温泉ファンでしたらみなさんご存知の然別峡野湯群。拙ブログではちょうど5年前にいくつかの野湯をまとめて取り上げております(その記事はこちら)。
もうひとつ然別峡の温泉といえば、野湯と並んで有名なのが秘湯「かんの温泉」であり、待望の復活を遂げた2014年8月には、私も現地へ赴いてリニューアル後のお風呂に入浴させていただきましたが、その際ついでに、然別峡の代表的な露天風呂である「鹿の湯」にも立ち寄ってみることにしました。
まずは然別峡野営場(キャンプ場)の駐車場に車を止め、歩いて現場へと向かいます。キャンプ場の管理棟には料金箱が設けられていますが、あくまでキャンプを張る際の料金であって、温泉入浴だけでしたら関係なし。ちなみに野営は大人一人250円。料金箱の右側には「男女とも、水着下着での入浴は堅くお断わり致します」と注意書きが掲示されていました。生まれたままの姿での入浴スタイルが求められるんですね。
温泉入浴だけなら一応料金不要なのですが、管理には何かと費用を要するものです。キャンプ場へ渡る橋の手前には温泉のための寸志箱が設置されていますので、私も幾許かの寸志を納めさせていただきました。爽快な青空と美しい緑が広がる中、足取り軽くキャンプ場の中を歩いて、奥へ奥へと進んでゆきます。
キャンプ場から川へ下り、シイシカリベツ川(ユーヤンベツ川)の上流へ向かい…
川に沿ってトレイルを100メートルほど歩いてゆくと「鹿の湯」に到着です。「かんの温泉」は多くのお客さんで賑わっていたのですが、ラッキーなことに私の訪問時、こちらには誰もいませんでした。週末の「鹿の湯」は必ず誰かしら入浴しているものですが、シーズン中の日中なのに誰もいないだなんて初めての経験だ。こりゃ嬉しいぞ! でも前回訪問した5~6年前と比べて、ちょっと様子が違う気がします…
それもそのはず、いつの間にやら脱衣小屋が建てられていたんですね。とはいえ、後日ネットで調べてみたら、既に4年前にはこの小屋は存在していたようです。そんなことも知らなかったほど、私は久しくここを訪れてこなかったわけですね。
絶好の露天風呂日和。天候に恵まれ、渓流も山の緑もキラキラと輝いています。
ちなみに、温泉分析表に記載されているこの露天の名称は「然別峡野営場露天風呂(鹿の湯)」とのこと。意外と堅っ苦しい名前なんですね。キャンプ場が開設される夏季には人の手によって管理されますので、野晒しとはいえ、石材とモルタルでガッチリ造られた浴槽は、綺麗に維持されていました。
湯船のお湯は、崖下に点在する小さな湯溜まりや源泉群から流れて来ているようです。
落石防止の金網が張られている左(上)画像の湯だまりは「夫婦の湯」と言うんだそうでして、「鹿の湯」の源泉のひとつであり、この湯溜まりも一人でしたら入れる大きさがあるのですが、指先で触れてみたら50℃弱に届きそうな、とても湯浴みできそうにない熱さだったので、今回は見学だけに留めておきました。お湯は岩盤の裂け目から自然湧出しているようです。
一方、右(下)画像の湯だまりも「夫婦の湯」。夫婦ですから2つで1ペアなんですね。明るい橙色に染まった湧出口からお湯が湧出しており、こちらも50℃近い高温でした。季節によっては入浴できる温度に下がるようですが、この日は外気温も高かったので、湯温もあまり下がらなかったのでしょう。これらの源泉のお湯は、泉質名こそ「含食塩重曹泉」ですが、塩気はあまりなく、金気を含む重炭酸土類泉のような味と匂いが感じられました。
源泉を見学した後は「鹿の湯」に入浴です。うひゃーーっ! いい湯だ! 至極極楽!
底はかなりヌルヌルして滑りやすいのですが、それでも同じ然別峡に点在する他の野湯に比べたら、はるかに入りやすく、湯加減も絶妙。然別峡の野湯は、ちょっとでも放っておけば、すぐに藻で覆われちゃいますからね。定期的に清掃してくださる管理人の方に感謝です。お湯はグリーンを帯びた山吹色に濃く濁っており、オレンジ色の浮遊物もチラホラ見受けられます。土類泉らしくキシキシとグリップの効く浴感が印象的。肌がしっとりとする良い湯です。
分析表によれば遊離炭酸ガスを300mg弱も含んでいるらしく、渓流の岸、そして炭酸ガスが豊富という環境ゆえに、アブが鬱陶しいのが玉に瑕。ハッカ油を使ったりタオルをブンブン振り回したりと、それなりに対策をとったのですが、それでも入浴中や着替えの間に、しっかりアブに3箇所咬まれてしました。まぁこればかりは仕方ありません。
どうせなら他の野湯を訪問しても良かったのですが、道が通行止だった上、湯船の清掃のことを考えたら面倒になっちゃったので、今回の然別峡は「鹿の湯」一箇所だけでオシマイにしました。
今年もまもなくキャンプ場のオープン期間が近づいてまいりました。「かんの温泉」へご観光の際はこちらにも是非お立ち寄りを。
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 51.1℃ pH6.8 湧出量記載なし(自噴) 溶存物質4.092g/kg 成分総計4.391g/kg
Na+:1045mg(88.98mval%), NH4+:19.9mg, Mg++:10.5mg, Ca++:40.8mg(3.99mval%), Fe++:3.1mg,
Cl-:819.2mg(46.91mval%), HCO3-:1592mg(52.96mval%),
H2SiO3:208.1mg, HBO2:292.6mg, CO2:299.1mg,
北海道河東郡鹿追町北瓜幕国有林 地図
キャンプ場開場は7月1日~9月末まで
寸志
備品類なし
私の好み:★★★
もうひとつ然別峡の温泉といえば、野湯と並んで有名なのが秘湯「かんの温泉」であり、待望の復活を遂げた2014年8月には、私も現地へ赴いてリニューアル後のお風呂に入浴させていただきましたが、その際ついでに、然別峡の代表的な露天風呂である「鹿の湯」にも立ち寄ってみることにしました。
まずは然別峡野営場(キャンプ場)の駐車場に車を止め、歩いて現場へと向かいます。キャンプ場の管理棟には料金箱が設けられていますが、あくまでキャンプを張る際の料金であって、温泉入浴だけでしたら関係なし。ちなみに野営は大人一人250円。料金箱の右側には「男女とも、水着下着での入浴は堅くお断わり致します」と注意書きが掲示されていました。生まれたままの姿での入浴スタイルが求められるんですね。
温泉入浴だけなら一応料金不要なのですが、管理には何かと費用を要するものです。キャンプ場へ渡る橋の手前には温泉のための寸志箱が設置されていますので、私も幾許かの寸志を納めさせていただきました。爽快な青空と美しい緑が広がる中、足取り軽くキャンプ場の中を歩いて、奥へ奥へと進んでゆきます。
キャンプ場から川へ下り、シイシカリベツ川(ユーヤンベツ川)の上流へ向かい…
川に沿ってトレイルを100メートルほど歩いてゆくと「鹿の湯」に到着です。「かんの温泉」は多くのお客さんで賑わっていたのですが、ラッキーなことに私の訪問時、こちらには誰もいませんでした。週末の「鹿の湯」は必ず誰かしら入浴しているものですが、シーズン中の日中なのに誰もいないだなんて初めての経験だ。こりゃ嬉しいぞ! でも前回訪問した5~6年前と比べて、ちょっと様子が違う気がします…
それもそのはず、いつの間にやら脱衣小屋が建てられていたんですね。とはいえ、後日ネットで調べてみたら、既に4年前にはこの小屋は存在していたようです。そんなことも知らなかったほど、私は久しくここを訪れてこなかったわけですね。
絶好の露天風呂日和。天候に恵まれ、渓流も山の緑もキラキラと輝いています。
ちなみに、温泉分析表に記載されているこの露天の名称は「然別峡野営場露天風呂(鹿の湯)」とのこと。意外と堅っ苦しい名前なんですね。キャンプ場が開設される夏季には人の手によって管理されますので、野晒しとはいえ、石材とモルタルでガッチリ造られた浴槽は、綺麗に維持されていました。
湯船のお湯は、崖下に点在する小さな湯溜まりや源泉群から流れて来ているようです。
落石防止の金網が張られている左(上)画像の湯だまりは「夫婦の湯」と言うんだそうでして、「鹿の湯」の源泉のひとつであり、この湯溜まりも一人でしたら入れる大きさがあるのですが、指先で触れてみたら50℃弱に届きそうな、とても湯浴みできそうにない熱さだったので、今回は見学だけに留めておきました。お湯は岩盤の裂け目から自然湧出しているようです。
一方、右(下)画像の湯だまりも「夫婦の湯」。夫婦ですから2つで1ペアなんですね。明るい橙色に染まった湧出口からお湯が湧出しており、こちらも50℃近い高温でした。季節によっては入浴できる温度に下がるようですが、この日は外気温も高かったので、湯温もあまり下がらなかったのでしょう。これらの源泉のお湯は、泉質名こそ「含食塩重曹泉」ですが、塩気はあまりなく、金気を含む重炭酸土類泉のような味と匂いが感じられました。
源泉を見学した後は「鹿の湯」に入浴です。うひゃーーっ! いい湯だ! 至極極楽!
底はかなりヌルヌルして滑りやすいのですが、それでも同じ然別峡に点在する他の野湯に比べたら、はるかに入りやすく、湯加減も絶妙。然別峡の野湯は、ちょっとでも放っておけば、すぐに藻で覆われちゃいますからね。定期的に清掃してくださる管理人の方に感謝です。お湯はグリーンを帯びた山吹色に濃く濁っており、オレンジ色の浮遊物もチラホラ見受けられます。土類泉らしくキシキシとグリップの効く浴感が印象的。肌がしっとりとする良い湯です。
分析表によれば遊離炭酸ガスを300mg弱も含んでいるらしく、渓流の岸、そして炭酸ガスが豊富という環境ゆえに、アブが鬱陶しいのが玉に瑕。ハッカ油を使ったりタオルをブンブン振り回したりと、それなりに対策をとったのですが、それでも入浴中や着替えの間に、しっかりアブに3箇所咬まれてしました。まぁこればかりは仕方ありません。
どうせなら他の野湯を訪問しても良かったのですが、道が通行止だった上、湯船の清掃のことを考えたら面倒になっちゃったので、今回の然別峡は「鹿の湯」一箇所だけでオシマイにしました。
今年もまもなくキャンプ場のオープン期間が近づいてまいりました。「かんの温泉」へご観光の際はこちらにも是非お立ち寄りを。
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 51.1℃ pH6.8 湧出量記載なし(自噴) 溶存物質4.092g/kg 成分総計4.391g/kg
Na+:1045mg(88.98mval%), NH4+:19.9mg, Mg++:10.5mg, Ca++:40.8mg(3.99mval%), Fe++:3.1mg,
Cl-:819.2mg(46.91mval%), HCO3-:1592mg(52.96mval%),
H2SiO3:208.1mg, HBO2:292.6mg, CO2:299.1mg,
北海道河東郡鹿追町北瓜幕国有林 地図
キャンプ場開場は7月1日~9月末まで
寸志
備品類なし
私の好み:★★★
初めての道東温泉旅行の締めはかんの温泉にしました。かんの温泉だけでも足元湧出や凝った浴槽が多く入りきるので精一杯でしたが、次行く機会があれば、この野湯群にも行ってみたいものです。
去年は川又温泉に感動しましたが、今年も野中温泉、アトサヌプリ、熊の湯など忘れられない佳泉に出会えました。
これからも参考にさせていただきます。
かんの温泉へいらっしゃったんですね。私も昨年の営業再開時に一度行っているのですが、日帰り利用でしたので、たくさんある浴槽のうち半分しか入れておらず、いずれは全部を制覇してみたいと思っています。
>野中温泉、アトサヌプリ、熊の湯
道東は温泉の良さもさることながら、その道中の景色も素晴らしいですよね。東京は発狂したくなるほどの暑さですが、さぞ過ごしやすい気候だったのではないかと思います。
昨年は川又温泉へ行かれたとのこと。クマに怯えながら山の中を歩いて辿り着いた、あの清らかなお湯には私も心の底から感動しました。
アスペリティさんはいろんな温泉へお出かけのことと思いますので、今後は是非当方にも面白い情報をお教えくだされば幸いです。