温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

郡山市 ヒーリングヴィラ湯元

2014年07月26日 | 福島県
※残念ながら2020年6月に閉館したようです。

 
所用で仙台へ赴いた帰路、ちょっと時間に余裕があったので、新幹線を途中下車して、郡山市街近郊の温泉「ヒーリングヴィラ湯元」へ立ち寄ってみることにしました。まずは郡山駅前のバスターミナルから鎗ヶ池団地行の路線バスに乗り、「山崎」バス停で下車します(所要時間15~6分・320円)。


 

住宅街を3~4分ほど西へ歩き、ツルハドラッグ・郡山菜根店の角を左に曲がるとまもなく到着しました。周囲は閑静な住宅街が広がっており、こんなところに温泉があるとは意外です。ネット上の情報によれば「ラブホみたい」とのことでしたが、たしかに「休憩・宿泊」という料金表があってもおかしくなさそうな外観でして、本当にここが温泉なのかと何度も看板を確認してから玄関を入りました。


 
照明をちょっと落として大人な雰囲気を醸し出している館内は、床が畳敷きになっているので足元快適です。右の方には大広間や食堂も設けられています。
料金とともに下足用のロッカーキー(100円リターン式)をフロントに差し出すと、引き換えに脱衣室のロッカーキーを手渡してくれました。


 
落ち着いた和なテイストなロビー周りと違って、脱衣室は室内面積こそ広いものの実用本位な感じで、無機的なスチールロッカーがズラリと並んでいるのですが、よく清掃されており、2台の洗面台をはじめとしてひと通りの備品も揃っているので、使い勝手は良好です。



脱衣室の奥の方にはこのようなガランとした小部屋が続いていたのですが、これって何のスペース?



陽光が差し込む大きな窓と高い天井が印象的な浴室は、暖色系の色調に統一されており、湯気篭もりが無く開放的で快適です。浴室へ入って正面に水風呂、その右側にサウナがあり、水風呂の左側には主浴槽が据えられています。


 

洗い場にはシャワー付き混合水栓が計14基並んでおり、シャワーから吐出されるお湯には源泉が用いられているようです。ありがたいことに備え付けのシャンプー類はシャンプーとコンディショナーがちゃんと別個に分かれていました。温泉施設によくあるリンスインシャンプーは、本当にリンスが含まれているのか疑わしいほど洗髪後にゴワゴワしますから、このようにコンディショナーが独立していると、個人的にはその施設を高く評価したくなります。


 

石板敷きの内湯主浴槽は4m×5mで、20人は楽に入れそうな容量を有しています。この槽はやや深めの造りとなっており、槽内のステップに腰掛けるとちょうど良い具合に肩までお湯に浸かれました。
まるで用水路から水田へ水を引いてるかのように、湯口からドバドバ大量に温泉が投入されており、湯船では42~3℃といった湯加減で、そのお湯はさざ波をつくって縁へ到達した後、惜しげも無く洗い場へザバザバと溢れ出ていました。

お湯は無色透明ですが極わずかに黄色を帯びているようにも見えます。湯口のお湯を口にすると、芒硝の味と匂いが弱く感じられ、微かな塩味とほんのりした甘さも得られました。館内には湯使いに関する表示が見当たらず、公式HPにて「かけ流し」とアナウンスされているだけですが、豪快に溢れ出ている内湯の様子からその説明に偽りはなく、少なくとも放流式であることは間違いないでしょう。ただし加温や消毒の有無に関してはよくわかりません。


 
住宅街に立地しているため露天風呂の周囲は塀で囲まれていますが、天然石や植栽を配することで日本庭園のような風情を創り出しています。露天の浴槽は4~5人サイズの岩風呂で、内湯よりややぬるめの41~2℃となっていました。


 
露天風呂でも岩の隙間からお湯がしっかりオーバーフローしていましたが、内湯に比べて投入量が若干少ないためか、溢れ出しは内湯より幾分控えめです。しかしながら、投入時の勢いによって波立っていた内湯では確認できなかった泡付きが、この露天風呂に入浴していると薄っすらながらはっきりと目視でき、この泡付きのおかげか、硫酸塩泉でありながらスルスルとすべるような滑らかな浴感が気持ちよく、お湯から上がった後もしばらくはその滑らかさが肌の上に残ってくれました。
なお露天エリアの端の、瓦の庇の下には壺湯が2つ並んでいたのですが、私の訪問時は2つとも空っぽでした。この時だけ空っぽなのでしょうか、あるいは恒常的に空なのか…。


 
露天風呂には後述する「石の湯」の屋上へ上がる階段があり、何があるのかと期待しながら上がってみますと・・・ただ単に防水塗装が施されているだけの何にもないテラスが広がっているばかりでした。こりゃ冬だと吹き晒しで寒いだろうし、夏はひどく暑そうだぞ。でも真夏にデッキチェアを出してここで日焼けしたいなぁ。


 
周囲には高い建物がありませんから、屋上テラスからは住宅地越しに、鋸歯状に連なる安達太良の稜線を眺望することができました。先ほどは「何もない」なんて述べてしまいましたが、いやいや、裸のまんまでこのような眺望が楽しめるだけでも十分かもしれません。この時はボンヤリとこの景色を眺めながら、お湯で逆上せかかった体を冷却しました。結構気持ち良いもんですよ。なお露天風呂ゾーンも見下ろせます。


 
上述の屋上テラス下にあるのは「石の湯」という設備でして、ちょっぴり蒸し暑い室内には足つぼを刺激するような小石が敷き詰められており、その様子から想像するに、筵を敷いて岩盤浴的な使い方をするものと思われます(今回は見学のみにとどめました)。なおこの「石の湯」は男湯限定であり、その代わり女湯には炭酸風呂が設けられているんだそうです。

湯上がりには滑らかな浴感が肌に残ると同時に、パワフルな温まりも持続し、なかなか汗が引きませんでした。無色透明と侮ることなかれ、相当な実力を持つ良泉です。爽快かつ開放的な浴室と露天風呂で豪快な掛け流しのお湯を楽しめる、充実した温泉浴場でした。


 
住宅街だからか、路線バスの便には比較的恵まれている場所ですので、帰路は「久留米水天宮」バス停から郡山駅へ戻ることにしました。往路で利用した「山崎」バス停よりもこちらの方が本数が多いので、路線バスでアクセスするならこちらの方が便利かと思います。


 
ちなみにバス停は久留米地域公民館の前にあるのですが、公民館の敷地内には石碑が立てられており、これによれば当地は九州・旧久留米藩の士族たちが明治11年に入植して開墾されたんだそうです。それゆえここの地名は久留米なんですね。明治期に国家プロジェクトとして安積疎水が掘られて安積野の開墾が行われましたが、この事業には会津や二本松と言った近隣のみならず、岡山・鳥取・土佐そして久留米など西国からも旧藩士が移住し、彼らの尽力によって、それまで水利が悪くて荒涼とした原野だった郡山一帯は、一大穀倉地帯へと変貌を遂げたんですね。
ひとっ風呂浴びたついでに、バスの待ち時間で歴史の勉強もできちゃいましたよ。


槻の湯
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 40.0℃ pH8.9 75L/min(動力揚湯) 溶存物質1126mg/kg 成分総計1126mg/kg
Na+:348.1mg(94.57mval%), Ca++:14.5mg(4.52mval%),
F-:6.1mg, Cl-:203.5mg(35.79mval%), Br-:0.5mg, SO4--:401.6mg(52.14mval%), HCO3-:51.9mg(5.31mval%), CO3--:22.5mg(4.68mval%),
H2SiO3:40.0mg, HBO2 :32.9mg,

郡山駅前から福島交通バスの「鎗ヶ池団地(池の台)」行で「山崎」バス停下車徒歩3~4分、もしくは「柴宮団地」行で「久留米水天宮」バス停下車徒歩3~4分(いずれも駅から15~6分・320円)
福島県郡山市大槻町堀切西11-3  地図
024-939-1126
ホームページ

※残念ながら2020年6月に閉館したようです。
9:00~23:00(最終受付22:30) 第3水曜定休
600円/90分(利用時間によって料金が異なるので詳しくは公式HPを参照のこと)
ロッカ・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (4)
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