丹後半島屈指の景勝地「琴引浜」へとやってまいりました。琴引浜といえば鳴き砂で有名であり、約2kmにわたって白砂青松の絶景が広がっておりますが、景色だけならこのブログでは取り上げません。この地にはとってもワイルドな温泉の露天風呂があると聞いたので、わざわざ訪れたのです。
車で現地に着くと、道のどん詰まりは有料駐車場となっており、その場で待機していた観光協会のおじちゃんがこちらへやってきて、曰く「駐車場で写真を撮るだけなら無料、砂浜へ下りるなら有料です」とのこと。目的地へ行くには砂浜へ下りる必要があるので、東京の都心部も真っ蒼な駐車料金1000円をおじさんに支払います(おじさんは海水浴シーズン外でもちゃんと待機しています)。事前情報によれば、その露天風呂は日によってお湯が張られる時間が異なるらしく、この日は13時頃に伺ったのですが、おじさんにお風呂の状況について確認しますと「ちょうど今お湯が張り終わったところですよ」と嬉しい答えが返ってきました。
階段を下りて、キュッキュッと鳴き砂を鳴らしながら琴引浜を進んでいきます。砂の上をすり足で歩くと、うまい具合に鳴いてくれます。
駐車場から浜を約200m歩くと、「太鼓浜」というところへたどり着きました。ここで視線を海から崖へ転じると…
目の前の崖に隠れるようにして、今回の目当てである琴引浜露天風呂が現れました。松の下にひっそりと佇む、コンクリ造のプリミティヴな浴槽に、黒いホースからドバドバと音を立てながら勢い良くお湯が吐出され、波立つ浴槽からお湯がジャブジャブと溢れ出て、海へと流下しています。周りには囲いも目隠しも何もない、この上なく開放的なあけっぴろげの露天風呂であります。
傍らには注意書きの看板が立てられていますので、きちんと読んで遵守しましょう。上述のようにあけっぴろげな状態であるため水着着用が求められますし、また排湯はそのまま海へと流れてゆくため環境に配慮して石鹸類は使用禁止です。この箇条書きの注意看板とは別箇に、大きく「すべる」と書かれた立札もあるのですが、なぜ敢えて「すべる」ことを強調しているのかと言えば、コンクリの浴槽は岩盤の上に設けられているのですが、お湯のオーバーフローによってコンクリや岩盤が本当に滑りやすくなっているので、注意を要するのであります。
白砂青松の絶景を目の前にして佇む、ブリリアントな露天風呂。名湯が多い日本でも、こんな素晴らしいロケーションの露天風呂はなかなかお目にかかれませんね。
崖上から伸びる黒いホースより源泉がドバドバ大量投入されています。何しろコンクリの槽しか無いお風呂ですから、下手な小細工なんてできるはずもなく、当然のように完全掛け流しです。お湯は無色透明で、ホースの吐出口では41~2℃ですが、湯船では39.2℃でした。弱いツルスベ浴感があり、口に含むと微塩味と甘味に重曹味、そしてアルカリ性泉的な微収斂が感じられました。なお匂いは特にありません。言わずもがな、お湯の鮮度は文句なし。
アングルを変えて、崖側から海を望んでみました。ボコボコと音を立てながら、間断なく源泉が注がれています。
あまりに爽快なお風呂でしたので、浮かれ気分になってつい自分撮りしてしまいました。余談ですが、オックスフォード英語辞典が選定した2013年の「今年の言葉」は自分撮りを意味する"selfie"なんだそうですね。それはともかく、40℃前後という長湯仕様の湯加減であり、比較的マイルドなフィーリングの浴感だったので、静かな日本海を眺めながら小一時間浸かり続けてしまいました。
この露天風呂は地元の方によって維持管理されており、1000円という高めの駐車料金は、この露天風呂を含めた琴引浜全域の環境保全のために使われるわけです。おかげで野趣溢れるお風呂ながら、比較的きれいな状態が維持されていました。それにしても、よく保健所からの嫌がらせを受けずに、こうした風情のお風呂を運営し続けていられてますね。どうやって保健所を黙らせたのでしょうか。
なお、お湯の温度が低く、また西高東低の気圧配置となる冬になれば岸には鉛色の日本海から波しぶきが叩きつけるため、11月頃から4月頃までは入浴できません。入浴可能シーズン(4月~11月)でも、お湯が張られる時間帯は日によってまちまちなんだそうですから、事前に地元観光協会などへ問い合わせて確認しておくことをおすすめします(基本的には午後から入浴可能となるようです)。
また、上述の通り、入浴に際しては水着の着用が求められますが、お風呂のまわりには目隠しも無ければ更衣室もないため、着替えで人目が気になる方は、駐車場にある海水浴用のトイレ兼シャワールームで水着に着替えておくとよいでしょう。
京都府イコール温泉不毛という固定概念を見事に覆してくれる、極上の露天風呂でした。
温泉分析表掲示なし
京都府京丹後市琴引浜
琴引浜観光宿泊組合ホームページ
4月中旬から10月下旬頃まで開設
入浴可能時間などは事前に地元観光協会へ確認のこと
入浴料金無料(そのかわり駐車場にて協力金1000円を支払う)
備品類なし
水着着用・石鹸類使用不可
私の好み:★★★
この海辺にある露天風呂も水着か湯浴み着か何かを着てでも是非入浴してみたいです。琴引浜のごく近くの民宿に泊する場合は、当然ながらその宿から徒歩でいくので、駐車場料金1000円は要らないから無料で入れる
かな?
来週行く琴引浜の予習をしようと調べていたら逍遙さんのブログ記事を見つけました。本当に全国どこも行っておられますね。
関東人の私にとって、関西から西の日本海側はなかなか行きにくく、念入りに予定を立てて、しっかり休暇を取得してからでないと出かけられないのですが、この琴引浜の露天風呂は、そのような苦労を払った甲斐があったと満足できる素晴らしいお風呂でした。hitareriさんも絶景と温泉を楽しんでください。
よくぞ関西のしかも日本海側の温泉地へ来て下さいました。
そして1000円の高い駐車場料金を払われ、
でも1時間ゆっくりと海辺に設置された無料露天に入れてよかったですね。入浴料が千円の温泉に入られたことになりますね。
35年前に、琴引浜の無料露天風呂を見学した事があります。そのときは季節外れだったので、露天風呂に湯が張ってありませんでした(晩秋でしたから)でも鳴き砂体験はしましたよ(私の郷里の島根県にも鳴き砂の海岸があります。琴ヶ浜といいます)
それはともかく、京都府の琴引浜では、海岸を歩いて駐車場に戻って、さあ~帰ろうと車に乗り込んだら、突然どこからともなく大変人相の悪い老人が現れて、いきなり我々の車の窓ガラスを叩き
「ここの駐車料金は1000円だから、1000円払ってくれ!」と言います。「駐車場のどこにも駐車料金1000円の表示はない」のですが・
突然のこの老人の出現に?ただビックリしている我々を尻目に?大変な形相で「1000円払え!」を繰り返し迫ってきます。
そんなで我が家には、大変悪い思い出の場所です。が、今回はいい思い出の地になるように!期待しています!
料理もお風呂も満足ゆくお宿で何よりです。京都府でかけ流しの温泉宿は珍しいですよね。露天風呂にはお入りにならなかったのですね。オープンすぎて致し方ないのかと思いますが、ちょっと残念です。私はあの露天風呂で海を眺めながら長湯してしまいました。いつまでも残ってほしい景色と温泉だと思っています。
ゆっくりと浜を歩きながら、無人露天風呂も見学し足湯しました。
35年前には一つも建っていなかった看板が、現在は駐車場に沢山ありました。浜を管理維持するため、県市町村を挙げて取り組んでいるのが、よくわかりました。
記事の執筆お疲れ様です。あの景観とお風呂は、地元の方々の懸命の努力によって成り立っているんですね。駐車場の料金設定にはいろんな意見があるかと思いますが、ふるいにかける、あるいは理解できる賛同者のみ利用できるようにする、という意味では理にかなっているのかもしれませんね。
この露天風呂自体は休止中で(HPでも告知されています)、一応現地確認もしましたが砂に埋もれた状態でした。が、民宿に引かれた温泉がなかなかの名湯でじっくり堪能出来ました。
記事に書かれている湯の特徴と一致しているので、同源泉で間違い無いと思います。鳴き砂温泉といって、泉質はアルカリ性単純温泉。温まりがかなり持続する湯でした。
休止中の露天風呂以外に日帰り入浴出来そうなところが見当たらないのが残念なところです。
いまこの露天風呂は休止中なんですか。それは存じ上げませんでした。コロナの影響でしょうか。ここは非常に素晴らしいので、復活することを祈るばかりです。お知らせくださりありがとうございます。
浜を歩くくらいは出来ますが、有料駐車場・キャンプ場・バーベキュー場全て6/20まで封鎖されており客が寄り付く要素が無いので、風呂だけメンテする理由が無いのでしょう。
6/21~7/11も京都府は「まん防」対象地区ですし、再開するにしても露天風呂の優先順位が高そうには見えないので事態が流動的なうちは難しいかもしれません。