「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

手を合はす長き一分灼くる雲 酒井恍山 「滝」10月号 <瀬音集>

2015-10-09 03:21:58 | 日記
 「灼くる雲」から八月十五日の敗戦日と読み取る。この日
は日本全国民が、正午の鐘と同時に、いっせいに一分間の黙
祷を捧げるのである。八月は広島、長崎の原爆忌、そして敗
戦忌と祈りの一分が続く。この一分間が「こんなにも・・」
と思うほど実に長く感じるのである。まして炎天下の屋外で
の祈りは殊の外である。
 「滝」俳誌十月号に、同人六人の戦後七十年座談会「私た
ちの戦争の記憶」が掲載された。戦争を知らない世代が圧倒
的に多くなった今日、戦争でいったいどういうことが起きた
のか、若い人たちに正しく伝えていかなければならないと思
う。そのおろそかさを各々が学び、きちんと考えてほしいも
のである。
 掲句「手を合わす」は素直な姿勢が一句となった。(庄司紀子)