実務家弁護士の法解釈のギモン

弁護士としての立場から法解釈のギモン,その他もろもろのことを書いていきます

譲渡制限特約付債権の譲渡(1)

2018-05-02 09:36:58 | 債権総論
 現行法上、債権はその性質に反しない限り自由に譲渡できるが、譲渡禁止特約という概念があり、譲渡禁止特約付の債権は債権譲渡ができないという構造となっている。ただし、この特約は善意の第三者に対抗することができない。
 この、譲渡禁止特約の効力について、よく、物権的に無効、あるいは物権的効力があるという言い方がされる。どういうことかというと、譲渡禁止特約があれば、債権の譲渡性そのものが剥奪されると考える。したがって、悪意の第三者に対する債権譲渡は、およそ譲渡の効力は生じないのであって、譲渡はされるけれども債務者はこれを無視することができるという相対的な解釈はとらないということである。後者の考え方を債権的効力と言ったりすることがあるが、この債権的効力説は、極端な場合は、譲渡禁止特約はそれ自体あくまで債権者債務者間の債権的合意に過ぎないのであるから、これに違反する債権譲渡も有効なのであって、債務者は債権者に対して合意違反という債務不履行責任を問いうるに過ぎないという極端な解釈まであり得るらしい。

 とはいえども、伝統的に、判例・通説は物権的効力説といわれていた。

コメントを投稿