温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ミンピリゾート・ムンジャンガン その1(客室・屋外温泉風呂)

2017年05月06日 | インドネシア
前回までの記事で述べてきましたように、私は2016年10月に、インドネシア・ジャワ島の温泉を巡った後、鉄道でジャワ島を東西に横断し、さらにバリ海峡をフェリーで渡って、バリ島の西部へとやってまいりました。バリ島上陸してまず初めに泊まったのは、ダイビングやシュノーケリングを楽しむ旅行者から高い評価を受けているリゾートホテル「ミンピリゾート・ムンジャンガン」(MIMPI RESORT MENJANGAN)です。バリ島の中心部はいかにも観光地然としており、人も多くて賑やかですが、このリゾートが位置する島の西部は、そのほとんどが国立公園のエリア内であるため、美しい自然環境が保たれており、リゾート観光地にありがちなガチャガチャとした喧騒とは無縁です。

さて、今回私はなぜこのリゾートで泊まることにしたのか、その理由は複数あって、フェリーが着くギリマヌッ港から近いこと、静かな環境が期待できること、シュノーケリングなどマリンレジャーが楽しめることなどが挙げられるのですが、最大の理由は、自家源泉を有しているバリ島では数少ない温泉リゾートであり、(料金設定が)ちょっと高いコテージに泊まれば、自由に入れる温泉露天風呂が各コテージに付帯しているという点です。


 
マングローブの入江に面した広大な敷地を有しているこちらのリゾート。周辺環境に馴染ませるためか、レセプションは質素でオープンな造りになっていました。


 
レセプションの前にはレンタル自転車が用意されていました。敷地内では鶏がお散歩中。


●客室
このリゾートにはタイプ別に数種類の客室があるんだそうですが、大雑把に分けると、ビルディングタイプの「パティオ・ルーム」と、コテージの「コートヤード・ヴィラ」の2タイプに分けられるようです。客室数が最も多くてリーズナブルな「パティオ・ルーム」には温泉のお風呂はありませんが、その代わり宿泊客が利用できるパブリック露天風呂に入ることができます。一方、「コートヤード・ヴィラ」には上述したように、各コテージに露天風呂が付いているんですね。そこで今回はちょっと奮発して「コートヤード・ヴィラ」に泊まることにしました。


 
緑豊かなガーデンの中にコテージが点在しています。南京錠で施錠された扉を開けて中へ。


 
今回私の泊まったコテージがこちら。茅葺き屋根を戴くナチュラルな外観のコテージ内では、タオルアートが載せられている天蓋付きのベッドがお出迎え。中年男の一人旅なのに、こんなロマンチックなお部屋は些か不釣り合いかもしれませんが、旅は恥の掻き捨てと言いますから、この時は恥ずかしさをかなぐり捨てて、このムーディーな雰囲気に酔いしれることにしました。
なお室内にはテレビ・冷蔵庫(ミニバー付き)・エアコンなど電化製品が完備されていますので、特に不自由さを覚えることはありませんでした。


 
左or上画像は、ベッドの上から庭を眺めた様子です。庭の向こう側に見える茅葺きは、後述する露天風呂を覆っている屋根です。
日本人利用者も多いのか、室内には日本語表記による案内が用意されていましたが、日本語を話せるスタッフはいないようでした(過去にはいらっしゃったようです)。


 
お部屋に付帯しているバスルーム(シャワーやトイレなど)は、一応屋根の下にあるものの、庭側には壁がなく、目隠しの鎧戸が立っている程度であるため、実質的に半露天状態です。


●客室の温泉風呂
先程も申し上げましたように、各ヴィラには温泉露天風呂が付帯しており、滞在中いつでも自由に自由な姿で(つまり水着不要で)入ることができます。

 
客室よりひと回り小さな茅葺き屋根の下に、清らかな透明のお湯を湛えた私専用のお風呂が用意されていました。


 
プールサイドならぬバスサイドには、上画像のような寝転がりスペースが設けられています。巨大なベッドのようなクッション性の台の上にゴザが敷かれており、たくさんの枕が用意されていました。温泉に火照ってクールダウンしたいとき、あるいは屋外の風に吹かれながら寛ぎたいとき等、ここでゴロンと横になると実に気持ち良いんです。周囲は簾や生垣で目隠しされているので、姿を気にせず自由な状態でくつろげますし、適度に風が入ってきますので、特に夜風が吹くときには実に爽快です。


 
浴槽上の壁にはお湯のコックがあり、使用していない時にはお湯を止めておくよう、注意喚起されていました。日本語も併記されているので安心です。


 
石膏像の口から吐出されるお湯の温度は42.2℃。お湯とともにふんわりとしたタマゴ臭が放たれていました。湯使いは完全放流式。循環などは行われていない、100%源泉のお湯です。


 
浴槽は2人が余裕で一緒に入れる容量があり、槽内で直立すると臍下までお湯が浸かるほど、やや深めの造りになっています。また腰が掛けられるほど広いステップもあるので、肩までしっかりとした入り応えを期待したい人や、浅く湯浴みしたい人、その両方のニーズに応えられるでしょう。湯口で42℃あったお湯は、湯船では38.5℃まで下がっていますが、むしろ長湯するにはちょうど良いくらいのぬる湯です。pH8.34ですから、ほぼアルカリ性泉と表現して差し支えないかと思います。室内の案内によれば、温泉の泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉とのことですが、無色透明で大変クリアなお湯の中では白い綿毛のような湯の花がチラホラ舞っており、湯面からは芳醇で濃いタマゴ臭が漂ってきましたから、泉質名としては表れてこないものの、硫化水素やチオ硫酸イオンもそれなりの量が含まれているものと推測されます。湯中ではスルスベの滑らかさの中に少々のグリップが効くような浴感が得られ、またトロミもあり、総じて優しくやわらかい感じがします。芳醇な硫黄臭や、クリアに澄み切ったぬるいお湯、硫酸塩泉を思わせる浴感、そして柔らかく優しい感じなど、ここのお湯は、上州の霧積温泉を連想させる特色を有しているように思われました。つまりあの歴史ある霧積温泉を連想させるほど、この温泉は名湯なのです。部屋にいるときには、数え切れないくらい何度もこのお風呂に入り、異国の地で開放的な湯浴みを満喫させていただきました。奮発してこの部屋に泊まって本当に良かった!

次回記事では、ビルディングタイプの「パティオ・ルーム」の宿泊客でも利用できる、パブリック用露天風呂を取り上げます。

次回につづく。

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