温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

十和田湖温泉郷 民宿南部屋

2017年04月06日 | 青森県
 
昨年(2016年)夏の某日、十和田湖温泉郷の民宿「南部屋」を訪ねて、日帰り入浴してまいりました。
入母屋や破風といった伝統的な建築様式がとても印象的です。



お宿の前では日帰り入浴の幟がはためいていました。以前、こちらのお宿では日帰り入浴を受け付けていませんでしたが、2016年から受け入れを開始したんだそうです。これは、営業方針を変えたわけではなく、経営者そのものが変わったため。
「南部屋」は一度閉業してしまったのですが、その後、旅行会社に勤めていた現在のオーナーさんが、宿の魅力に惹かれて旧経営者から宿を買い取り、行政の補助金を活用しながらリニューアルオープンさせたんだそうです。


 
民芸調でまとめられた館内にお邪魔して日帰り入浴をお願いしますと、作務衣を着た現オーナーさんがとても丁寧にお風呂まで案内してくださいました。お風呂へ向かう途中でお座敷の角を右折するのですが、その座敷は湯上がりの休憩用として利用することができます。

お風呂は内湯が2室あり、時間帯によって男女を入れ替えています。2室のうち1室は、リニューアルに際して青森ヒバを多用した浴室に改修されており、その青森ヒバの浴室は、10:00〜22:00が男湯、22:00〜翌6:00が貸切、朝6:00〜10:00までが女湯というように時間区分されています(この時間割は訪問当時のもの)。


 
浴室のドアを開けて中の様子を目にした瞬間、その美しさに思わず感嘆の声が漏れてしまいました。木材のぬくもりと、無彩色のタイルや石材、そして後述する浴槽の深紅が、とても鮮やかな色彩美を織りなしているのです。また、浴室の2方向はガラス窓であるため、日中は陽光が降り注いで程よく明るく、隣の浴室との仕切りにガラスブロックが用いられているため、実際の床面積以上の広さがあるような視覚効果をももたらしていました。ちなみに窓サッシは木材製。あえてメンテナンスが大変な材質を採用したという点を一つとっても、細部にまで気を配って改修したことが窺えます。
そんな美しい室内にはツンと鼻腔を刺激するイオウの湯の香が漂っていて、ビジュアル面のみならず、温泉としても本格的であることが五感を通じて伝わってきました。


 
洗い場は壁に沿ってL字型に配置されており、窓下には水とお湯の蛇口(樹脂製水栓)のペアが3組、そしてその右側の壁側にはシャワー付きカランが2基並んでいました。


 

この浴槽が実に美しい。元々はタイル張りだったようですが、改修の際に深緋色の木材で上から覆い、木のぬくもりがたっぷりと感じられるお風呂へと生まれ変わりました。白濁湯と深緋色のコントラストが実に秀麗です。しかもカンナ掛けした大工さんの腕が素晴らしく、単に色彩が美しいのみならず、曲線や表面が非常に滑らかさなのです。あまりの滑らかさに感動し、私は何度もこの縁を自分の手で摩ってしまいました。小さなお風呂ながら、そこに込められた心には大変熱いものを覚えます。


 
石積みの湯口は以前のまま。石の奥に隠されたバルブ付きの配管より温泉が吐出されており、湯船のお湯は青みを帯びた強い白濁を呈しています。浴槽内部は水色のタイル張りであるため、お湯が青み掛かって見えるのでしょう。
この美しい湯船に注がれている温泉は、前回記事の「奥入瀬グリーンホテル」と同じく、遠く離れた猿倉温泉からの引湯なのですが、同じ引湯だとは思えないほど、このお風呂ではお湯の個性が強く現れています。お湯を口に含むと、少々の酸味と弱い苦味を伴うゴムのようなイオウ風味が感じられ、先述したように軽く鼻腔をツンと刺激するようなイオウ臭が香ってきます。湯中では白く細かな湯の華が無数に舞っており、これによってお湯が白濁しているように見えます。湯船に体を沈めると弱いながらも引っかかる浴感とホールド感が得られ、また少々熱めでピリッとしますが、その熱さがクセになる気持ち良さをもたらしてくれます。そして引湯とは思えないほどフレッシュなフィーリングを有していました。配湯や湯使いによってお湯のコンディションが左右されるのでしょうけど、こちらのお風呂では実に素晴らしい状態が保たれており、単純泉とは思えないほどしっかりとしたイオウ感を楽しむことができました。

新たなオーナーさんの手によって、再びお客さんを迎えるようになった新生「民宿南部屋」。次回訪問時は是非宿泊してゆっくりと過ごしたいものです。おすすめ!


猿倉温泉混合泉(再分析)
(小笠原2号・注水井2号泉、小笠原4号泉、小笠原7号泉、注水井1号泉、注水井3号泉)
単純温泉 55.8℃ pH6.51 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質0.503g/kg 成分総計0.541g/kg
Na+:65.4mg(46.79mval%), Ca++:53.7mg(44.15mval%),
Cl-:54.2mg(25.59mval%), SO4--:195.1mg(67.89mval%), HCO3-:20.4mg,
H2SiO3:89.8mg, HBO2:10.6mg, CO2:38.1mg,
(平成23年7月12日)

青森県十和田市大字奥瀬字栃久保11-41  地図
0176-74-2047
ホームページ

日帰り入浴11:00〜18:00(宿泊状況により日帰り入浴を休む場合あり)
400円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
ジャンル:
温泉
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4 コメント

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Unknown (シド)
2017-04-06 08:08:21
新オーナーさんの宿にかける意気込みほんと凄いと思いますね。

ちょいちょいお邪魔してますが、隣の浴室もいいですよ!
Unknown (Dan)
2017-04-06 13:26:15
我々は2度宿泊いたしました
1回目はリニューアル前、2回目はリニューアル後
しかも、リニューアル後の1番風呂を頂きました(^_^)v
その時の浴槽湯縁の色が濃くなってるような
気がします
こりゃ確かめにいかなかかゃ(*^^*)
なんと! (へす)
2017-04-06 17:45:53
こんな偶然がw  記事が被りまくり(^^;

私の稚拙な表現と比べられちゃうなぁ(劇汗
まとめて返信させていただきます (K-I)
2017-04-07 15:27:11
・シドさん
新しいオーナーさんの丁寧な接客と、誠意たっぷりの頑張りには心を打たれました。良いお宿が次々過去帳入りする中、是非ともこちらのお宿には頑張ってほしいですね。応援の意味でまた再訪したいと思っています(その時には隣のお風呂にも入ってみたいものです)。

・Danさん
ブログ拝見しております。たしかに浴槽の木材の色に関しては、私の訪問時の方が、赤みが強くなっていますね。まさか張り替えたのでしょうか? あるいはニス等を塗ったのでしょうか? でも、まるでカンナがけしたばかりのような、ものすごく滑らかな肌触りでしたから、何かを塗ったようには感じられなかったのですが…。

・へすさん
気づきませんでした。偶然ですね。いえいえ、こちらこそ、お恥ずかしい限りです。恐れ入ります。だからというわけではありませんが(笑)、拙ブログは次回(明日)から数回だけ日本から逃げ、その後再び青森県の記事に戻る予定です。

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