【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

保守派のリクツ

2018-02-16 18:16:21 | Weblog

 夫婦別姓について、「選択できるようにする」に賛成が40%を越えて過去最高、選択に反対が30%を切った、というニュースが少し前にありました。で、法相は「国民の意見が大きく分かれているから、慎重な検討が必要」と選択的夫婦別姓の導入には反対の姿勢を示しました。
 選択的夫婦別姓に断固反対の人は、日本国憲法改正に賛成する人とけっこう重なるのではないか、と私は想像しています。「保守派成分」が強ければそうなりそうですから。で、別姓では「自分たちが少数派でも、国民の意見が大きく分かれている場合は現状を変えてはならない」と主張するのだったら、憲法改正でも同じ主張をするのかな?とちょっと気になりました。憲法について「国民の意見は大きく分かれて」いますよね? それとも「もし自分たちが多数派だったら、少数派は踏みにじって強行しても良い」と?

【ただいま読書中】『ホワット・イフ? ──野球のボールを光速で投げたらどうなるか』ランドール・マンロー 著、 吉田三知世 訳、 早川書房、2015年(17年19刷)、1500円(税別)

 著者のウェブサイトに投稿された突拍子もない質問の数々。著者は「ばかげた質問にきちんと答えようと努力することで、物凄く面白いことが見えてくるのだ」と真摯に答えたものの中からセレクトされた「楽しい質疑応答」の本です。
 タイトルにある「野球のボールを光速で投げたらどうなるか」は、厳密には「光速の90パーセントの速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起りますか?」という質問でした。著者は「バッターには(そしてピッチャーにも)気の毒な結果になる」とまず述べます。
 まず前提は、ピッチャーの手を離れた瞬間(どうやってかは知りませんが)ボールは(徐々に加速するのではなくて一気に)光速の90%の速度を獲得する。するとそのボールがホームベースに到達するのは約70ナノ秒後。
 ここで私もちょっと自分の脳みそを使ってみることにします。このスピードだと、超音速による衝撃波が発生するでしょう。これだとたしかにバッターとピッチャーには気の毒なことになりそうです。だけど、それだけかな?
 そこでまたページに目を落とすと、1ナノ秒ごとの考察で驚愕の事態が発生しているではありませんか。いやいや、これは大惨事です。そして、洒落たオチ。いや、たしかに野球規則ではそうなるんでしょうけれどね。
 著者は非常にサービス精神が旺盛なようで、一見くだらない質問にでも過剰なくらい厳密に科学的に論理的に数学的に学際的に微に入り細にわたり答えようとします。この回答一つをするために、どのくらいの基礎教養が必要だろう、と感心することもしばしば。著者に対するのと同時に、こういった「面白い質問」をする人たちにも私は感心します。どんなにくだらない質問に見えても、好奇心は知性の発露の一つの形ですから。
 ちなみに私のお気に入りの質問は「暴風雨に含まれる水分がすべてひとかたまりになって落ちてきたらどうなるか」です。その答は、直径1km以上の水の塊が音速の半分の速度で地面に激突。これ、すごいことになりそうです。近くにいたくはありませんけれど、著者はなんとその「水滴」の中で泳ぐ人のことまで想像しています。




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