常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

二月尽

2022年02月27日 | 日記

2月の末になって、これほど市街地や田畑、公園に雪が残っている年も珍しい。2月になって続いた冬型の気圧配置のために、雪が降り続いたためだ。この時期に、自分のブログへの書き込みは、年が明けてもう二月が終わる、二月は逃げるなどの決り文句だ。今年はやや違う。確かに日は過ぎるのが早いことは変わりないが、日々の過ごし方が変わっている。雪の中、今年はウォーキングを励行、日々のストレッチ、快適睡眠への取り組み、口腔ケアなど身の回りのことに多く時間を使っている。雪の里山歩きもいつもの年より多い。そのためか、充実感や達成感のある時間が過ごせたような気がする。

梅二月ひかりは風とともにあり 西島麦南

高齢になって重視すべきは筋肉である。NHKの「みんなの筋肉体操」が話題になったが、高齢になって動きが減ると、比例して体の筋肉も減っていく。筋肉には4つの働きがある。一番目は動くための力を出すこと。二番目は体温の保持だ。筋肉は収縮によって熱を出す。筋肉量が減ると冷え性や肥満を引き起こす。三番目はポンプ機能。収縮によって血液を身体全体に循環させる。そして四番目衝撃の吸収。打撃や衝撃から内臓を保護する役割も担っている。元気は健康の源は実に筋肉にあると言っていい。それを維持するためのウォーキングや山登り、スクワット、ランジなどの筋トレ。今年は今までよりも多くこれらに時間を消費している。終活などで時間を使うよりも、よりよく老後生きるための筋肉貯金に時間を消費しているのは正解である。
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カンカン渡り

2022年02月26日 | 日記
溶けはじめた雪が、朝の冷え込みで凍って堅雪になっている。抜かることのない堅雪の上を歩くことを方言でカンカン渡りと言う。久しぶりの朝の陽ざしを浴びて朝散歩。大坊川の河川敷の親水公園はすっかり雪を被って足跡もない。カンカン渡りで目指したのは、その公園で咲いている筈のマンサクの花だ。家から10分ほどの距離である。気温は陽ざしのなかで上がってきたが、早朝だけに雪は堅く凍っている。目指す赤花のマンサクが、雪の白さに映えている。気になっていた花の咲き始めを見届けてほっこりする。少年のころ、学校への遠い道を、堅雪の上を近道にして歩いた記憶がよみがえる。雪が溶け始める3月、ほんの短い期間ではあった。

睡眠のサイクルが正常に戻り始めた。スマートウォッチの睡眠分析で、初めて良好の評価が出た。就寝9時41分、起床5時9分。睡眠時間7時間25分。深い睡眠2時間37分、浅い睡眠3時間4分、レム睡眠1時間44分。熟睡が64点で標準時間の70点までもう少しになった。目覚めた回数1回、呼吸の質98点。このくらいの睡眠の質が毎日保たれると、今年の目標である睡眠の質向上は達成できる。今まで頼っていた導入剤の使用も、止める方向で量を減らし、1/4錠を1週間続けた。晩酌を止め、まだ20本以上残っている歯を大切にし、運動で戸外に出、疲労を回復する上質の睡眠。こんな生活リズム手に入れることが今年の目標である。

睡眠のサイクルが回り始めて、読書の時間も小間切れながらとれている。散歩で寄るブックオフから、原田マハの文庫4冊を読了。この人の本は面白すぎて寝入りを邪魔することがある。小島直記『老いに挫けぬ男たち』は、この随筆執筆中に2度の癌に冒され、その地獄のような闘病生活のなかで書かれたものである。著者は老いだけでなく、癌に挫けぬ男でもあった。この本から、この期間どれほど力づけられたことか、計り知れない。本棚から探しあてた本には永井龍男『石版東京図絵』、岡潔『日本の心』などの名著。もう一度読み返して裨益されることの大きさを改めて知る。さらにブックオフから樺沢紫苑『アウトプット大全』『行動最適化大全』、堀江貴文『スマホ人生戦略』などは、高齢の日々を暮す有益なノウハウが満載されている。読書とスマホの融合、この時代でなければできない情報活用で高齢の日々を楽しむことができる。
コメント (2)
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冬の火事

2022年02月25日 | 登山
市内の積雪が75㌢と発表された。こんな雪の景色を見るのは久しぶりのことだ。大通りは除雪されているが、小路に入ると、人が歩いた跡は大きくぬかっている。雪が多いと同時に感じるのは火事が多いことだ。最近の火事は、逃げ遅れた人が遺体となって焼け跡で見つかっている。老人はなかなか、火事になっても逃げだせないのだろうか。仮に逃げたとしても、この雪の中で焼け出されると住むところにも困るであろう。木材でできた日本の家屋は火事に弱いうえに、雪途では消防車の出動もままならない。もうすぐ春の火災予防週間が始まるが、火事にはくれぐれも気をつけたい。

永井龍男に『石版東京図絵』という小説がある。永井は明治37年に東京神田猿楽町に生れている。石版というのは、その時代の活版印刷の技術で、家族はは印刷所に勤める印刷一家であった。当時、文字が読めるというのは、少なく印刷所に務めるというのは、庶民でもエリートと言える。小説では、当時の生活風景を活写した興味深い読み物である。「小僧」という章に、大工の子が仲間の棟梁に年季奉公に出て、7、8年も他人の家で大工の修行をするのが慣わしであった。子の名は由太郎といった。奉公中に神田で大火が出て、自分の家が焼失する事件が起きた。大正2年2月20日のことである。神田大火は三崎町で出火、猿楽町、錦町河岸、神保町へと燃え広がり、3,798戸もの家屋が焼失した。奉公先の本郷から、首に風呂敷を巻いて、実家を見に行く場面が描かれている。

「駿河台の降り口まできて、朝夕見馴れた病院の四角の煙突が昼間のような明るさの中に突っ立っているのを眼にすると、駄目だと思った。由太郎は歯を鳴らして、そこから下の火の町を見た。蒸気ポンプが、たゆまず水を吸い上げる音は、人間の動悸とそっくりだった。ホースが何本か坂下へ伸び、横腹から噴水のように水を吹き上げているのもあった。その坂を下って横丁へ曲がれば自分の家だが、由太郎の足はすくんでいた。
「由ッ!」背後からがなりつけられた。」

実家を見に帰った由太郎を追って、奉公先の兄弟子たちが、駆け付けてくれたのだ。坂を走り終えて、一行が見たのは、由太郎の家が灰になった姿であった。火事と喧嘩は江戸の花と言われるが、大正になってもこんなにも悲惨な大火があった。乾燥と強風、燃えやすい家屋と条件が揃った江戸の町は火事を語れば、街の歴史となる。
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葛飾北斎

2022年02月23日 | 登山
今に伝わる「富嶽百景」は北斎、73歳でなした画業である。90歳で没するまで、引っ越しを93回、画号を30回変えた。世に歌麿あり、豊国の名声は響き渡っていた。北斎の名は必ずしも高くはなく、瀧澤馬琴の読み本の挿絵画家を世過ぎの糧としていた。93回もの引っ越しは、年に1回は屋移りをしていた勘定になる。絶えざる自己否定、自己変革がこの人の精神生活でもあった。73歳にして辿り着いた画境が「富嶽三十六景」であった。

一百歳にして正に神妙ならんか、百有十歳にして一点一格にして生くるが如くならん

75歳の時、北斎は絵本「富嶽百景」を出版したが、その序文にある言葉である。そこで述べたのは、この絵の到達点に満足せず、80歳、90歳と進歩を続け、百歳にして神品を、百十歳で生きるが如き絵を描くという気概を示したものだ。八十歳を過ぎた最晩年は江戸を住み捨てて信州に移り、版画家、浮世絵師を捨て去り、極彩色の花鳥画や人物画を描いでいる。

北斎の生きざまを見ると、人間の心は独楽のような存在であることに気づく。安定して生き続けるためにには絶えざる回転が必要になる。老人になってその回転を止めたとき、人の生はそこで止まる。宇宙においても、原始のミクロの世界から大星雲に至るまで回転することで、自然の秩序を保っている。

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雪降り止まず

2022年02月21日 | 日記
雪が止まない。19日の低気圧の中心気圧は1016hpaであったが、北上して三陸沖に達した20日には996pha、北海道に達するころには956phaと大型台風並みの気圧である。このように急激に発達する低気圧は爆弾低気圧と呼ばれる。30m/s~40m/sもの強風が吹き、雪を伴えば、前方が見えなくなるホワイトアウト状態になる。すでに、北海道ではこの強風による玉突き事故、停電のニュースが流れている。まさに冬の嵐である。今年は2度目となる爆弾低気圧の発生である。このような日は、家にいてじっとしているに限る。

雪しまき我が転生のはぐれ海猫 笹沢信

雪しまくは冬の季語、いわゆる猛吹雪である。前方が見えなくなるような吹雪のなかを一羽のはぐれた海猫が吹かれている。飛島で青春を送った笹沢は何度も猛吹雪に見舞われたであろう。吹雪に吹かれて行き場所のない一羽の海猫に、自らの姿を見出している。笹沢の生は、風に吹かれ、日本海の荒海のなかに生き場所を定められないものであったのであろうか。
コメント (1)
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