水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

日の名残り(68)

2019-04-25 09:57:14 | 日の名残り
Miss Kenton, I must ask you to leave me alone. It is quite impossible that you should persist in pursuing me like this during the very few moments of spare time I have to myself.

ミスケントン、すぐにこの部屋から出ていくよう、お願いせねばなりません。私が自分のために費やせるわずかな時間まで、あなたにこんなふうにつきまとわれるとは、じつにけしからぬ話です。


スティーブンス氏がこんなにカンカンに怒っているのにもかかわらず、ミスケントンはどんどん迫ってくる。本を引き出しに入れ、カギをかけてしまおうか、とも思ったが、それもちょっと大げさ。本をかかえ数歩さがった。


ミスケントンの疑念がますます深まった、というところでしょうか。

日の名残り(67)

2019-04-23 10:28:28 | 日の名残り
It is quite out of the question, Miss Kenton, that anything racy, as you put it, should be found on his lordship's shelves.

I have heard it said that many learned books contain the most racy of passages, but I have never had the nerve to look. Now, Mr. Stevens, do please allow me to see what it is you are reading.


何をバカなことを。そのような際どい本が、卿の本棚にあるとお思いか?

難しい学問的なご本にも、すごく際どい内容のものがたくさんあると聞いておりますわ。 私には、これまでのぞいてみる勇気がありませんでしたけれど。ねえ、ミスタースティーブンス、何を読んでおられたのか、私に見せてくださいな。


スティーブンス氏に、一層近寄ってみたいとの思いからか、ミスケントンは、グイグイ迫ってくる。
楽しんでいた、孤独の時間は乱されるは、読んでいる本まで見せろ、それも怪しい本を読んでいるのではないかと疑われながら、と言われるは。

ついに冷静沈着な執事、スティーブンス氏も切れてしまうのでしょうか?

日の名残り(66)

2019-04-18 10:02:52 | 日の名残り
Really, Miss Kenton, I said I must ask you to respect my privacy.

But why are you so shy about your book, Mr. Stevens? I rather suspect it may be something rather racy.

これはどういうことです、ミスケントン。私のプライバシーを尊重していただくようお願いせねばなりませんな。

でも、なぜそんなに隠されますの、ミスタースティーブンス。きっと何かきわどいことの書かれたご本ですのね。


自分の、わずかな時間を楽しんでいたのに、ずかずか入り込んできて、部屋の雰囲気を悪く言うばかりでなく、読んでいる本についてまで聞いてきた。本をかかえ、立ち上がって身構えたところでの会話。

緊張の一瞬ですな。交際を良好に保つためには、お互いに適度な距離感を維持することが大切であろう。この場合、ミスケントンが、その距離感をつめてみよう、と試みたのかもしれない。

さてどうなるか?

日の名残り(65)

2019-04-17 09:33:40 | 日の名残り
Really, Mr. Stevens, this room resembles a prison cell, All one needs is a small bed in the corner and one could imagine condemned men spending their last hours here.

冗談ではなく、これではまるで独房ではありませんか、ミスタースティーブンス。あそこの隅にそこベッドでもおいてごらんなさい。まるで死刑囚が最後の数時間を過ごす部屋のようですわ。


執事、スティーブンス氏が、屋敷の中で唯一自分をとりもどすことのできる食器部屋で孤独を楽しんでいるところに、女中頭のミスケントンがやってきて、言った言葉。

少々言いすぎか。でも、時に人は、ズカズカと、相手のバリアーを斟酌せずに、入り込んでしまう。それが、悪意のない親切心であったとしても相手は傷つく。

たぶん、スティーブンス氏は、ムッときたはずだ。

日の名残り(64)

2019-04-10 11:04:42 | 日の名残り
Mr. Stevens, your room looks even less accommodating at night than it does in the day. The electric bulb is too dim, surely, for you to be reading by.


ミスタースティーブンス。 あなたのお部屋は、夜見るといっそう殺風景ですわね。 それに、この電球は、あなたが読書なさるには暗すぎますわ。


執事スティーブンス氏の、女中頭ミスケントンとの思い出話。


仕事仲間として、うまくやっていたはずなのに、どこかで歯車が狂ってしまい、うまくいかなくなった。そのきっかけ、と思われる出来事の端緒。

執事の部屋、(そこはどうも食器室であるらしく、スティーブンス氏のプライバシーが唯一確保されるべき場所であった)、で、孤独を楽しみ、読書をしていたところに、ミスケントン入ってきて、「なんなの、この部屋みちな感じでのたまわった。

It is perfectly adequate, thank you, Miss Kenton.
ご心配はありがたいが、私にはこれで十分です。ミシケントン。


さてどうなるか。しばらく、会話を追ってみよう。


それにしても、です。Kazuo Ishiguro を日本人とみなそうという人もいるようだが、それは間違い。彼は完璧な英国人だ。

日の名残り(63)

2019-04-04 09:56:43 | 日の名残り
The fact is, I have tended increasingly of late to indulge myself in such recollection.

じつを申し上げますと、最近、私はこうした思いでにふけることが多くなっております。


道に迷って、テイラー夫妻に助けられ、上流階級の人間と思い違いされ、ありがたくも、居心地の悪い一夜を過ごした、スティーブンス氏でした。
年齢でしょうか、ウティーブンス氏は、いろんなことを思い出しているのですが、特に、女中頭のミスケントンとのことがと気になるようです。


私も、暇になったからでしょか、スティーブンス氏と同様、最近、とみに昔のことなどを思い出します。失敗や後悔ばかりで、いやになるのですが、なんとかならないものでしょうか。