世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

みんなの幸せ

2015-06-24 04:24:08 | ちこりの花束

 みんなが、幸せになるためには、一体どうしたらいいんだろう? なんてことを、最近、よく考えます。人中に入って働いていて思ったことの一つは、人間は、結構自分の幸せだけを考えて生きているもんなんだな、ということでした。もちろんその中には私自身も含まれている訳ですが、しかし、中で誰か一人でも、全体の事を考えてバランスをとる努力をしないと、その場所での人間関係は地獄になってしまいます。
 ある閉じた環境の中で、人の利害や欲望がぶつかる時、それを低レベルな争いに発展させて心身の地獄を作らないためには、たくさんの知恵と工夫、忍耐、そして段階と時間が要ります。
 平和を保つ努力というのはこれなんだな、と実感することしきりでした。これに比べたら、勝負を挑んで力の差で相手をねじ伏せて思いどおりにするという手段が、どんなに簡単で頭も労力も使わずにすむことか。しかし、その方法はどうしても後々にしこりを残します。人はプライドを持つ生き物だから、状況次第で反撃に出てまた次の争いが起こるでしょう。それは際限なく繰り返されて、地獄の悪循環が生まれます。そんなことになってはいけない。だとすれば今の自分はどうすればいいのか。自分も社会の一部であることを自覚する大人なら、考えないわけにはいかない。その場所を地獄にするかどうかは、結局そこにいる人間にかかっているのですね。
 人のプライドを尊重しながら、人の気持ちを慎重に読みながら、状況の変化を少しずつ掴みながら、未来を模索し、バランスをとり、その場所の平和と人々の幸福を形作っていく。難しい。平和と幸福は、なんて難しい綱の上にあるんでしょうか。時には、他者に憎まれ、誤解されることも覚悟でやらねばならない。しかもそれが成功するかどうかもわからない。
 けれど、人は、常に新しい時代の風を呼び込むために、それまでの自分ではできなかった新しい努力をしてみなければならないのです。失敗もまた、未来の自分の糧になる。そう信じて、やってみなければならない。
 より多くの人が、平和と幸福を得るために。これからもきっと、たくさんの人が、それを考えていくでしょう。そして、挑戦していくでしょう。経験を踏みながら、少しずつ、時代も人も、変わっていくことでしょう。



(2003年7月ちこり28号、編集後記)






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