温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

磯谷温泉

2014年02月02日 | 北海道

前回および前々回に取り上げた大船温泉の北側に聳える山の向こう側にも、大船温泉と似たような性質の温泉が湧いており、こちらも一部の温泉ファンには夙に有名ですので、温泉好きの端くれとして、私も現地ヘ行ってみることにしました。国道278号線を北上し、上画像の地点で左折して山へ伸びる細い路地に入ってゆきます。


 
路地に入るとすぐに急な登り坂となり、やがて舗装も終わって砂利の林道となりました。ネット上の情報によればかなり荒れた道であるとのことでしたが、水力発電の管理用道路であるためか、最低限の整備はなされており、40km/hまでスピードをあげられる区間もありましたので、私としては意外と走りやすかったように思います。途中2箇所ほど分岐がありますが、いずれも道なり(右手)に真っ直ぐ進めばOK。


 
磯谷川に沿って谷の南側を南西方向へ走ってゆくと、国道の分岐点から7~8分ほどで目の前に鉄パイプの柵が目に入ってきました。ここが今回の目的地である「磯谷温泉」であります。柵の向こうに立ちはだかる擁壁は、部分的に純白に染まっていますが・・・


 
湯気を立ち上らせていることからもわかるように、ここには上から温泉が滝のように流れ落ちており、硫黄の付着によって白く染まっているのであります。この湯の滝周辺はグジュグジュの泥濘と化しており、普通の靴で踏み入れようとすると、靴の中に泥水が入り込んで不快な思いをすること必至ですが、こんなこともあろうかと、私は車に常備しているゴム長靴に履き替えて、この湯の滝へと近づきました。硫黄の匂いを辺りに漂わせる滝は、匂いのみならず飛沫も撒き散らしており、近づくにつれて服が次第に湿ってくるのですが、そんなことにめげることなく、湯滝に温度計を突っ込んでみたところ、46.4℃という数値が計測されました。ちょっと冷ませば湯浴みに最適な温度になりますが、何しろ滝の直下に滝壺らしきものはなく、落ちた硫黄の湯は重量に任せて低い方へと流れるばかりですから、ここで野湯をすることはできません。



湯滝から地面へ叩きつけられたお湯は、その場で溜まること無く、一筋の細い水路を作って林道の下を潜り、磯谷川の方へと流れてゆきます。上画像は磯谷川側から湯滝の方を向かって撮ったものでして、わかりにくいかもしれませんが、画像中央からやや左に私の車、そして奥に湯滝が写っています。また手前に小さな湯溜まりも写っていますね。湯溜まりを見つけたら野湯をしたくなるのが温泉ファンの習性ですが、この湯溜まりは小さく浅いので、入浴にはあまり適していません。


 
湯溜まりでの入浴はできませんが、「磯谷温泉」には固定の愛好家がいらっしゃるようでして、白濁油の流れが磯谷川へ落ちてゆく岸の手前には、その愛好家の方々が持ち込んだと思しきバスタブや樋が置かれています。普段それらはちょっと離れた片隅で伏せられているのですが、もしここで入浴したければ、そのバスタブをお湯が流れるところまで運んでセッティングし、樋を組み立てて流路のお湯を湯船へ導けば、立派な温泉入浴ができちゃうのであります。
私がここへ到着した時、タイミング良く2人の先客がそのお風呂を組み立てて入浴なさっており、ご挨拶しましたら「良ければ入っていきませんか」と声をかけてくださったので・・・



ご厚意に甘えて、こんな感じで湯浴みさせていただきました。清流のせせらぎを耳にし、今が盛りの紅葉を眺めながら浸かる、このワイルドな白濁湯は、言葉に言い尽くせない最高のお湯です。まさに北海道ならではの大自然の恵みですね。
湯滝で46℃あったお湯は、ここまで流れてくる間に自然冷却され、この湯船では38~9℃くらいまで下がっていました。そのお湯自体は山を越えた南側に湧く大船温泉のような白濁湯で、イオウの香りがプンとただよい、イオウ味・苦味・石膏味が感じられる点も大船温泉に似ています。磯谷川の上流には硫黄山という山が聳えていますが、大船温泉も磯谷温泉も硫黄山がもたらしている兄弟のような存在なのかもしれませんね。



入浴した後は浴槽を片付けます。浴槽のお湯を川へ流して中身をあけ・・・


 
風呂桶は逆さにしておき、樋もまとめて片隅へ置いておきました。
なおこの一体には野生化した馬がたくさん生息しているらしく、実際に辺りにはたくさんの馬糞が散らばっていました。当地へ訪れる際は糞を踏んづけないようお気をつけを。


泉質名不明

北海道函館市双見町 (地図による場所の特定は控えさせていただきます)

野湯につき、湯船をセッティングすればいつでも入浴可能
無料
(利用後は必ず後片付けを!)

私の好み:★★★

コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あまちゃん)
2014-02-02 05:50:21
お久しぶりです(^-^)
気持ちよさげに怪しげなマニア向けなお風呂
こんなとき男性は入れていいなあ。
北海道の旅、あたしもしたい!
お勧めを三つ、函館あたりの教えてください
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Unknown (K-I)
2014-02-02 16:35:51
あまちゃんさん、こんにちは。
仰るとおり、男はこういう状況ですととても楽ですね。温泉を愛する女性にとって、人間をアダムとイブに分けた神様はさぞ恨めしいかもしれませんね(^^) とはいえ女性の温泉マニアでもこの手のワイルドな温泉を好んで入る方もいらっしゃり、その度胸には恐れ入ります。いざとなれば男の方が小心者でだらしないですからね(←自嘲)
さてさて、函館界隈のおすすめ温泉とのことですが、たくさんありすぎて何処をおすすめすれば良いやら
函館からちょっと離れますが、「銀婚湯」はお湯・料理・風情、いずれをとっても素晴らしいです。また濁川温泉には明治以来の古い造りのお風呂があり、歴史を感じながら湯浴みできます。函館近郊の「西ききょう温泉」は、日帰り入浴専門でして、露天の湯船が土管だったりと、ちょっとB級感がありますが、お湯の質はとてもGOODです。入浴のみでしたら、函館のお湯を知る上では市営の谷地頭温泉もはずせませんね。あれ、4つになってしまった…。
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Unknown (あまちゃん)
2014-02-04 06:59:17
4つ(笑)もありがとう!銀婚湯きいたことあります。そこでゆっくり二泊できるかな。一人旅可能かな。問い合わせするつもりです。行き、帰りに日帰りのお勧めよれるかな。地図みてみますね。
また、色々教えてくださいね。
ありがとう!
返信する
Unknown (K-I)
2014-02-04 23:37:20
>ゆっくり二泊できるかな。一人旅可能かな
「銀婚湯」は一人客でも歓迎してくれますよ。私も一人で泊まりました。広い敷地内にいくつもの素敵な貸切露天風呂が点在していますので(ひとつひとつが徒歩数分離れています)、できれば2泊していただくと、その全てを満喫できるかと思います。料理もおいしく、ホスピタリティも良いので、おすすめです。
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