温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

清里町 緑の湯

2012年12月04日 | 北海道
 
前回および前々回で取り上げた御園ホテル別館ラルゴ(および本館)を出発した9月下旬の某日、空が清々しく晴れ渡っていたので、川湯から裏摩周展望台へ立ち寄ってみました。「霧の摩周湖」という歌があるように、濃霧が湖面を覆い尽くして姿を見せないことが多い摩周湖ですが、この時は包み隠さず全容を見せてくれ、湖面に浮かぶカムイシュ島(中島)もはっきりと確認できました。


 
つづいて最近観光スポットとして俄に注目を浴びている神の子池へ。摩周湖はどの河川とも繋がっていないのですが、湖底より潜り込んだ湖水はこの神の子池で湧出し、これによって湖の水位は常に一定を保っていると言われています(最近の調査では他にも湧出箇所があることが判明したそうです)。摩周湖はアイヌ語でカムイ・トー(神の湖)と称するんだそうですが、その神の湖からの伏流水のよって生まれたこの池は、まさに神の子供というわけなんですね。



周囲220mの池で湧出する水の量は一日12,000t。池では清らかな水を好むオショロコマがたくさん泳いでいます。水深は5mですが、透明度が非常に高いため底までクッキリと目視することができ、また年間の平均水温8℃とかなり冷たいために、池に沈んだ倒木は腐ること無く姿を留め続け、エメラルドブルーに映る水と沈んだままの倒木がとっても神秘的な光景を生み出していました。


 
さて平地に戻って、斜里郡清里町の緑町にある「緑地域休養施設 緑の湯」にて入浴することに。
緑という抽象的な地名はいかにも開拓地らしいですね。釧網本線の緑駅からわずか200メートルという交通至便な立地…と言いたいところですが、釧網本線自体は運行本数が非常に少ないので、ここを鉄道で訪問する人は稀ではないかと思います。木造の建物はとても綺麗で周囲の環境と馴染んでおり、神の子池や裏摩周展望台の景色にも負けず劣らずの清々しい雰囲気です。


 
玄関入ってすぐ前の受付で料金を直接支払います。受付前のロビーには休憩スペースが広がり、その奥の部屋には掘り炬燵式のテーブルが設置されていました。



受付から右へ進んで浴室へ。


 
脱衣室は室内レイアウトに出っ張りが多いため室内面積の割りには狭く感じ、3~4人も同時に利用すれば窮屈になってしまいそうですが、メンテナンスがよく行き届いておりとっても綺麗で清潔です。洗面台にはドライヤーが用意されていますが、ちょっと古めのビジネスホテルの客室に取り付けられているような機種でして、パワーはちょっと弱めでした。


 
タイル貼りの浴室には中温と高温に分けられた浴槽が各1つずつあり、洗い場にはシャワー付き混合水栓が6基設置されています。脱衣室同様、浴室も清掃がよく行き届いており、安心して利用することができました。浴室を含め、この施設ではバリアフリーが図られており、多少動線に難がある箇所こそあるものの、車椅子などでの利用も可能になるよう、(浴槽を除いて)床には段差がありません。私は今でこそ五体満足ですが、いずれは杖や車椅子のお世話になる日が来るかもしれず、もしそうなった時にはこうしたバリアフリー化されている温泉が非常にありがたく思えるのでしょうね。いや、浴場という滑りやすい施設では、たとえ健常者であっても些細な段差で転倒する可能性を孕んでいるのですから、そうした危険性をできるかいぎり排除する意味でもバリアフリー化は全ての利用者にとって有意義なのかもしれません。



画像の右側に写っている縦長の大きな浴槽は中温風呂で、湯加減は41℃設定、左側の小さな浴槽は高温風呂で、同じく43℃設定となっていました。お湯の見た目は無色透明で、弱めながらツルスベ浴感を有し、甘塩味が感じられます。後述する露天風呂を含め、こちらでは源泉に塩素系薬剤を加えて消毒した上で放流式の湯使いを実施しているそうでして(館内には100%掛け流しの表示あり)、実際にお湯からは軽く塩素臭が感じられましたが、忌避するほどの強さではありませんし、お湯の鮮度もまずまずでしたから、お湯に対する不満は特に無く、気持ちよく入浴することができました。


 
この露天風呂は清里町内で初めて設けられた露天風呂なんだそうです。コンクリの塀と岩風呂という無彩色建材の組み合わせが聊かの冷たさを漂わせていますが、その傍らに植えられた針葉樹や木材の塀、そして周囲の山の緑がむしろ無彩色とマッチし、グレー・ブラウン・グリーンの美しいトリコロールを形成していました。
露天風呂にも内湯と同じお湯が注がれていますが、こちらは外気に冷やされてしまって、訪問時は40℃あるかないかの温度になっていましたが、こちらを利用するお年寄りにとっては却ってその方が体への負担が軽減できるため、あえてこのぬるいお湯を選んで入っているお爺ちゃんもいらっしゃいました。塩気以外には特徴の少ないお湯ですが、爽やかな環境のもとで気持ちよく利用できる施設ですので、万人受けするのではないかと思います。


清里町4号井
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 44.3℃ pH8.8 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質1.815g/kg 成分総計1.815g/kg
Na+:555.6mg(88.24mval%), Ca++:46.5mg(8.47mval%),
Cl-:690.5mg(71.49mval%), SO4--:289.2mg(22.09mval%),
H2SiO3:107.1mg,
衛生管理のため塩素系薬剤を使用
入浴に適した温度に保つため冷却

JR釧網本線・緑駅より徒歩3分
北海道斜里郡清里町緑町26  地図
0152-27-5511
ホームページ

10:00~21:00 年中無休(年末年始を除く)
380円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

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2 コメント

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昔は280円だったのだのだ (つるみん&みならいかのん&ゆたか&はじめっち)
2016-11-17 13:40:31
ここのお湯はあまし熱くなくて、特に「露天」のほうは
長湯できちゃったりするのだ。
ここができてからは、月2~3回くらいは入っていたのだ。
とにかく後期高齢者にやさしい地域温泉で、
「家族風呂」とか個人でも障がいを持ったひとでも
入浴可能な設備を持ってるのが良かったりするのだ。
・・・休憩所がまたいいのだつるみん「たまちゃんまん」食いたいのだ

入り口で100円野菜とかを売ってて、
よく買ってきました。
所謂「観光地」ではないのですが、
冬は「スキー」、それ以外の暖かい日は「パークゴルフ」と
地元の人たちに最大限利用されている施設です。
・・・駅前「いんでない みどり」の看板がいいみならいかのん

ここの支配人さんには、離道するとき、、
製造中止になった「きよさと かぼちゃ」焼酎を
手に入れるとき、あちこちに掛け合ってくれたのす。
・・・個々の温泉は人もいいのすゆたか

裏摩周展望台の売店の方とは、湖面に降りたのが縁で
(2度の地震で斜面が崩れもう降りれないです)
よく「サービス」してもらったりとか…
摩周湖の水と池の水はコーヒーにするとおいしいんですが、
北見工大で行われる一般人参加可能な研究会では、
「池と湖の水は(成分が違うから)伏流水とはいいがたい」とか
結構面白い話があるそうです。
温泉も「摩周湖の水」がどれだけ関係しているかわかりませんが、
一日中楽しめるすんばらしい温泉です。
・・・宣伝しすぎではないのですはじめっち





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Unknown (K-I)
2016-11-17 21:15:08
>昔は280円だったのだのだ
今でもお手ごろですが、以前はもっと安かったんですね。お年寄りに優しい温泉施設は、地域の方々にとってはありがたい存在でしょうね。
道東の温泉には想い出がたくさん詰まっていることが、文面からよく伝わってきました。ハートウォーミングなお話をありがとうございます。
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