写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

エアフォースワン

2016年05月30日 | 生活・ニュース

 5月27日の午後、オバマ米大統領が、三重県で開かれていた主要7カ国首脳会議の閉幕後、広島の平和記念公園を訪問し、原爆慰霊碑に献花した。1945年8月に米国が広島、長崎に原爆を投下して以来、現職の米大統領が被爆地を訪れたのは初めてで、米国を含む核保有国が「核兵器のない世界を追求する勇気を持たねばならない」と訴えた。

 その日の14時30分、首脳会議の閉幕後、オバマ大統領が専用機「エアフォースワン」で中部国際空港から岩国基地に向かったというニュースを聞いた。この機を逃すわけにはいかない。オバマさんに直接会うことは出来ないまでも、専用機を遠くから見ることは出来るかもしれない。そう思って、急いでデジカメを持ち、空港の滑走路が見えそうな所に向かって車で家を出た。

 まずは、高台の住宅団地へ上がってみた。以前は市街地が見下ろせる公園があったが今は住宅が建っていて、展望は効かなくなっていた。急いで降りて、今津川を挟んで空港が見渡せる川土手に行って車を止めた。数人の警官が歩いて警戒している中、3人の男女が望遠カメラを三脚に立てて待機しているところに出た。

 雑談をしながら待っていると、、15時半、突然逆噴射の轟音がとどろいてきた。滑走路を見ると、その直後マリンブルー・スカイブルー・白でデザインされてた大きな機体が速度を落として滑走してきた。大統領1人が移動するにしては大き過ぎる。それもそうだろう。ボーイング747、愛称ジャンボジェット機と呼ばれる機体である。胴体には大きく「UNITED STATES OF AMERICA」の文字入り。垂直尾翼には誇らしげに星条旗が描かれている。

 着陸して1時間後、2機のヘリコプターとオスプレイが1組となって広島へ向かって飛び立ったのを見届けて家に帰り、その後の大統領の様子はテレビでしかと拝見した。原爆慰霊碑の前に立ち黙とうした時の表情は、恩讐を超えた優しい顔をしていた。まずは、核拡散防止へ向けての小さいけれど一石を投じたことをここは素直に評価したい。初めて見るエアフォースワンにUSAを見た。