常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

野いばら

2019年05月31日 | 日記

蕪村が詠んだ茨の句がある。懐かしい句だ。何の変哲もない路、しかしそこには懐かしい故郷の香りがある。

花茨故郷の路に似たるかな 蕪村

 

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朝採り野菜

2019年05月30日 | グルメ

朝、畑に行くのが楽しみである。たっぷりと雨がしみ込んだ畑では、野菜の成長がはっきりとわかる。ズッキーニの双葉から出たなかの葉が、2倍、3倍の勢いで伸びている。疎抜きした小松菜は、すでに再び混みあうほどの大きさになった。玉ねぎの玉も、見た目で分かるほどの大きさに成長した。同時に、雑草の蔓延も半端ではない。スベリヒョウは、畑全体に芽を伸ばし始めている。手がかかっていない畝には、びっしりと雑草が土を覆い隠す勢いである。

大きくなる前の小松菜をビニール袋にひとつ、はつか大根は小瓶でピクルスにする分量。種が飛んで藪の辺りに芽を出したコリアンダーが、食べごろの柔らかさで大きくなっている。花が咲く前に、自家用にできるほど採ってくる。結球した春キャベツ2個。新玉ねぎを二個、葉をネギでたべるようにつけて採ってくる。えんどう豆が、毎日収穫できるようになった。朝、妻が調理した野菜料理がしみじみとおいしく感じる。キャベツがこんなにおいしいものと実感する。

甘藍の一片さへもあまさざる 加藤楸邨

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漱石の漢詩

2019年05月29日 | 詩吟

詩吟の教室は毎週火曜日である。先週に続いて、教室で詩吟を教わっている内に雨が降ってきた。畑で待ち望んでいる雨が、この日に降るのはいいことである。教わった吟題は夏目漱石の「春日偶成」である。明治45年の作品である。この題名で、漱石詩集には5言絶句10首が収められている。教室でのものは、其の一である。

道う莫れ風塵に老いゆと

軒に當りて野趣新たなり

竹深くして鶯乱れ囀り

清昼臥して春を聴く

年譜を見ると、寺田寅彦から頼まれた漢詩、湯浅廉孫から絵を頼まれていたが、湯浅にも漢詩を送っているから、5月24日に作った漢詩は10首の内のものを送ったらしい。吉川幸次郎氏の考察によれば、この10首が一日できたものとは思われない、とされる。風塵はうき世の塵。當軒はベランダに出てみれば。野趣は自然の素朴で健康なおもむき。聴春は吉川博士は、従前の詩人の用例はないと解説している。

この年漱石は46歳、老いという言葉がふさわしい年代ではないが、明治43年の8月には、宿泊中の修善寺で胃から大吐血する大病となり生死の境をさまよった。こんな体験が、この言葉を使わせたのかも知れない。この大病のあたりから、漱石は漢詩を多く作るようになっている。若い時代に親しんだ俳句を離れ、小説の執筆を終えると、半日ゆっくりと漢詩の推敲に時間をかける日が続いた。

詩意に難しいところはない。詩の流れは、漱石の心境をよく映し出しているように感じられる。外は雨だが、初夏のよそおいで玄関先に、ニゲラの可憐な花が咲いていた。

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生物季節

2019年05月28日 | 日記

畑で作業をしていて、カッコウが鳴くのを聞いた。今年初めて聞いたのは、昨日であった。ネットで検索してみると、カッコウの初鳴きは、山形では平年5月19日とある。早い年では、5月10日に鳴いている。野菜の成長や、雑草の勢いが増していくと、カッコウの鳴き声は比例しているように感じる。初鳴きと言っても、私の狭い行動範囲で聞いているだけなので、実際の記録とは大きな落差がある。ホトトギスの鳴き声を始めて聞いたのは、5月25日、福島県の小野市の山中であった。渡り鳥はその年の気象条件で来る時期も異なるが、その声を聞いてやはり夏を感じる。

江戸の村田了阿に「花鳥日記」がある。もちろん、旧暦による記載だが、新暦に直した翻訳がある。これの4月の項を見ると、10日卯の花盛りなり、16日ホトトギスしきりに鳴く、初音なり、26日朝ころころと鳴く鳥聞こゆ。5月に入ると、卯の花盛りなり、月末入谷の合歓咲き初む。などの記載が見える。文化年間の記載だが、東京とここ緯度の違いを考えれば、花や鳥の所見はひと月ほど早いのも納得できる。

夕方になって雨の予報。一週間ぶりにほんの少しだが、雨になる。それにしても少雨、たっぷりと降る雨が欲しい。風と少雨でナス苗とキュウリ苗に被害。苗を補充する。トマトの脇芽の根出し。

 

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初夏の花

2019年05月27日 | 

起てば芍薬、座れば牡丹と唄われているように、芍薬は花の王、牡丹と並び称される。昔からその美しさが愛でられていた。中国から渡来した花であるが、その名を示すように薬用としても用いられたようだ。効能は滋養強壮というところであるらしい。私の生まれた家の庭には、この花があり、毎年春が来て花のつぼみが膨らんでいくのを楽しみにしていた。その脇には、植えたのでもないケシが花を咲かせた。栽培が禁じられていることを知りながら、咲く花を見たさにそのままにしていたようだ。北の国では、寒い冬が去り、花を見るのは大きな楽しみであった。

あけぼのの芍薬にむかひ憂なし 水原秋桜子

この季節、芍薬よりも多く見られるのが紫蘭だ。日本原産のこの花は、千葉県以西の各地の山地などに自生している。栽培も容易で、陽当りのよい庭先に植え放しで、毎年この美しい花を見せてくれる。丸い球根は漢方として用いられ、火傷や止血の治療に利用される。次々と咲く花々、藤村の詩句が思い出される。

梅の花さくころほひは

蓮さかばやと思ひわび

蓮の花さくころほひは

萩さかばやと思ふかな

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