温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

バルケシル県 ギョネン温泉 公衆浴場

2015年02月25日 | トルコ
 
前回記事ではギョネン温泉「ギュネシ・オテル」に付帯している個室風呂を取り上げました。当地には長い歴史を有する大きな公衆浴場があるのに、なぜ殺風景で閉塞的な個室風呂を利用したかと言えば、その日は公衆浴場が女湯として指定されている曜日であったため、男である私は利用できなかったからです(貸切の個室風呂でしたら性別を問わずいつでも利用可能)。でも公衆浴場は男女が日替わりですから、次の日になれば私も利用できるはず。その晩はギョネンで泊まりましたので、翌日改めて訪ってみますと、案の定、浴場の入口には"ERKEKLER"(男性)と掲示されていました。これで私も正々堂々と公衆浴場に入れます。


 
前回記事で取り上げた個室風呂と同じく、利用の際にはチケット売り場で入浴券を購入します。公衆浴場においても、2階層になっている更衣ゾーンの上層階の部屋を使う場合は7リラで、下層階だと6リラ(いずれもタオル2枚と腰巻き付き)、学生なら5リラといったように料金が細かく設定されています。私は上層階の方を選択しました。


 
玄関と番台は2階に位置しており、中央部分は泉のある吹き抜けとなっています。番台にチケットを提示すると裏面にスタンプが捺され、吹き抜けの向かい側にある個室を使ってくれと案内されました。料金に1リラの価格差をもたらす2階と1階の相違点は、着替え用の個室にドアやパーテーションがあるかないか、そして一区画あたりのスペースに若干の差があるといった程度で、湯上がりに寝そべられる長椅子が設けられている点は共通しており、それ以外にこれといった設備面の違いはありません。貴重品は入館時に番台へ預けますから、防犯面で敢えてドア付きの個室を選択する必要性は無く、この1リラの差をどう捉えるかは個人の価値観に依るでしょう。
浴室入口は中2階の位置にあり、浴室手前の三助さんが待機するような小部屋には、バスタオルが山積みにされていました。私は水着で入浴しましたが、水着ではなくトルコの伝統的な腰巻きで入浴する場合、湯上がり時にはここで新しい腰巻きに替えてもらうのでしょう。


 
天井が高くて広々としている浴室は、中央にプールのような浴槽が据えられ、それを挟んでシンメトリに洗い場が配置されています。床は大理石ですが、浴槽や側壁はシンプルなタイル貼りで、壁の上部やドーム型の天井には化成品の防滴壁材が用いられていました。

左右の洗い場にはそれぞれ水栓が6基ずつ並んでおり、垢すりやマッサージで使用する台も左右に設置されています。私が訪問した時には右側の洗い場の台で、屈強な体格のおじさんがお客さんをシャボンの泡だらけにしてマッサージしていました(垢すり15リラ・マッサージ20リラ)。この他、左側の洗い場ゾーンの奥にも更に洗い場用の小部屋があって、シャンプーするお客さんはなぜかこの小部屋に集まる傾向にあるようでした(私の訪問時だけの現象かもしれませんが)。

浴槽は目測で約8メートル四方。上述のように全面タイル貼りで、深さは130cm~140cm。身長165cmの私が槽内で直立すると、ギリギリ顔が出せる程度です。湯船のお湯は四方の縁から溢れ出て樹脂グレーチングへと流下しています。この浴槽に温泉を供給しているのは、金属製の青い獅子でして、その口からピューっ勢い良くお湯が吐出されていました。
湯加減は私の体感で41~2℃と日本人向き。湯中ではやや引っかかる浴感が得られます。湯船のお湯はミントグリーンのような色合いに弱く濁っていたのですが、これは源泉由来のものか、槽内のタイルの影響で変色して見えるのか、はたまたお湯が鈍ってしまっているのか、その辺りの事情はよくわかりません。湯口のお湯を口にすると、鉄錆味が感じられ、その味覚を視覚面で証明するかのように、獅子の下顎付近も赤錆色に染まっていました(いや、単純に錆びているだけかもしれませんが)。でも金気を含むお湯でありながら、槽内やオーバーフローするタイルなどに着色が一切見られないのは不思議です。
前回記事の個室風呂と同様、湯上がり後の温まりはかなり強力で、いつまでも噴き出る汗を拭っているうちに、まっさらなタオルはビショビショになってしまいました。見た目は大人しそうなお湯ですが、うちに秘めたるパワーは本格的であり、さすが古から人々に湯治の温泉として愛されてきただけの実力は侮れません。訪問したのは平日のお昼頃でしたが、常時10人以上の入浴客がいらっしゃり、そんな時間帯でもお客さんで賑わっているのですから、このお風呂は地元の方々からかなり愛されているのでしょう。


 
公衆浴場の前には上画像のようなお湯汲み場が設けられています。浴場内の青い獅子は下顎付近だけ赤錆色に着色されていましたが、こちらは水栓まわりが見事なまでに同色にはっきりと染まっており、実際に飲泉してみたところ、その見た目を裏切らない鉄の味が口の中に広がりました。ギョネン温泉のお湯って、そもそもは鉄気の多い泉質なんでしょうか。あるいは単純に配湯管が錆びちゃっているのでしょうか。
分析表を確認していないので、泉質に関してこれ以上の言及は避けておきます。
バスターミナルから至近という街中の便利な立地で、客の好みに応じたいろんなお風呂を選ぶことができる、旅人にとって使い勝手の良い温泉ではないかと実感しました。


GPS座標:N40.114226, E27.649849,



(↑サムネイルをクリックすると料金表の画像が拡大されます)
【公衆浴場の料金】
更衣室2階利用7リラ、更衣室1階利用6リラ、学生5リラ
更衣ゾーンの1階にドライヤーあり、貴重品は番台預かり、タオルや腰巻きの貸出あり

私の好み:★★

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