温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

十和田湖温泉郷 奥入瀬グリーンホテル

2017年04月04日 | 青森県
 
国道102号と103号が交差する青森県十和田市の法量焼山地区は、十和田湖や奥入瀬の観光拠点になっており、温泉浴場を備えた大型宿泊施設やスキー場などが集積していますが、今回はそんな施設のひとつである「奥入瀬グリーンホテル」で日帰り入浴してまいりました。なお、当地の温泉名に関しては、十和田湖温泉郷だったり奥入瀬渓流温泉だったり、あるいは焼山温泉だったりと、メディアによって様々ですが、実際には当地で温泉が湧いているわけではなく、遠く離れた猿倉温泉からの引湯ですから、拙ブログでは「十和田湖温泉郷」という曖昧な表現にさせていただきます。



こちらのお宿は日帰り入浴の営業に関するアナウンスを行っていないので、訪った時には少々不安でしたが、帳場で日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。帳場の左脇にある階段を下りて浴室へ向かいます。



グレー色の人工芝が敷かれているこぢんまりした脱衣室を抜けて浴室へ。
ドアを開けると、ゴムテニスボールのような硫化水素由来の香りがプンと香り鼻腔をくすぐります。内湯の床や側壁腰部はタイル張りですが、側壁上部には木材が採用されており、硫黄の湯の香と木材の暖かな見た目が温泉風情を醸し出していました。さらに、2方向がガラス窓なので、日中は照明なしでも十分明るく、のびのびと湯浴みすることができました。


 
内湯の浴槽は、手前側が緩やかな曲線を描くヨットの帆みたいな形状をしており、キャパとしては5人前後でしょうか。その反対側には洗い場が配置されており、8基のシャワー付きのカランがコの字型に並んでいました。


 
猿倉の源泉から十数キロの道程をはるばるやってきた温泉が、木組みの湯口から陽光の下へ流れ出て、キラキラ輝きながら浴槽を満たしていました。そのお湯は浴槽の縁から溢れ出ており、槽内で循環している様子は見られないので、放流式の湯使いかと思われます。お湯はわずかに白く靄掛かっている程度で、底面に白い湯の花が沈殿していますが、それが舞い上がっても強く白濁するようなことはなく、微かに白濁にとどまりました。なお、相当長年に及んで使い込まれてきたのか、浴槽の縁に用いられている石材の表面は、まるで玄武岩のようにゴツゴツしていました。


 
ドアを開けて屋外の露天風呂へ。向かいの山の緑を視界に広がるこの露天風呂は、屋根掛けされた石風呂です。


 
露天の湯船を正面から捉えてみました。この石風呂は3m×2.5mの四角形。奥に据えられた石積みの湯口より温泉が注がれ、手前側の縁よりオーバーフローしています。浴槽に張られているお湯は弱い白濁を呈しており、私が入る前はまだ透明度が高く、浴槽内のステップがはっきりと目視できていましたが、でも敷かれている石の目地には白い湯の花がたくさん沈殿しており、もし私が湯船に入ってお湯を動かしたら、湯の花が一気に舞い上がってたちまち強く白濁することは一目瞭然でした。


 
露天の湯口からは、温泉とともに弱いながらも鼻腔をツンと刺戟する硫化水素的な刺激臭が放たれていました。そして湯中には白い湯の花がたくさん舞っていました。内湯と同じ温泉であり、放流式の湯使いである点も同様です。


 
さて実際に濁るかどうか、私が入る前と後、つまり濁る前と濁った後を比較してみましょう。左(上)画像が濁る前、右(下)画像は濁った後です。濁る前は浴槽内のステップがはっきり目視できていましたが、濁った後はわずか数センチの深さにもかかわらず、目視できなくなるほど、灰黒色のゴマダラ模様を描きながら強く濁ったのでした。ただ、湯の花自体は大きいため、数分も経てば再び沈殿し、私が入る前と同等の透明度が戻ってきます。

お湯に関してですが、露天で強い濁りを呈したものの、これは沈殿している湯の花の量に左右されるものかと思われますから、見方を変えれば、外気温などの要因のほか、直近に清掃してからどのくらい時間が経っているかという人為的な要因も影響しているものと思われ、それらを取り除いて考えますと、ほぼ無色透明と判断して良いでしょう。上述したようにお湯からは軟式テニスボールのようなゴムっぽい硫化水素臭が放たれており、その匂いは弱い刺激を伴っていて、鼻炎で嗅覚が鈍い私でもはっきりと嗅ぎ取ることができるほど、浴室内に充満しています。またお湯を口に含むとゴムを想像させるようなイオウ感と弱酸味、そして石膏のような甘みも少々感じられました。味や匂い、そして湯の花の表れ方などから判断しますと、蒸気造成泉の特徴が非常によく表れていると言って良いかと思います。実際に湯元である猿倉温泉の旅館のお風呂では、掘削井から湧出する白濁湯とともに、蒸気造成泉のお湯も使っているようですから、そこからの引き湯である当エリアの各浴場でも、蒸気造成泉としての特徴が表れて当然なのですね。でも分析書に硫化水素の存在を示す数値が全く記載されていないのが実に不思議。私が感じた硫化水素感は幻だったのかな? そんな細かなことはさておき、しっとりするのにサラサラで癖がなく、体への当たりが優しいのに、場合によっては強く濁って個性を主張するという、実に面白いお湯です。長く引湯されてくる間に、お湯がこなれてくるのか、猿倉で入るよりも一層マイルドになっているような気がします(気のせいかもしれませんが)。
屁理屈が長くなってしまいましたが、内湯・露天ともに丁度良い湯加減に調整されており、なかなか良い湯でした。


十和田湖温泉(十和田湖温泉株式会社)
単純温泉 57℃ pH6.50 1000L/min 成分総計510.93mg/kg
Na+:62.99mg(41.06mval%), Ca++:60.51mg(45.30mval%),
Cl-:46.80mg(19.80mval%), SO4--:227.97mg(71.18mval%), HCO3-:36.61mg(9.00mval%),
H2SiO3:39.24mg, CO2:13.20mg,
(昭和39年5月19日)

青森駅・新青森駅または八戸駅よりJRバス東北の「おいらせ号」または「みずうみ号」で「十和田湖温泉郷」バス停下車
青森県十和田市法量焼山64-232  地図
0176-74-2211

日帰り入浴時間不明
500円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

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