前回記事の続編です。
他のお風呂および館内に関しては、前回までの記事をご参照ください。
その1(客室・食事編)
その2(内湯「渓流の湯」「こもれびの湯」「せせらぎの湯」)
その3(貸切露天風呂「どんぐりの湯」「もみじの湯」)
その4(貸切露天風呂「かつらの湯」「杉の湯」)
他のお風呂および館内に関しては、前回までの記事をご参照ください。
その1(客室・食事編)
その2(内湯「渓流の湯」「こもれびの湯」「せせらぎの湯」)
その3(貸切露天風呂「どんぐりの湯」「もみじの湯」)
その4(貸切露天風呂「かつらの湯」「杉の湯」)
全5回の連続企画で紹介してまいりました道南の名湯「銀婚湯」ですが、最終回となる今回は、宿泊者専用貸切露天風呂の中でも私がゾッコン惚れ込んでしまった「トニチの湯」を単独で取り上げさせていただきます。これまでの4回は複数のお風呂をまとめて扱っていましたが、さすがに首ったけになった意中の人を他の異性と同列に並べるわけにはいきません。普段は不行跡な私も「トチニの湯」と出会ってから、俺が愛しているのはお前だけなんだぜ…、そんな想いがしばらくの間、迸りつづけました。感情が昂ぶってもその情熱に文才が追いついていけない石頭の私は、今回この記事でどれだけ魅力を伝えられるか不安なのですが、どうせ才能が無いのなら肩肘張らずに書き綴ったほうが良かろうと考え、なるべくシンプルに記事を進行させてゆく所存です。
前々回で取り上げた落部川に架かる赤い吊り橋を再び渡りましょう。渡りきった分岐は、右へ折れると「どんぐりの湯」、左に進むと「もみじの湯」ですが、今回は直進です。
澄み切った空気を胸いっぱい吸いながら、爽快な遊歩道をのんびり散策。途中で清楚な白樺の並木を抜けていきます。この日はあいにくの天候でしたが、にもかかわらず私の心は晴れ晴れしていました。これで本当に青空が広がっていたら最高だったでしょうね。小太りなオッサンである私の足取りもこの時ばかりは羽が生えたように軽々としていました。
帳場から10分弱のお散歩で「トチニの湯」に到着。銀婚湯の貸切露天の中では最も遠い位置しています。今回は道標に従って最短ルートを歩いてきましたが、こちらの散策路は回遊ができるようになっていますから、落部川に沿って「もみじの湯」の前を通過しても、あるいは「どんぐりの湯」を通り過ぎて敷地を大きく遠回りしても、迷うこと無くこちらへたどり着くことができます。
戸の裏に入浴札を差し込むと閂が固定されて扉にカギがかかります。
木立の中から河畔に佇む湯船と小屋が姿を見えました。天然材料を用いて建てられているので、周囲の景色と何ら違和感無く溶け込んでいます。脱衣小屋の中には、ペアで利用することを想定し、カゴと腰掛けが2つずつ用意されています。カップルや夫婦が大自然に抱かれながらしっぽりと露天で湯浴みするには絶好のロケーションですね。
巨木の丸太をくりぬいた湯船に、これまた天然木の形状をうまく活かした湯口から何らの人為的処理がなされていない源泉が注がれています。銀婚湯の他のお風呂では、4つあるいは2つの源泉をブレンドさせたお湯が使用されていましたが、この「トチニの湯」では他の風呂には引かれていない2号源泉を単独使用しており、2号源泉に入りたければ「トチニの湯」を利用する他ありません。この2号源泉は銀婚湯では最も濃いものであり、赤みを帯びたカナリア色のお湯は、他のお湯と比較してみても確かに色・濁り方ともに強いように思われます。湯中では橙色の湯華がたくさん舞っており、焦げたような香ばしいアブラ臭が湯面から漂い、美味しい出汁味を伴った明瞭な甘塩味と少々の苦味、そして重曹味が感じられました。トロトロとした浴感からしてもお湯の濃厚さが実感できます。
詰めれば2人同時に入れそうですが、一人で川を望みながら入ると悠然とした状態で全身浴できました。加水など全く行われていませんが、湯加減は体感で41℃クライと絶妙な状態が維持されており、梢が風に揺れる音を耳にし、清流を眺めながらこのお風呂に浸かっていると、時間の経過をすっかり忘れてしまいそうです。
あぁいい風呂だぁ。周囲の自然と同化したような錯覚に陥りますよ。このお風呂を作り上げた方のセンスって素敵ですね。ブリリアントです。こうした感動に出会えるのですから、温泉めぐりはやめられません。
「トチニの湯」には川上側にももうひとつお風呂があるんですね。
こちらは形が整った四角いお風呂です。木の幹の湯船ですと2人はちょっとキツいかもしれませんが、こっちでしたら2人でも寛いで湯浴みできるでしょう。
湯口からチョロチョロと落とされるお湯。こちらも2号源泉です。おそらくこの源泉は湧出量が限られてるので、「トチニの湯」の2つの小さな湯船に供給するのが精一杯なんでしょうね。でも無理しないで背丈に合わせたお風呂(湯使い)にしているのが、お宿の方の良心なんだと思います。内湯も他の露店のお湯も良かったのですが、この2号源泉は輪をかけて素晴らしく感じられました。
排湯はそのまま落部川へ落とされていますが、お湯が川へ落ちる箇所にはちょっとした石灰華の析出物丘が形成されていました。
本当に、いい風呂だ。
お湯良し、ロケーション良し、趣き良し。三拍子揃ったこの「トチニの湯」だけを目当てにして再訪したい、そんな想いを強くした今回の銀婚湯での一泊でした。
川向2号(トチニの湯)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 49.9℃ 12L/min 成分総計8.622g/kg
Na+:2572mg, Mg++:46.8mg, Ca++:89.6mg,
Cl-:2330mg, SO4--:989.5mg, HCO3-:2220mg,
北海道二海郡八雲町上ノ湯199
0137-67-3111
ホームページ
※「トチニの湯」を含む貸切露天風呂は宿泊者専用です。日帰りでは利用できません。また夜間も使用不可です。
私の好み:★★★
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