世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

オラブ②

2017-11-27 04:13:20 | 風紋


よいものは大事にせよ、というのはカシワナカの教えだった。神の教えを守り、正しいことをしていけば、人はどんな難しい試練に出会おうとも、必ず最後には勝つことができると。

そんなある日のことだった。

冬も最も厳しい寒さを越え、いくぶん春の気配が感じられるようになってきたころのことだ。

またオラブが出た。

アシメックのところに、シロルという男が訴えてきた。家に蓄えておいた栗の壺をごっそり盗まれたと。オラブに違いないと。

「おれの子供にやろうと思って、たくさん皮をむいておいたんだ。人に見えないところに隠しておいたのに、一体どうやってわかったものか。オラブのやつめ」

「間違いないのか」

「ものがなくなったら、絶対にオラブのせいなんだよ」

アシメックはため息をつき、腕を組んだ。いつまでも放っておくことはできないと思っていたが、とにかく何かをしないわけにはいくまい。そう思ったアシメックはミコルに相談した。するとミコルは、眉間に深々としわをよせつつ、まじないをつぶやきながら、風紋占いをした。




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