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【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

選考基準

2011-11-25 18:36:54 | Weblog

 日本プロ野球のゴールデングラブが発表され、40歳の宮本選手と小久保選手が選出されたことが話題になっています。
 しかし「守備の巧さ」というのは、なかなか評価が難しいものです。「捕球」だけに話を絞っても、外野手が楽々とフライを捕ったら凡プレーか、と言ったら、実は難しい打球の方向を瞬時に判断してダッシュしたから結果として楽々追いついた、という好プレーのこともあるし、背走に背走を重ねて最後にきわどく捕球に成功したら好プレーかと思ったら最初の一歩を間違えたために好選手なら楽々追いついた球が「きわどいプレー」に化けただけ、ということもあります。内野でも、極端なことを言ったら、一歩も動かず手が届く範囲だけ処理していたらエラーの率はがくんと下がりますが、瞬時の判断と俊足で打球に追いすがりきわどいところではじいてしまった(凡庸な選手なら最初から外野に抜けていた)場合には「エラー」となることもあります。つまり、一球一球での捕球プレーだけではなくて、「守備範囲の広さ」と「捕球機会の数」も加味して考える必要があるわけです。さらに、送球やキャッチャーのインサイドワークも考える必要があります。
 ゴールデングラブの選考者は「経験5年以上のプロ野球の記者」となっています。だけど「経験年数」が保証するものって、何です? 「プロの全選手のプレーの質を客観評価する目」が「5年」あれば十分得られる、という保証? もちろん「プレーの質を客観評価する目」を客観評価することは難しいでしょうが、もうちょっとほかのファクターも加えて欲しいなあ。せめて「ちゃんと現場で見ている」こと。たとえば「年間にセパ両リーグの12以上の異なる球場で、1球場あたり最低10試合以上(つまりトータルで年間120試合以上)観戦している」とか。少なくとも「試合をたくさん見ないやつ」に「年間通しての選手のプレーを評価する資格」はないでしょ?

【ただいま読書中】『死霊狩り(ゾンビー・ハンター)』平井和正 著、 角川文庫、1975年、220円

 私は一時平井和正の作品が好きでした。特に好きなのは『ウルフガイ・シリーズ』『サイボーグ・ブルース』『超革命的中学生集団』そして『死霊狩り(ゾンビー・ハンター)』。しかし「SFアドベンチャー」に連載されていた『幻魔大戦』『真幻魔大戦』で彼からは離れました。ついて行けなくなっていたのです。
 『死霊狩り』は「1」しか読んでいなかったのに気がついたのは最近のことです(というか、「1」とついていませんでした)。そこで図書館から「3」まで3冊まとめて借りてきました。久しぶりに、自分の青春時代の日々を思い出してみることにします。
 カリブ海のゾンビー島の密林で、過酷な生存試験が行なわれていました。1丁のナイフだけを手に、猛獣と人工的に設置された死の罠とをかいくぐって4週間生きのびなければならないのです。集められた人間は、高い身体能力と戦闘力、それに驚異的な回復力を基準に世界中から選考された者たちでした。多くは、兵士やテロリストといった“プロ”ですが、その中に“アマチュア”もいました。日本人の元レーサー俊夫です。生きのびるために、なぜか自然に俊夫は“チーム”を組みます。アラブゲリラのライラと中国工作員の林。しかし、この過酷なだけではなくて欺瞞に満ちた試験は、ただの第一次試験でしかありませんでした。
 「試験」の目的は、最強の兵士、いや、世界最高の殺し屋をつくり出すことでした。肉体的能力だけではなくて、精神力と好運を持った超人間の部隊です。訓練生は容赦なく鍛えられ排除されていきます。そして最終試験は、拳銃一丁と弾丸6発で、防弾服を着用し実弾入りのAR15自動ライフルで武装した教官6人を相手に戦うこと。最初に集められた人間は二千人でしたが、最終試験を通ったのは18人でした。俊夫は、左腕と左目を失って、最終試験を通過します。
 地球は地球外生命体ゾンビーの侵略を受けていました。俊夫たちは、そのゾンビーと戦うために選抜され、訓練されていたのです。しかし俊夫はその話を受け入れませんでした。俊夫は日本に帰り、そこで中国特務機関に襲われます。姉と恋人を彼らに攫われた俊夫は機関のアジトを襲いますが、そこで見たのは地球外生命体によって破壊された人体の群れでした。
 なんとも凄惨な作品です。どこにも「救い」はありません。「救い」どころか、正義も大義名分もゼロ。だけど、以前と同じく、読み始めたら止まらなくなってしまいます。さて、第一巻が終わってここから私にとって“未知の領域”です。どんな世界が待っているのか、不安に怯えつつ、ページをめくることにしましょう。




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