温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

帯広市街 オベリベリ温泉 水光園

2012年02月18日 | 北海道
 
帯広人から評判が高い温泉日帰り入浴施設「水光園」へ行ってきました。国道38号線(十勝国道)沿いのわかりやすい立地に大きな看板が立っているので、深刻な悩み事を抱えてうわの空になっていなければ見逃すことはないでしょう。比較的本数の多い東10条バス停からも近いので、公共交通機関でも便利です。



駐車場内には「匠そば」というお蕎麦屋さんも併設されています。



駐車場から伸びるアプローチを進んで小川を渡ります。せせらぎと緑に囲まれた市街地っぽくない公園のような雰囲気です。施設名にオベリベリという名前が冠されていますが、このオベリベリとは帯広の名前の由来なんだそうでして、アイヌ語で川の流れが幾筋も裂けている(分岐している)場所という意味の「オペレペレケプ」が和人鈍りの「オベリベリ」へ転じ、更にオビヒロになったんだそうです(個人的な見解としては相当無理があるような気がするのですが…)。この小川はすぐ北を流れる十勝川の枝分かれなんでしょうね。上で掲載した看板に「帯広発祥の地」と書かれていたのは、この水路と関係があるのかもしれません。



本棟の前に到着です。こちらにも広い駐車場が用意されているので、車で来る場合にはここまで乗り入れちゃった方がいいですね。2006年12月にリニューアルオープンして以来、施設の充実さやお湯の良さが評判となって人気を集め、その勢いはいまだに衰えていません。この日も駐車場にはたくさんの車がとまっており、更に次から次へと来客が見られました。



内部撮影は禁止されているので、内部やお風呂の様子は下手な文章のみでご勘弁を。

平屋の建物内部は明るく綺麗。暖色系の内装でまとめられており、全体からぬくもりが感じられます。下足場は畳敷きなのは、利用者に優しい配慮ですね。券売機で料金を支払い、受付のおじさんに券を手渡します。今時の温泉銭湯らしく、内部はお座敷の休憩室があったり、ドリンクやソフトクリームが注文できるカウンターが設けられていたりします。脱衣所も広々としており、棚とロッカーが併設されていて、その数も多く、混雑しても脱衣棚が不足することはないでしょう。ドライヤーのあるパウダールームの区画がしっかり仕分けられているのもうれしいところ。

脱衣所と浴室の間に設けられた緩衝エリア(踏み込み)には洗面台が設置され、浴室に入ってすぐのところには源泉が注がれている掛け湯の甕が置かれています。その左右のサウナルームにはひっきりなしにお客さんが出入りしており、右側は低温、左側は高温の設定となっています。

浴室内はコンクリ打ちっぱなしの現代的な造りで、高い天井は中央に向かって拝んでいるような三角の形状です。浴室の左半分は洗い場スペースで占められ、36基のカランが何列にも及んで並んでいます。いずれも単水栓とシャワーがセットになったオートストップ式の水栓で、ボタンを押すと源泉のお湯が出てきますが、水・湯の切り替えや温度調整はできません。洗い場にはお風呂道具置き場がたっぷり確保されているので、他人のお風呂道具で洗い場が占領されるようなことも少なくて済みます。

お風呂は大きく分類すると内湯と露天に分かれ、内湯はタイル貼りの浴槽で大きなガラス窓に面しており、奥から副浴槽(電気風呂)・主浴槽・副浴槽(ジェット風呂)・水風呂の順に並んでいます。水風呂以外はいずれも温泉水が投入されていますが、館内表示によれば主浴槽は源泉掛け流し、副浴槽のジェット風呂や電気風呂は「資源保護の為、濾過掛け流しです」とのことです。資源保護と濾過掛け流しという表現がどのように連関するのか、いまひとつわかりませんが、各浴槽の湯口からはドバドバと大量にお湯が注がれており、洗い場へはオーバーフローせず、各槽の隅っこにある排水口から排湯されていました。加温加水は行われていないものの、塩素系薬剤での消毒は実施されているそうです。

そのお湯はいかにもモール系のお湯らしく紅茶色の透明で、湯中には腐植質と思しきグラスウールのような細かい繊維状の浮遊物がたくさん見られました。モール臭やほろ苦味、そしてタマゴ的な匂いと味が明瞭に感じられ、塩素系薬剤の存在はほとんど気になりませんでした(というか鈍感な私の感覚では掴めなかっただけかも)。モール泉らしいヌルヌル感を含むツルツルスベスベの肌触りがとっても気持ち良く、その中でもやっぱり掛け流しの主浴槽が最も強く浴感が体に伝わり、若干熱い湯加減ですが、何度も肌をさすりたくなるほど上質な浴感が楽しめました。また気泡もしっかり付着してくれます。ただこの主浴槽はその熱さが敬遠されるのか、浴感が良いにもかかわらずそれほど人は集まらず、むしろ隣の電気風呂やジェット風呂が人気を集めていました。

露天風呂は、屋根が架かっている四角い露天御影風呂と、屋根無しで丸い浴槽の石風呂のふたつ。周囲は塀で囲まれているものの、露天エリアのスペース自体には余裕があり、塀の向こうも木立が続いているばかりで人家などは見当たらないため、閉塞感は無く開放的です。市街地とは思えない静かな環境の中で湯あみが楽しめます。

御影風呂はその名の通り御影石で作られた四角い浴槽であり、木材の質感が伝わってくるシックな雰囲気のウッディな屋根で覆われ、その一部は寝湯ゾーン(3人分)となっています。内湯の副浴槽と同様に濾過掛け流しという湯使いで温泉水が使用されています。

一方、屋根が無く露出している石風呂は8人ぐらいは余裕で入れそうな円形の浴槽で、こちらは源泉がそのまま注がれており、お湯の浴感はやはり御影風呂よりこちらの方が断然良いです。この浴槽で素晴らしいのは、単に源泉掛け流しであるだけでなく、丸い浴槽の円周が歩行湯を兼ねたスロープになっており、左右に分かれたスロープを歩いて最奥部まで行くとやや深めの全身浴槽となっていることです。内湯同様にやや熱めの湯加減なのですが、歩行湯ですと程よく体をクールダウンさせながら湯あみができるので、落ち着きが無くじっと腰を据えられない私はこの歩行湯をたっぷり楽しみました。またこの歩行湯ゾーンは車椅子に座ったまま利用できるように設計されているらしく、バリアフリーという観点からも秀逸です。

モールのお湯は良質、使い勝手も良好で、静かな環境の露天風呂も楽しめる。こんな条件が揃っていれば混雑するのも当然でしょう。温泉ファンは泉質で、そうでない方は施設の綺麗さや充実さでそれぞれ評価できる、すばらしい温泉施設だと思います。


アルカリ性単純温泉 45.3℃ pH8.7 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質0.493g/kg 成分総計0.494g/kg
Na+:121.2mg(97.41mval%),
Cl-:37.4mg(19.09mval%), HCO3-:258.3mg(76.91mval%),
H2SiO3:61.3mg, 遊離CO2:0.9mg
 

JR帯広駅より十勝バスの東13条行or幕別行等で東10条下車(駅から約15分・190円)徒歩1分
北海道帯広市東10条南5丁目6  地図
0155-23-4700

11:00~23:00 元旦以外無休
420円
ロッカー(下足箱・脱衣所とも100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★


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