水車ボランティア(+山家鳥虫歌)

ボランティア解説員としての見聞から始めた、ボケ防止メモ。12年目。新たに「山家鳥虫歌(近世諸国民謡集)」を加える。
 

日の名残り(89)

2019-09-26 10:00:52 | 日の名残り
It is hardly for me to pronounce upon qualities I may or may not possess. However, as far as this particular question is concerned, one would suspect that the quality being referred to might be most usefully termed "dignity".

私自身、そのような特質をもっているのかいないのか定かではありませんので、なかなか明言するのは難しいのですが、しかし、今のご質問に関していえば、おそらくお尋ねの特質は”品格”とでも呼ぶのが、いちばんわかりやすいのではないかと存じます。


村人達が、リンゼイ氏は紳士で、医者のカーライル氏や、いまここにいるスティーブンス氏は紳士だ、と感じるわけだが、それは、なにを持っているかいないかで決まるのだろうか、と村人に聞かれ、答えた言葉。

「dignity」を品格と訳したわけだ。
辞書をひくと、①威厳②品位③高位・高官。
たぶん、スティーブンス氏は、これらの三点を総合するような様子を、「dignity」といいたかったのではないだろうか。


それにしても、テレビ画面は怖い。映っている人の内面までも表してしまっているように見えるからだ。
そして、私自身、品のない行動をとらぬよう、いましめねばならない。

日の名残り(88)

2019-09-19 10:13:18 | 日の名残り
That is true what Harry says. You can tell a true gentleman from a false one that is just dressed in finery. Take yourself, sir. It is not just the cut of your clothes, nor is it even the fine way you have got of speaking. There is something else that marks you out as a gentleman. Hard to put your finger on it, but it is pain for all to see that is got eyes.

ハリーの言っていることはほんとうですよ、旦那様。本物の紳士か、それとも着飾っただえの偽物化は、見ればわかります。たとえば旦那様ご自身ですが、それはお洋服のカットもすばらしいし、口のききかたもなんともいえず上品ですが、なんかほかにありますよ。旦那様を紳士だって告げる何かが。これだって指し示すのはなかなか難しいですが、目のある人なら誰にでもわかる何かがありますね。


村人達は、近隣に住んでいたは、金持ちリンゼイ氏を嫌っているのだが、その理由を、スティーブンス氏がかもしだす、なんともいえない上品さに求めた、まとめ的言葉。


年を重ねると、その年輪が体にしみつく。もう後悔のしようがないが、残念ながら私にスティーブンス氏のような上品さは備わってはいない。
ただ、かっこつけて生き抜きたい、とは思っている。

日の名残り(87)

2019-09-12 09:59:28 | 日の名残り
That is the way a real gentleman is. That Mr. Lindsay was no gentleman. He may have had a lot of money, but he was never a gentleman.

ほんとうの紳士は、やはりそうあるべきですわね。あのミスターリンゼイは、とても紳士とは言えませんでしたよ。お金はたくさんもっていたかもしれませんけど、あれで紳士とは言えませんわねえ。


ミスターテイラーの言に、みんなが同意の意思を示した。だれかが、ジョッキを上げて、スティーブンス氏に乾杯の音頭をとった。
スティーブンス氏は、I assure you the privilege is all mine.(これはどうも、光栄のいたりです。ありがとう)と答えた。

この言葉を聞いて、ミセススミスという人が上のように言った。

この英語、普通人が口にするようなレベルではないらしい。これはタダモノではない、と思わせてしまったようだ。


英語教育の必要性が盛んであるが、階級社会でのつかわれかたの違いまで、たたきこむことはできまい。

江戸時代における、武家と町民との言葉使いの違いが、今も歴然と残った社会、が西欧諸国と考えたほうがいい。

日本人には、まず日本語を徹底的にたたきくむべきだ。

日の名残り(86)

2019-09-05 09:51:41 | 日の名残り
This caused laughter around the table, which Mr.Taylor explained to me by saying: 'That was a gent used to live in the big house not far from here, sir. He did one or two odd things and was not appreciated around here.'

この言葉にどっと笑い声が起こりました。私の隣に座っていたミスターテイラーがこう説明してくれました。「この近くのお屋敷にしばらく住んでいた紳士のことでございましてね、旦那様、することが少し変わっておりましたもので、この辺りではあまりありがたがられない人でした。


村に前住んでいた金持ちの変人が、おそらく、珍しい車を、ひけらかしながら、乗り回していたのでしょう。そくれをしのぐ見事なれ車が村に現れたのですから、村人は、愉快になります。そして、その乗り手に興味惹かれ、ぞろぞろ集まってきた、というわけだ。


それにしても、テンポいい文章、と感じます。

日の名残り(85)

2019-09-01 08:20:12 | 日の名残り
Absolute beauty, it is. Said he had never seen anything like it. Put the car Mr. Lindsay used to drive completely in the shade.

すごい逸品だそうだよ。あんな見事な車は見たことがないって言ってた。ミスターリンゼイが乗ってたぽんこつなんぞ、目じゃないそうだ。


店に入ってきたスミス氏による、スティーブンスー氏の車についての伝聞(ソーントン氏からの)情報。
イギリス庶民が使う英語ってこうなのか、と思わせる話ことば。名調子だ!