36 鶯の笠にぬふてふ梅の花 折りてかざさむ 老かくるやと
むめの花ををりてよめる
東三条の左のおほいまちうちぎみ(源常)
梅の花の咲いた枝ぶりを花笠、それも鶯が縫い上げた梅の花笠、というのだそうですが、せっかくこんなきれいな枝ぶりをみせてもらっているので、ちょっと失敬し、折ってかざそうと思います。そうすると、私の、みにくい老顔を隠すことができそうだから。
この歌の元歌的な歌が、古今集の巻末ちかくの、神遊びのうた、に示されている。
それが次
青柳を片糸によりてうぐひすの縫ふてふ笠はむめの花笠
返しもののうた
鶯が、しだれ柳の若葉を糸に使って、梅の花を花笠に織っています。
古今集以後今日まで、鶯、梅、花笠、青柳を読み込んださまざまな詩歌が創作されています。
以上の背景を知ったうえで、それらを解釈する必要があるわけです。
ひとつだけ例を挙げておきます。
鶯の笠落としたる椿かな 芭蕉
椿の花がいくつも落ちていますが、もしかしたらこれらは、鶯が織り上げた花笠かもしれないですね~。
上の背景を知っているといないとでは、連想する世界がぜんぜん異なります。
詩歌の鑑賞って、なんとも奥深いものだ、としみじみ実感したところです。
蛇足ですが、東三条の左のおほいまちうちぎみ(源常(みなもとのときわ))の死亡年齢は42才です。
なかなかの人物であったようですが、歌からも品性のまともさ、を感じます。
そして、わが身の老いを恥ずかしく感じ、もするのです。
むめの花ををりてよめる
東三条の左のおほいまちうちぎみ(源常)
梅の花の咲いた枝ぶりを花笠、それも鶯が縫い上げた梅の花笠、というのだそうですが、せっかくこんなきれいな枝ぶりをみせてもらっているので、ちょっと失敬し、折ってかざそうと思います。そうすると、私の、みにくい老顔を隠すことができそうだから。
この歌の元歌的な歌が、古今集の巻末ちかくの、神遊びのうた、に示されている。
それが次
青柳を片糸によりてうぐひすの縫ふてふ笠はむめの花笠
返しもののうた
鶯が、しだれ柳の若葉を糸に使って、梅の花を花笠に織っています。
古今集以後今日まで、鶯、梅、花笠、青柳を読み込んださまざまな詩歌が創作されています。
以上の背景を知ったうえで、それらを解釈する必要があるわけです。
ひとつだけ例を挙げておきます。
鶯の笠落としたる椿かな 芭蕉
椿の花がいくつも落ちていますが、もしかしたらこれらは、鶯が織り上げた花笠かもしれないですね~。
上の背景を知っているといないとでは、連想する世界がぜんぜん異なります。
詩歌の鑑賞って、なんとも奥深いものだ、としみじみ実感したところです。
蛇足ですが、東三条の左のおほいまちうちぎみ(源常(みなもとのときわ))の死亡年齢は42才です。
なかなかの人物であったようですが、歌からも品性のまともさ、を感じます。
そして、わが身の老いを恥ずかしく感じ、もするのです。