温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ダルヤン旅行記 その1(現地までの道のり・食事)

2015年01月05日 | トルコ
前回および前々回では、トルコ・エーゲ海地方の小さなリゾートタウンであるダルヤンに湧く温泉を連続して取り上げましたが、今回と次回は湯めぐりの拠点となったその街で一泊した際の旅行記を書き綴ってまいります。
※今回の記事に温泉は登場しません。

★訪問日:2014年10月下旬某日




●ダルヤンへの道のり
(1)イスタンブールからダラマン空港へ

前日はイスタンブールの旧市街に宿泊。まずはダルヤンの最寄りであるダラマン(Dalaman)へ空路で向かうのだが、この日のフライトは早朝と夜間に1往復ずつしかないため、限られた日程で効率よく旅をするべく、早朝7:15発の便に乗ることとした。空港には1時間前までに到着しておきたいが、さすがにこんな早い時間帯だと公共交通機関を乗り継いで行くのは不安なので(時刻的には不可能では無かったようだが)、ホテルに頼んで予めタクシーを予約しておいた。
朝5時ちょうどにホテルを出発。まだ日の出前で真っ暗な中、おんぼろルノーのタクシーに乗り込んでアタチュルク空港の国内線ターミナルへ。早暁の市街は車が少なく、タクシーの運ちゃんはガラガラの一般道を、レーサー顔負けのアグレッシブなドライビングで、100km/h超の韋駄天走り。寝ぼけ眼だった私は、スリル溢れる運転のおかげで一気に身が引き締まった。旧市街からわずか20分強で空港に到着(料金は50リラ強)。
立派な国際線のターミナルと違って、国内線は旧ターミナルを転用しており、旧共産国家のような無骨な外観。


 
建物こそ古そうだがターミナル内はそこそこ明るく、まぁまぁ綺麗。早朝だというのに旅客の姿もかなり見られる。チェックイン後にターミナル中央のカフェテリアで朝食を摂る(チキンのサンドイッチ)。空港だから何でも値段が高いのは覚悟しているが、それでも缶ジュースが8.5リラ(約430円)もしたことには驚いた。



出発時間の45分前というタイミングで、もう搭乗口に"LAST CALL"と表示されてしまったので、のんびり食後の紅茶を飲んでいた私は慌ててゲートへと向かった。搭乗口からバスで駐機場のターキッシュエアラインズ(トルコ航空)TK2552便へ。機材はエアバスA340-300。タラップは前後2ヶ所に架けられたので、自分の座席が近い後方から乗り込む。一日2往復程度の需要しかない路線なのに、A340というデカイ機体で運用したところで空気輸送になるのでは、タラップを上っている時に余計な心配をしたが、意外にも最終的に8割近い座席が埋まってしまった。


 
わずか1時間にも満たないフライトなのに、ちゃんと機内食が提供されるのは立派だが、そのことがはじめから分かっていれば、空港でわざわざ高いサンドイッチなんか買わずに済んだので、早くもこの日2回目のサンドイッチを目の前にしてちょっと後悔。
食事を頬張っていると、窓の下に紺碧のエーゲ海が広がり始めた。


(2)ダラマン空港からオルタジャ(Ortaca)へ

定刻8:35、ダラマン空港に到着。マルマリスをはじめとするエーゲ海リゾート地の玄関口とは思えないほど、ターミナル内は古くて薄暗い。
ダラマン空港からダルヤンへ直接行ける公共交通機関は無い。まずはマルマリス(Marmaris)行のバスに乗車して、途中のオルタジャ(Ortaca)という街で下車する。ターミナルビルを出た真ん前の駐車場に白いバスが数台止まっており、運転席などに行き先が掲示されているので、これで自分が乗るべきバスを確認する。


 
イスタンブールは肌寒かったが、エーゲ海側はポカポカ陽気の快晴で、車内にいると汗をかくほど。Tシャツ一枚で十分快適。好みの座席に着席して待っていると、出発直前に車掌さんが回ってきたので、彼に料金12.5リラを支払った(画像右が切符)。どうやら一律料金らしく、終点まで乗っても、私のように途中で降りても金額は同じのようだ。


 
バスは9:15頃に空港を出発。
田園風景が続く車窓。画像には記録できなかったが、オリーブや柑橘類の畑も広がっていた。



出発してちょうど30分後の9:45にオルタジャ到着。ORTACAと綴ってオルタジャと読む。てっきりバスターミナル(トルコではバスターミナルを「オトガル」と言う。以下オトガルに統一)に乗り入れてくれるものかと思い込んでいたが、豈図らんや、街外れと思しき大通りの路傍に降ろされちゃった。この街でダルヤン行きのミニバスに乗り換えなくてはいけないが、どうしたら良いものか。車掌さんにオトガルはどこか訊いたところ、下車地点から斜めに伸びる通りを指さし、あっちへ行けと言う。


 
とりあえず指差された方へ歩いてゆくと、約700メートルでロータリーに出くわした。ロータリーがあるってことは、ここが街の中心なのか。建物も多くなってきたし、車の往来も増えてきた。でも標識が無いので、ここから先はどっちへ進んでよいかわからない。たまたま角で信号待ちをしていた歩行者のお兄さんに、オトガルはどこか尋ねたところ、なんとそのお兄さんはわざわざオトガルまで同行して道案内くださった。トルコの方の優しさに心から感謝。


 
上述のロータリーから100メートルほど更に進んだ所にオトガルはあった。街の中心にぽっかり何もない空間が広がっている。周辺にはレストランや各種商店、そして銀行(もちろんATMも)などがあり、片田舎ながらも街としてそれなりに盛り上がりがあるような雰囲気だ。


 
このオルタジャのオトガルから、ダルヤン(Dalyan)行のミニバスに乗車。時刻表らしきものは見当たらなかったが、一応タイムテーブルはあるらしく、出発時間が近づいてくると、まわりからゾロゾロとお客さんが集まってくる。行先別に乗り場が分かれており、バスのダッシュボードにも行き先が掲示されているので、それらを確認して乗車する。左側の画像を拡大したものが右(下)側の画像であり、大きく"DALYAN"と表示されているのがわかるはず。


 
バスと言っても所謂バンであり、私が乗ったダルヤン行はルノーの「トラフィック」(という車種)が用いられていた。10:00ちょうどにオルタジャを出発。途中でもお客を拾い、座席は全て埋まった。
車内には料金表が掲示されており、起点のオルタジャから終点のダルヤンまで4リラ。ワンマン運転なので運ちゃんに支払うのだが、そのタイミングは人それぞれ異なり(つまり任意のタイミングで良いのだろう)、私は降車時に支払った。


(3)ダルヤンに到着
 
オルタジャから約20分でダルヤンに到着。バスは街の中央にあるロータリー広場の前に発着する。バス停のすぐ裏にはATMが数台あったので、ここで当座の現金を引き出した。当地は海亀が産卵するビーチがあることで有名であり、それゆえロータリーには亀の像が立てられている。ダルヤンを訪れる観光客の主な目的は、夏の海水浴の他、ウミガメの産卵の見学、遺跡巡り、そして温泉なのであるが、温泉だけを目当てに来る私のような客は、果たしてどのくらいいるのやら。


 
ロータリーの周辺には飲食店や土産物屋がたくさん並んでおり、初見の者でも容易に滞在できる。しかも外国人観光客が多い土地柄なので、英語がかなり通じる。特にイギリス人が多いらしく、イギリスポンドが通用する店も散見された。


 
長期滞在者はここで自炊するのだろう。土産屋や宿泊施設などと並んで、八百屋など食料品店も見かける。秋でも温暖な気候なのだろう、店頭にはスイカがたくさん積まれていた。黄色いスイカは日本では見かけない。


 
ビーチが賑わう夏だったら、この街もは浮かれた観光客で騒がしいのだろうけど、シーズンオフであるこの時期は至って静か。リゾート地にありがちなチャラついた空気が薄い(無いとは言わないが)。日暮れ時の土産物屋で、ヘンテコな日本語が刺繍されているフード付きのパーカーを発見。野球のユニフォームっぽい筆記体で"Super Dry"とあり、その下に「極度乾燥」と記されている。"TREAD MARK JPN"と付されているから、この漢字は日本をイメージしているのだろうけど、まず熟語として不自然。また「極」の字も崩れており、「度」も上のチョン(一画目)が欠けている。漢字を習いたての小学生がやりがちな間違い方をしている。単なる綿のカットソーなのだろうけど、日本のイメージを持ち出して、いかにも高機能っぽい感じを出そうとしているところが面白い。


●現地での行動
 
前回および前々回の記事で述べたように、私は温泉へ訪れる際にはボートを貸し切った。というのも、河口の低湿地に位置するこのダルヤンでは水運のほうが便利であり、しかも街が面する川には橋が架かっていないため、対岸にある温泉へ行くには舟に乗らざるをえないからだ。亀さんのロータリーから西へ100メートルも行かないうちに川へぶつかる。この川岸にはたくさんの舟が係留されている。夏には大忙しなのだろうけど、シーズンオフのこの時期は、大半の舟が開店休業状態のようだ。
当地のボートは組合によって運行されており、右画像に写っている地図看板の上で列挙されているように、行先によって貸切料金が決められているのだが、値段なんてあって無いようなもので、私は交渉の末、所定(130リラ)の約6割の金額(80リラ)で2つの温泉を巡ってもらった。そもそも組合だから値段はみんなで統一されているはずなのに、同じ行き先でも看板によって(つまり舟のオーナーによって)金額が違う。つまり、はじめから金額交渉することを前提としているのだろう。



なお船着場の前にはタクシー乗り場もあるので、舟が苦手な方は陸路でもどうぞ。観光地だけあり、街中ではレンタルバイク屋や小さなレンタカー屋も見かけた。なお拙ブログで取り上げた2つの温泉に限って言えば、いずれも路線バスではアクセスできない。


●食事
外国人観光客の多い土地なので英語が問題なく通じ、お店の数も種類も多いので、食事には全く苦労しないはず。イスラム圏ゆえ、トルコの田舎ではアルコール類の入手に苦労することもあるが、この街では大抵のレストランにアルコール類の用意があり、ロータリーの近くには酒屋さんもあった。


 
川岸の船着場沿いは、レストランやカフェが集まるエリアのひとつ。
温泉から戻って舟から降りた後、右側の画像に写っている"SMYRNA"というコーヒーハウスに入店し…


 
ダルヤン川を眺めながらキャロットケーキとコーヒーをいただく。上品そうなおばさまがオーナーで、フォークやナイフはおばさまが手編みした毛色のケースに収められていた。良い雰囲気の中で美味しくいただき、精算をお願いしたところ、なんと21リラ(約1050円)とのこと! 思いっきり観光地価格であることに驚く。


 
さすがに海が近い場所だけあって、当地はシーフードが豊富である。ロータリーの周りを中心にレストランがたくさんあるのだが、この晩は南の方へ歩いていった先の川沿いにある"YAKAMOZ"というシーフードレストランへ入った。川岸の客席に座り、薄暮の川面を眺めながら、まずはビールをぐびっと飲み干す。



客席からは、ダルヤンの観光名所のひとつである石窟墓(遺跡)が対岸にのぞめた。なかなか良いロケーションじゃないか。


 
注文したのはシーバス(スズキ)のグリル。やや薄めの味付けであったが、魚自体は肉厚で食べ応えがあり、そこそこの味であった。私がいただいていると、ネコが足元でミャーミャー鳴きながらおこぼれをねだってくる。自分一人で食事しているのは少々退屈だったので、このニャンコにもスズキを分け与え、一緒にディナーを楽しんだ。なおビール・グリル・食後の紅茶の3点で41リラ(2050円)。やっぱり観光地価格である。ま、仕方ないのかも。

宿泊したホテル、およびダルヤンから次の目的地への移動に関しては、次回記事で取り上げます。

次回へ続く。

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