温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

フンベの湯

2009年05月13日 | 北海道
※現在、当地は立入禁止です。



北海道・登別駅の裏手の海岸沿いに位置するフンベ山は、まるで駅を守る巨大な防波堤のように聳えており、太平洋に向かって断崖絶壁になっていますが、絶壁の途中にちょうど棚のように平たくなった土地があり、その真ん中にポツンと一軒のトタンでてきた小さなバラックが建っています。廃屋かあるいは農機具小屋を思わせるあばら屋ですが、これが地元の有志によって守られている湯屋です。


こんな感じでポツンと建っています


中に入ると左手に脱衣所が、右手に浴室があり、掘っ建て小屋ながらもちゃんと仕切られています。訪問時には常連の先客が一人おり、私の後からもやはり常連さんが一人入ってきました。バラック然とした外見とは裏腹にこのお湯の人気の高さが窺い知れます。湯船は私とその常連さん二人が入るといっぱいになってしまいました。みなさん足繁くこのお風呂に通っているそうで、お湯に浸かりながらさも自分のことのようにここのお湯がいかに良質かを語って下さいました。

お湯は40℃ぐらいのややぬるめで、じっくり長湯できる湯加減です。薄黄色を帯びてほんのり濁っており、匂いはあまりなく、口に含むと薄い塩味と金気味が感じられました。また体中にたくさん細かい気泡が付着し、お湯がいかに新鮮かを実感させてくれます。お湯の質といい気泡の付き方といい、関東地方に住む私としては山梨県・甲府盆地に湧くお湯に近い印象を抱きました。バラックの独特な雰囲気が却ってぬくもりある空間を生み出し、お湯の良さも相俟って、いつまでも浸かっていたい、時間の流れや日々の煩雑をすっきり忘却できる素敵なお湯であると思います。
ちなみに浴槽の横には小さな箱がくくりつけられており、湯口のパイプをここまで伸ばしてこの箱にお湯を溜めることができるのですが、常連さん曰く、これは上がり湯として利用するためのものなんだそうです。
またこの小屋には電気が引かれていないため、日が暮れると蝋燭に火を灯して明かりをとっているそうです。

私のような一見(いちげん)の客が来ても快く迎えて下さる地元の方の温かい心と、こんな素敵なお風呂を守り続けて下さる有志の方の志に、それぞれ感謝したいと思います。
なお、本来ここは立入禁止の場所であり、温泉の利用は登別市から黙認してもらっている状態ですので、その点をご承知置きの上で湯浴みを楽しんでください。




上がり湯を溜める箱。パイプは伸縮可能


宿泊禁止やカンパ強要注意などを呼びかける張り紙


成分表示なし

上述の理由により所在地や地図は載せません

24時間入浴可
無料

私の好み:★★★

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