いものが付着しました。


 
浴室内にはもう一つ、奥の方に「展望風呂」と称する浴槽もあるので、続いてそちらへ移動してみました。一見すると露天風呂っぽいのですが、四方をガッチリ囲われている内湯同然の造りであり、サッシや壁から侵入してくる冷たい隙間風が、辛うじて露天風呂にいるような気分を醸し出していました。

こちらは岩風呂(底面は鉄平石敷き)となっており、キャパシティとしては「木造りの湯」より一回り小さい位でしょうか、名前が示すように窓からは雪景色の最上川が眺められました。晴れている日には彼方に月山や葉山も眺望できるんだとか。
窓際の湯口からお湯が落とされており、その流路は白く染まっていました。ちょっと熱めの「木造りの湯」と対照的に、こちらは40℃前後のぬるめに設定されており、お湯は少々白濁していました。


 
岩風呂はデコボコが多いからか、温泉に含まれる成分がこびりつきやすく、湯口のみならず浴槽のあちこちでも白色や黄色に染まっていました。湯口のお湯を口にすると強烈にしょっぱく、タマゴ味や強めの苦味、そして渋みやエグミが口の中を支配しました。塩分濃度に関しては海水の3分の2も含んでいるんだそうです。また、湯面からはアブラ臭とタマゴ臭が放たれ、弱ヨード臭も感じられました。湯船に浸かると濃い目の食塩泉らしいツルツル浴感(少々の引っかかりも混在)が得られ、とりわけぬるめの「展望風呂」ではつい長湯したくなりますが、何しろ塩分が濃いもんですから、長湯したくても食塩泉ならではの疲労感に襲われて体が音を上げてしまうこと必至。体がヘロヘロになってしまい、否応なく湯船から出ざるを得なくなってしまいます。従いまして、浴場内に掲示されているプレートでも注意喚起されていますが、長湯は禁物ですし、お風呂から上がる際には真湯でしっかり温泉成分を洗い流した方が良いかもしれません。湯上がりは強く火照り、発刊もなかなか止まりません。冬にはその強い保温効果が心強いのですが、夏にはツラそうです。
こうした凶暴なお湯だからか、あるいは老人施設という性質だからか、お風呂にはこまめにスタッフのおじさんがチェックしに来ており、その甲斐あってか、常時10人以上のお爺さんで賑わっているにもかかわらず、あまりゴチャゴチャしないで整然とした状態が保たれていました。隣接している「テルメ柏陵」は、施設として使い勝手良くて綺麗なのですが、こちらの方が料金が安いので、地元の方々はこちらに集まるんでしょうね。


大江3号源泉
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 60.6℃ pH7.0 蒸発残留物21830mg/kg 溶存物質18200mg/kg
Na+:4445mg, Mg++:50.5mg, Ca++:2242mg,
Cl-:11060mg, Br-:46.6mg, I-:1.9mg, HS-:9.6mg, SO4--:202.5mg,
H2SiO3:30.6mg, HBO2:29.2mg, CO2:33.9mg, H2S:10.9mg.

JR左沢線・左沢駅より山交バスの宮宿(朝日町役場)行で「舟唄温泉」下車
山形県西村山郡大江町大字藤田270-3  地図
0237-62-4096
ホームページ(大江町公式サイト内)

3月~10月→6:00~21:00、11月~2月→6:30~21:00、第一月曜定休
200円
ロッカー(100円リターン式)・ボディーソープ・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

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2 コメント

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Unknown (ぱと)
2014-05-26 01:31:28
お久しぶりでございます、群馬の温泉には舟唄温泉の様な凶暴さのあるお湯には巡り逢えませんね、今年も来月末に山形に出没致します!今回の山形温泉旅もハードな湯巡りになる予定です!
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Unknown (K-I)
2014-05-26 22:51:08
ぱとさん、お久しぶりです。
たしかに舟唄温泉的なお湯は群馬県には見られませんが、天下の名湯草津を擁しているではありませんか
来月末に山形で湯めぐりなさるとのこと。今回も良いお湯とお蕎麦に出会えるといいですね。ご無理なさらずお気をつけて。
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