温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

2013年の温泉十傑 西日本&海外編

2013年12月30日 | 旅行記
2013年ももうすぐオシマイ。今年もまとまりのない入浴記をノンベンダラリと書き綴ってまいりましたが、その数は約250湯にも及び、記事にしていないものも含めれば300を優に超えます。いつも私は一人で巡っているのですが、その数を振り返ってみると、よくもまぁこんなに訪問できたものだと我ながら感心し、同時に呆れ果ててしまいました。飽きもせずに時間をみつけて、今日も明日も明後日も、北海道から鹿児島まで、温泉目指して東奔西走、おかげで社内の評価は下降線を辿る一方、睡眠不足も慢性化、貯金もスッカラカンです。
今回はそんな約300湯から今年のベストを選出してみようと企画してみたのですが、優柔不断な私が順位をつけて十傑や二十傑を選ぶことができませんので、ランキングせずに日本の東西および海外に分けて、それぞれについて10箇所をチョイスし、列挙させていただきました。まず今回は西日本&海外編です。なお各温泉名の頭に振っている数字は、ランキングの順位ではなく、単なる通し番号ですので、あしからず。


●台湾
私は毎年必ず海外の温泉をめぐることにしており、今年は台湾とアメリカ(温泉とは無関係)へ出かけまして、その他にももう1~2ヶ国訪れる計画を立てていたのですが、夏に新車のSUVを衝動買いしてしまったために資金が底をついてしまい、結局温泉めぐりできた海外は台湾のみになってしまいました。そんな台湾からは3つを選ばせていただきましたが、図らずも野湯ばかりになってしまったのは私の趣向の問題であります。


台1 【梵梵温泉】
(当該記事へのリンク)
数ある宜蘭県の野湯(台湾では野渓温泉と称します)の中では、大きさ・湯加減・泉質ともに最高のクオリティではないでしょうか。駐車場から川原をさかのぼり、何度か渡渉して辿り着いたときには、本当に感動しちゃいました。



台2 【清水地熱の中洲に湧く白濁湯】
(当該記事へのリンク)
同じく宜蘭県の野湯です。清水地熱というエリアは文字通り地熱資源の宝庫であり、有名な野湯もあるのですが、その野湯を探している途中、川の中州で偶然発見したのが、この噴気孔から湧いていた白濁湯でありました。ロケーションといい、白濁湯といい、文句なく最高でした。


 
台3 【排骨渓温泉】
(当該記事へのリンク)
存在こそ地味ですが、台湾の野湯にしては比較的辿り着きやすく、足元から湧き出る清らかなお湯が実に印象的でした。湯溜まりの大きさも湯加減も実に良い塩梅。私個人としては梵梵温泉や清水地熱よりも再訪問したい野湯でした。


台湾編

往年のTV番組「ザ・ベスト●ン」的に、惜しくもベスト10に一歩及ばなかったものの、印象に強く残った注目すべき温泉たちもここで取り上げましょう。

  
【小錦屏温泉】
(当該記事へのリンク)
新竹県の山奥。汗だくになりながら険しい山道を延々と登り、そして一気に転がるように谷底へ下りていった先にある、台湾のアウトドア愛好家には名の知れた野湯です。大きな岩がゴロゴロする谷底の川原には、足元湧出の温泉の湯溜まりがいくつかあり、愛好家によってそれらにはテントが張られていて、ここでキャンプをする人もいらっしゃるようです。


  
【大窩温泉】
(当該記事へのリンク)
イチゴで有名な大湖郷で湧出する知る人ぞ知る温泉です。ネット上の情報が少なく、現地にも案内看板が全くといって良いほど無いので、自分で探し当てたときにはちょっと感動しちゃいました。かつては繁盛していたようですが、いまではすっかり荒廃しかかっているものの、一応温泉施設として営業は続けられているようです。アワアワでヌルヌルなお湯は私の好みのストライクゾーンど真ん中なのですが、現状は温泉というより養魚場に近い雰囲気であって、名湯というより珍湯にカテゴライズされる温泉でありますから、一般の方にはおすすめできません。




●西日本
 
1 【鹿児島県 紫尾温泉 旅籠しび荘】
(当該記事へのリンク)
北薩地方の湯めぐりで一泊お世話になったお宿です。ここはなにしろコストパフォーマンスが優れており、あの料金なのにこんなに腹いっぱい美味しいお食事をいただいて良いのかと、客のくせに恐縮してしまいました。もちろんお湯もとっても素晴らしく、就中、内湯左側にある逆台形の天然石で造られた浴槽に入った時の心境たるや、まさに夢心地でした。この浴槽には紫尾温泉でもここでしか入れない下の湯源泉が注がれており、他のお風呂よりも濃いエメラルドグリーンを呈しているそのお湯は40℃程度というぬるめの長湯仕様となっているので、芳しいタマゴ臭に包まれながら、じっくりのんびりと極上の湯浴みを満喫できました。


 
 
2 【鹿児島県 湯川内温泉 かじか荘】
(当該記事へのリンク…「その1 部屋・食事・浴場(大)」「その2 浴場(小)」
多くの温泉ファンから絶大な支持を集めている北薩の名湯であります。2つある浴室の浴槽では、それぞれ足元から大量のお湯が湧出しており、その清らかなお湯は軽やかで優しいフィーリングで以て入浴者を包み、しかもその温度が不感温度帯であるため、時間を忘れていつまでも浸かっていられるのです。訪問した時期は折しもカジカガエルの恋の季節。日が暮れると、沢のあちこちからカジカガエルの美しい歌声が聞こえてきて、メスガエルではなく私が恋に落ちそうでした。尤も私は体形が青空球児・好児の球児さんに近づいているので、「ゲロゲーロ」という声に肉体が勝手に呼応してしまうのかもしれませんが、そんな冗談はともかく、ここは何度でも再訪問したいお湯ですね。


 
3 【熊本県 湯の鶴温泉 きくの湯】
(当該記事へのリンク)
川沿いの古くて小さな湯屋、そしてそこへ向かうための小さな橋…。これらの要素を目にした刹那、ゾッコン惚れ込んじゃいました。しかもその湯屋で湛えられているお湯がこの上なく澄み切っており、お風呂自体も無人施設なのに実に綺麗に維持されているではありませんか。九州に息づく温泉文化の深さと、そこで生活する人々が温泉に対して払う敬意を実感することが出来たお風呂でした。


 
4 【熊本県 湯浦温泉 岩の湯】
(当該記事へのリンク)
建物自体は最近リニューアルされたばかりで、一見するとごく普通の公衆浴場なのですが、その浴槽に張られているお湯が実にブリリアント! 改修前の旧浴場時代から使われているウサギさんの湯口から清らかに澄んだお湯が大量に注がれており、洪水かと見紛うほどドバドバとオーバーフローしているのですが、そのお湯からはタマゴ感がふんわり漂い、浴感も軽やかで、お湯の中では大量に気泡が肌に付着するのです。綺麗なお風呂で且つこんな極上のお湯でありながら、湯銭はたった170円なのですから、もう東京で生活するのがバカバカしくなっちゃいました。私のストライクゾーンど真ん中です。



西日本編

十傑の途中ですが、西日本編でも惜しくも十傑に入らなかったが強く印象に残った温泉たちにスポットライトを当ててみましょう。

  
【宮之城温泉 さがら食堂(さがら温泉)】
(当該記事へのリンク)
わずか100円で入浴できる、食堂に付帯した温泉浴場です。地元の方からは公衆浴場代わりとして愛されているようです。芳醇なタマゴ感を擁する透明なお湯は、ローションを彷彿とさせるはっきりとしたツルスベ浴感が非常に心地よく、病みつきになりそうな程、私の好みに完全にマッチしたお湯でした。


  
【熊本県 平小城温泉 城山公衆浴場】
(当該記事へのリンク)
いかにも地元民向けの共同浴場らしい、長閑な田園風景の真ん中に佇む、古びた公民館のような趣きの小さな浴場なのですが、その湯船に張られている無色澄明のお湯がまどろみを誘う魅惑の力を有しており、ふんわりと香るタマゴ臭を嗅ぎながら、全身に気泡を付着させながらじっくり湯浴みしていると、気づけば瞼が閉じて一寝入りしそうになってしまいました。


  
【熊本県 寺尾野温泉 薬師湯(再訪問)】
(当該記事へのリンク)
今年のベスト10を選出するに当たって、敢えて再訪したところをチョイスするのは如何なものかと躊躇しましたが、良いものは良いのですから「スポットライト」にラインナップさせていただきました。この共同浴場は佇まいもお湯のクオリティも、本当に秀逸なのですよ。湯屋全体が神懸っている、いや、お薬師様のお湯だから仏様のご利益・功徳に包まれていると言うべきでしょうか、ともかくファンタスティック、極楽浄土に昇天したかのような心地です。また再訪問したい一湯であります。


  
【富山県 神代温泉】
(当該記事へのリンク)
哀愁漂う鄙びた建物と、塩辛くて金気も強い濁り湯が実に印象的な温泉でした。その塩分濃度の濃さゆえ、迂闊に長湯してしまうと体力が奪われてしまうこと必至の、とっても凶暴なお湯であります。氷見周辺はこの手のお湯が多いので、湯めぐりも体力勝負になってきます…。



松田聖子が搭乗している全日空機が無事千歳から羽田に到着したところで 引き続き、十傑に戻りましょう。


 

5 【岡山県 般若寺温泉】
(来年掲載予定)
岡山県内陸部の美作地方は、温泉資源にあまり恵まれていない瀬戸内エリアでは貴重な名湯の地でありますが、そんな当地の温泉でも風情や環境といった面で実にcharacteristicなのが、奥津温泉付近に位置する般若寺温泉ではないでしょうか。こちらは事前予約制なので、いきなり行っても入浴は難しいかと思うのですが、幸いにもこの時は訪問2~3時間前に電話したら利用OKでした。茅葺屋根の母屋といい、川岸の崖下にちょこんと佇む自噴湯の露天風呂といい、実に素晴らしいロケーションであり、露天に入浴中は、恰も自分が水墨画の風景に溶け込んだかのような心境でした。


 
6 【岡山県 湯郷温泉 療養湯】
(来年掲載予定)
「療養湯」という施設名が興味をそそりますね。湯郷温泉には有名な日帰り入浴施設「鷺温泉館」がありますが、それに隣接している目立たない浴場がこの「療養湯」です。同じ棟の右半分は地元民専用の「村湯」となっており、外来者が利用できるのは左半分の「療養湯」となるのですが、このお風呂では当地では貴重な完全掛け流しを実現しており、黒い羽根状の湯の華をユラユラ漂わせながら硫黄臭を強く放つ湯郷のお湯は、実に個性的でアトラクティヴなんです。お風呂自体は特筆すべき特徴がありませんが、とにかくお湯が素晴らしい。岡山県で私が最も好きなお湯です。


 
7 【京都府 琴引浜露天風呂】
(当該記事へのリンク)
「京都府イコール温泉不毛の地」という私の固定概念を根底から覆してくれた、素晴らしい露天風呂です。美しい白砂青松の絶景を目の前にしながら、お湯がドバドバ吐出される完全掛け流しの露天風呂に浸かれる喜びといったら、筆舌に尽くしがたいものがあります。


 
 
8 【和歌山県 湯の峰温泉 つぼ湯】
(来年掲載予定)
世界遺産の温泉である紀州熊野の湯の峰温泉。当地にはいくつかの源泉があり、宿・施設によって入浴できるお湯は異なりますが、やっぱりランドマークである「つぼ湯」のお湯が、風情・濁り方・味・匂い・浴感などなどあらゆる面で秀逸ですね。


 

9 【和歌山県某所 簡易風呂桶の温泉】
(来年掲載予定)
場所の特定は控えさせていただきますが、このお湯は本当に素晴らしかった!
2011年に日本を襲った台風12号は紀伊半島各地に大水害をもたらし、川沿いに位置する某温泉施設も泥流に呑み込まれて、もはや復活が不可能なほど被害を受けて惨憺たる状況となってしまいましたが、施設は泥に埋もれても、源泉はしっかり生きており、源泉からホースが引かれて、上画像のような簡易的なお風呂が作られていました。清らかに澄んだお湯は37℃前後の長湯仕様で、お湯に浸かると全身が泡だらけになっちゃうんですよ。しかも湯船の前の見晴らしも良好。今のところ、私個人的には和歌山県ベスト1のお湯かもしれないな…。


 

10 【富山県 高天原温泉】
(当該記事へのリンク)
泣く子も黙る日本最奥の温泉です。高天原温泉への行程は往復で2泊3日の登山を要しましたので、今年私が訪れた温泉の中では最も強い達成感が得られました。しかも台風一過の素晴らしい天候に恵まれたので、道中で眺望した北アルプス最奥部の大パノラマにも心を奪われました。

西日本&台湾編は以上。
大晦日の明日は東日本編です。

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2 コメント

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Unknown (ぱと)
2013-12-30 01:07:53
今年も一年お疲れ様でした!自分も11月の事故さえ無ければ、もう一度東北と草津温泉と予定してたのですがね!取り敢えず車の購入と改造も順調に進み、あとはリハビリで身体の復活を待つだけに成りました!来年は6月頃から始動しようかな?来年もお互い温泉巡りを頑張りましょう!
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Unknown (K-I)
2013-12-30 23:29:53
ぱとさん、こんばんは。本年も大変お世話になりました。ぱとさんの今年の事故は本当にお気の毒でした。その後は車もお体も良い方に向かわれているようで、何よりです。今冬は積極的な雪見風呂は難しいのかもしれませんが、是非万全な状態になってから温泉を楽しんでください。来年もよろしくお願い申し上げます。
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