写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

クモを散らす

2016年10月26日 | 季節・自然・植物

 3連休を使って次男が帰省してきた。私が柄の長い箒を持ち出して門灯の周りに張りめぐらしているクモの巣を払っているのを見て「クモハンターといって、スプレーを吹きかけるとクモが巣を張らないものをホームセンタへ行けばが売っているよ」と言う。

 道路に面した鉄製の門の頂点に門灯を取り付けている。数日間見ない間に、いつの間にかクモが巣を張っている。家の顔である表門にクモが巣を張っているようでは見苦しい。週に1、2度、箒を持って巣を取り除いているが、翌日にはまた巣が張られている。これこそまさに、「いたちごっこ」の状況がずっと続いていた。

 ホームセンターに行ってみると、「瞬撃!強力ジェット クモ用ハンター クモの巣防止!」と書いたスプレー缶が販売されている。買って帰り、説明書に書いてある成分を調べてみると「ピレスロイド」と表示してある。何のことか分からないのでネット調べてみると、除虫菊に含まれる有効成分の総称で、昆虫類への神経毒で、人への作用は極めて弱いので比較的安全性の高い殺虫剤であるようだ。

その日、門灯の周辺にスプレーしておき翌朝見たが、それまでとは違ってクモの巣は張られていない。「クモの巣防止作戦」は大成功であった。これで、箒を振りかざしてクモの巣の除去に奮闘しなくてよくなったが、この場所で生活の糧を得ていたクモは、これからはどこで生きて行くのだろうかと少し心配になる。

 蚊の季節が来れば昔から蚊取り線香であったが、最近ではスプレーや化学薬品の煙、ゴキブリが出てくれば「瞬間凍殺」と名の付いたスプレー、部屋の臭い消しには消臭のスプレーというように、この頃は一般家庭でも色々な化学薬品を使ったスプレーを使うようになってきた。

 即効性があり人間にとって直ちに害が出るわけではなかろうが、完全に無害とはいえない。出来るだけ化学薬品は使いたくないとは思いながら、毎日箒を振り回す生活に比べると、やっぱり月に1度程度のクモハンターのスプレー缶に頼るという安易な生き方をしている。今日のブログは、クモを寄せつけない話であるが、クモつかむような全く要領を得ない話になってしまった。