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水俣病の被害者 司法判断に翻弄されて

2024年03月23日 | 自然・農業・環境問題

「東京新聞」社説 2024年3月23日

 司法は今度は、水俣病被害者の救済への扉を開かなかった。健康被害に苦しみながら高齢化した被害者たちの人生は、異なる司法判断のはざまで翻弄(ほんろう)されている。

 水俣病特別措置法(特措法)の対象から漏れた原告144人が、国や熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めていた訴訟で、熊本地裁は原告の訴えを退けた。同趣旨の訴訟は全国4地裁で起こされ、原告は計1700人以上。初判決は昨年の大阪地裁で、原告128人全員を水俣病患者と認定、国などに賠償を命じており、同じ訴えに対する判断が分かれた。

 特措法では約3万8千人に一時金を支給したが、対象を不知火海周辺の特定地域に絞り、チッソが汚染水排出を止めた翌年の1969年11月までの出生も要件にし、約1万人が救済から漏れた。集団訴訟の原告はそうした人たちだ。

 昨年の大阪地裁は、対象地域外でも不知火海の魚を継続摂取していれば発症しうる▽排出停止後も発症した例がある-として、法の「線引き」を一蹴し、原告全員を患者と認めた。

 一方で、今回の熊本地裁は、水俣病は、不知火海の魚を継続的に多食してからおおむね10年以内に発症すると推認。原告のうち、この条件に合う25人を水俣病に罹患(りかん)していると認定したが、賠償請求権が消滅する除斥期間(20年)が経過していると判断した。残る119人の罹患は認めなかった。

 日本の公害の原点とされる水俣病の救済は、司法が、政治に重い腰を上げさせる歴史だった。

 国は「複数の症状がある」という厳しい条件に基づき、重症の約3千人を患者に認定した。しかし、中軽度の症状に苦しむ人の訴訟が相次ぎ、95年、未認定患者1万人余に一時金を支給して政治決着を図った。その後、最高裁が認定基準を国より緩やかに解釈する判断を示したことを受け、09年、第2の政治決着として成立したのが特措法だ。そこからも漏れた人々の救済の先行きは、大阪地裁判決と打って変わった今回の判決で一気に混迷化した。

 「あたう(できる)限りすべて救済する」と特措法はうたうが、司法判断は揺れ、同法で定める被害地域住民の健康調査すら未実施だ。患者救済に尽くした医師の故原田正純さんの著書名が言う通り、「水俣病は終(おわ)っていない」。公式認定から今年で68年になる。


「ノーモア被爆者」「ノーモア水俣」が危機にある。
ここでしっかりした基礎を築かないとPFASなど次々と現れる「公害」にも対処できなくなることは明らかだ。

良い天気に恵まれ、融雪が進んだ。
ネコヤナギが咲いていた。

今日の散歩道。

 



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