「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

老鶯やひかりを弾く谷の水 庄子紀子

2020-09-26 05:16:32 | 日記
橋の上から初夏の絶景を見ている感じのする句。老鶯は漢詩に使われた言葉で、夏になって声に張りのなくなった鶯をいうが、実際には、春よりも鳴声は達者で夏の山河の生気と負けないほど高らかである。谷渡りする鶯だろうか、涼しげに谺して、谷の流れを光らせている。それを「弾く」と捉えたところに初夏の季感が存分だ。両手を広げて存分に息を吸った気分になった。忙しさに負けそうになっている私に活力が蘇ってくるような句。「俳句をやめたら楽になる」、最近思わない日がないほど自分の時間が無いけれど、ガンバルゾと思った。(博子)

薫風ややつと捨てたるぞつき本 鈴木幸子

2020-09-26 04:32:33 | 日記
何にでも言えることだが一旦家の何処かに置いた物を「捨てる」のは難しい。ぞっき本とは、古本・古書市場にて極めて安い価格で売られる新品本だそうだが、本はどんな本でも捨てがたい。それでも整理に取り掛かった作者。人生の中で変わって来た趣味の遍歴を知る事にもなっただろう。くくって捨てて、青葉若葉をそよがせて、さあっと吹いてきた強めの風を全身に受けて爽やかだが、なぜこんな季節に本の整理?。新型コロナウイルスの感染防止対策の外出自粛が背景にあったのかもしれない。今はもう秋。マスクをせずに暮らす日が早く戻ってくるといい。その日のために奔走する方々に感謝しながら、感染防止に努めよう。(博子)

ライオンにかくも大きな夏マスク 鈴木要一

2020-09-22 04:13:18 | 日記
三越のシンボルのライオン像ですね。商いの王者の象徴としての意気が込められているライオン像。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国で解除され、手探りをしながら世の中が動き出した。5月30日に先行して再開した、仙台三越や広島三越でライオン像に白地に赤の三越ロゴというシンプルなデザインの巨大マスクを装着され、好評につき、その後銀座三越でも着用することにしたそうだ。防疫マスクが取れるのはいつになるのだろう。秋彼岸が来るので、前日の朝五時頃お墓の掃除に行ったら、きれいに掃除して花が飾ってあった。「えっ、誰?」と思ったが叔母夫婦と察しられた。お盆にお墓参りに行けないことを詫びる電話があったことを思い出したからだ。連絡を取ったら「東京ナンバーの車はバイキン扱いだから寄らずに来た」とのこと。東京の緊急事態宣言が解除されてすぐに出発したそうだ。旅行好きの叔母夫婦は五ヶ月も何処にも行かず家にいて、隣にある長男家族とも接触を避けていたという。今は、あまり人の来なそうな秘湯を予約して福島にいるとのことだった。80歳になる夫婦の元気が嬉しかったがやっぱり会いたかった。(博子)

はたた神青竹踏みのつぼ図説 及川源作

2020-09-20 04:13:50 | 日記
おもしろい取り合せの句。「青竹踏み」で足裏を思うと、風神雷神図屏風の雷神の足の裏が見えて、図と図の取り合わせかと楽しかった。青竹を踏んで、電気の走るような痛みがあったのかとも想像できる。つぼの反射区図を見ながら不調の臓器・器官を確認している作者でしょうか。それにしても雷は恐いですね。数日前、落雷被害があった。当店は農機を扱っている。稲の刈り取りが始まるので忙しくしている中に「テレビが映らない」「電話が繋がらない」「パソコンが起動しない」「給湯器が作動しない」と家電部門も忙しい事になってしまった。脱線したが作者の不調が深刻でありませんように・・・。(博子)