「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

晴れきってイーハトーブの蕎麦の花 佐々木博子 「滝」10月号<瀑声集>

2015-10-25 05:25:02 | 日記
 イーハトーブとは、宮沢賢治がふるさとの岩手県の風土を
もとに、心の中にまざまざと思いえがいていた夢の世界「ド
リームランド」のことである。
 そのイーハトーブに旅した作者、その日は空が高くすみわ
たり、これ以上ないと思うほどの好天気の秋の一日である。
「まあ、どこまでも晴れていること」と思わずつぶやいた言
葉が、そのまま句となったのである。てらいのないこの「晴
れきって」が眼目でリズムを生み出している。一読して景が
よく伝わり作者の顔も見える。気分の良い作品となっている。
 晴れきった青い天空と地上の白いそばの花。イーハトーブ
のそばの花は、ことに美しいのである。(庄子紀子)