水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

日の名残り(62)

2019-03-28 09:39:21 | 日の名残り
I tell you, sir, it would be an honor to have you. It is not often we get the likes of yourself passing through Moscombe.

迷惑だなんて。わが家の名誉にもなることでございますよ。旦那様のようなご立派な方がこのモスクムをお通りになるのは、めったにあることではございませんからね。


車社会になるまえのイギリスの田舎に、アメ車がうろうろしたのだから目を引いたことでしょう。そんな状況を背景に、道に迷ったスティーブンス氏は、このあと辛い時間を過ごさねばならなくなる。


小学生のころ、進駐軍の将校用車両の走る姿がまぶしかったこと。あのころを、つい思いだしますなあ。


「honor」にしてしまいましたが、原文は「honour」です。きっちり、イギリス英語になっています。

日に名残り(61)

2019-03-21 09:50:45 | 日の名残り
I am afraid there is no inn as such in our village, sir. John Humphreys usually takes in travelers at the Crossed Keys, but he is having work done to the roof at the moment.


村には宿と呼べるようなものはございませんよ、旦那様。いつもなら、ジョンハンフリー夫妻が十字鍵亭に旅に方をお泊めするんですが、あいにく、今は屋根の修理中でしてねえ。

自身の状況を説明し、宿がないであろうか、との問いかけに対する答え。
たぶん、教会に付属する簡易宿泊設備であろうが、Cross Keys という名の宿はあるにはあるが、今はだめだ、と言われてしまった。
さてどうするか?


イギリス英語は、トラベラーのエルが二つだ。アメリカ英語のままで書いているので、自動的にエルを一個にしてしまう。
自分の無神経さに、ちょっと、腹が立つが、ままよ。お許しを!
ハンフリーにエスをつけていることを見逃さず、「ハンフリー夫妻」としている翻訳者に敬意を表する「

日の名残り(60)

2019-03-14 09:44:20 | 日の名残り
He had emerged out of a turning a few yards in front of me, and had courteously waited for me to catch up, whereupon he touched his cap and asked if he could be of any assistance to me.


ミスターテイラーは、どこかの脇道から数ヤード前方にひょっこり現れ、私が近づくまでじっと待っていてくれました。そして、帽子に手をやり、「なにかお困りのご様子ですが~~」と声をかけてくれました。


牧草地の中を人家を目指して、薄暗くなるなか、下り降りたのだが、思っていた以上に難儀であった。牧草地の境界に生垣をなかなかいい通り過ぎることができず、なかなかいい靴やズボンをひどい状態にしてしまったのだ。

おそらく、ミスターテイラーは、かなり早い段階で、スティーブンス氏の状況を目視していたに違いない。

とにもかくにも、スティーブンス氏は、ほっとした。

日の名残り(59)

2019-03-06 11:19:54 | 日の名残り
There was little to be gained in growing despondent, however. In any case, it would have been foolish to waste the few remaining minutes of daylight.

とはいえ、ただ心細がっていても仕方がありません。 多少なりとも残っている明るさを無駄にしてしまうのは、愚かしいかぎりです。


人家のあかりまで、目検討で1マイル、時間にすれば30分。と判断したスティーブンス氏は、車から、必要最小限のものを詰め込んだブリーフケースdを持ち、自転車用のライトで武装して、道を歩き始めた。しかし、しばらく歩くと道はあかりのある方向とは逆の方に向かってしまいます。ままよ! スティーブンス氏は牧草地の中の道なき道をあかりめがけて下ってしまいました。もちろん泥だらけになったことでしょう。服も破けたようです。
そして、救いの神に出会うことができたのです。