世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

交渉⑯

2017-11-05 04:13:36 | 風紋


村人たちが追いかけた。アシメックは後ろを見た。ゴリンゴは困ったような顔をしてアシメックを見た。アシメックは謝った。

「すまない。みっともないところを見せてしまった」
するとゴリンゴは安心させるように言った。
「泥棒なんぞ、ヤルスベにもいる」
「そうか。そっちではどうしているんだ」
「なんとかしようとしているんだがね、逃げるばかりでどうにもならない」
「どことも同じなんだな」

ふとアシメックは、ゴリンゴの後ろから、アロンダが濡れたような目つきで自分を見ているのに気付いた。アシメックは一瞬、困ったなと思った。オラブに、アロンダを見られたかもしれない。

何かはよくわからないが、それがアシメックに一種の不安を感じさせた。ミコルの今朝の風紋占いが、思い浮かんだ。





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