常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

二月尽

2023年02月27日 | 登山
周期をおいてやってくる春は、今日、雲ひとつない青空を見せた。気持ちのいい朝だ。曙の時間は、日が橙色で盆地を包みこんでいた。朝の冷気はあるものの、春のぬくもりが感じられる。早い朝食をすませて、ジョギングに出かけた。2日ほどこの運動から離れていたせいか、走り出しからいきなり心拍数があがり、歩きを余儀なくされる。それでも、距離は2㌔、前回を500m上回った。小川に沿った散歩コースで、南天が実の赤い色を輝かせていた。ヒヨドリが実をもとめて飛び回っている。軽い鳴き声が、ジョギング中の耳に心地よい。

雪原の靄に日が溶け二月尽 相馬遷子

それにしても、二月は過ぎ行くのが早い。暦はいつものように眺めているが、気がつけば、二月が終わろうとしている。昨日は、藤井聡太が王将戦の防衛に王手をかけた。レジェント羽生の頑張りもすごい。若き天才と、タイトル100期をかけるレジェントのぶつかり合いは、目を離せない。三月は6冠と名人挑戦がかかる藤井5冠だ。もうそこまで、前人未到のピークが近づいている。

雲ひとつない青空。葉山がずいぶんと近く見える。こんな空をみていると、思い出すのは谷川俊太郎の詩、「空の嘘」

空があるので鳥は嬉しげに飛んでいる
鳥が飛ぶので空は喜んでひろがっている
人が空を見上げる時
誰が人のために何かをしてくれるだろう

飛行機はまるで空をはずかしめようとするかのように
空の背中までもあばいてゆく
そして空のすべてを見た時に
人は空を殺してしまうのだ

鳥と空の関係。飛行機が空の嘘をあばこうと、空と鳥の調和に介入することはできない。人は空の嘘を、嘘として受け入れなければいけない。
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スロージョギングの可能性

2023年02月25日 | 日記
先日、山歩きのとき、エアロバイクを始めたと話したとき、「何で、そんな必要あるの?」という冷ややかな反応があった。もとより、老体に鞭打つようなことは考えていない。今年は、できるだけ身体を動かす、というのが目標だ。うつむきかげんの姿勢になって、腰がひけたウォーキングは効果がない。骨盤を前掲させて、胸を張った姿勢のウォーキングからスロージョギングへ。

コアウォーキングを教えてくれるのは、ランニングコーチの金哲彦氏の本。第一のポイントは背中。ここでは肩甲骨を引く。胸が張る状態になる。第二は丹田を意識する。身体の中心を意識することで、身体の各部位が安定して動かせるようになる。そして第三、骨盤を前傾させる。この教えに従って歩くと、歩く姿勢がすっとなり、足が自然に前に出る。何か、気持ちいい歩きが実現する。時々、忘れて前の状態で歩くと、足が重い。あわててコアウォーキングの姿勢に戻る。いつの間にか、走ってみたい気分になる。

走りのお供は、スマートウォッチ。今朝、散歩コースをスロージョギングで通してみた。スピードはほとんど歩くと同等。前回は、200mほど走って、間に歩きを混ぜた。今朝は、歩きに変えず、苦しくなるとスピードダウン。終わってみれば、1.5㌔を走り通した。心拍数125が最大だ。昨日のエアロバイクより少ない。中学生のころ、1500m走に挑んだことがあるが、苦しくなって挫折。それから70年、ずいぶん遅いペースとはいえ、はじめてその距離を完走したことになる。目から鱗が落ちる、とはこんな体験である。

80歳を過ぎて、山登りができる身体を手に入れる。これが、当面の目標だ。ひとまず、走りができる身体をステップアップさせる。山登りの練習は山登りとよく言われる。だが老化で衰えた筋肉を維持するには、もう一度原点に戻る。ここに来るまで読んだ本。能勢博『山に登る前に読む本』『筋トレウォーキング』田中宏暁『ランニングする前に読む本』、有吉与志恵『コアトレ』、金哲彦『ウォーキング&スローラン』。そしてジェフ・ライベングッド『体の痛みが消える生活』。すべてブックオフから、100円~200円で入手している。
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おみ漬け

2023年02月23日 | 日記
春めいてくると、食べたくなるのがおみ漬けだ。山形の特産の青菜を、茎はもちろん葉も小さく刻んで、大根やニンジンも加えて、醤油漬けにする。温かいご飯のともとしてうれしい。春めいてくると、少し酸味が加わり、納豆に混ぜて食べるのもクセになるおいしさだ。畑を作っていた頃は、秋まきの種を蒔き、雪の来る前に収穫して、青菜漬けにした。今は、漬物屋さんから買ってくる。葉から漬物する手数を考えると、数百円で買える漬物は、ありがたい。何よりも、混じりけのない手作り感があって、朝の食卓を豊かにしてくれる。

作り置きの塩こうじで、豆腐の漬物も作ってみた。豆腐一丁をしっかりと水抜きをして、両面に塩こうじを塗り、プラスチックの容器に入れて冷蔵庫に置く。3日も経てば、チーズの味に似た豆腐の漬物ができる。豆腐のたんぱく質にこうじの栄養(ビタミン類)がしみ込んで、びっくりするようなおいしさだ。鳥の胸肉も塩こうじにまぶして半日もすれば、柔かくて美味な焼き肉ができる。セロリのサラダを付け合わせにすれば、贅沢な焼き肉になる。食品の値上がりの時代には、知恵と情報を取り合わせて、自分の食卓を安上がりでおいしくする。
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雨水

2023年02月21日 | 日記
24節季の雨水に入ったが、外は見たとおりの雪景色。雪模様の日が続く。やってきたエアロバイクは大活躍だ。雪のちらつくなかを、スロージョギングでブックオフへ。20分のペタルこぎ、2㌔ほどのスロージョギングは身についてきた。心なし、身体が元気になったような気がする。睡眠も最近は、80点以上の指数が多くなっている。ブックオフで黒田三佳『森に暮らす』を買ってきた。著者の肩書は、里山ソムリエである。立春から始まる24節季が、頁建てになっていて、その季節の素敵な写真と里山の暮らしの様子を伝える小文がついている。不思議な親近感を覚えて、本を購入した。

著者は東京の出身。国際線のキャビンアテンダントを経てデンマークの森で暮らし、帰国して米沢の森に移住。譲り受けた1100坪の森、900坪の原っぱと畑。子育てをしながら移住した勇気に心を打たれる。地元のFM局で番組を持ち、英会話の教室や大学で留学生の教育にもあたっている。本の「雨水」のページを開く。雨水は雪が雨にかわっていく季節だが、雪国の米沢では雪原が広がり、朝日がキラキラと光っている。さらに、窓のガラスには美しい氷の結晶が絵のようだ。もう一枚の写真はオニグルミの冬芽のクローズアップ。

黒田さんの家に町内の人が、月に一度、家で作った料理を一品ずつ持ち寄ってランチ会が開かれる。日程が決まると、連絡はメモを持って家を廻る。ネットや電話などは使わない。町内の人と顔を合わせると、「山菜があるからたがってけ」「漬物持っていぐか」という会話が楽しい。裏山の山菜やきのこの食べ方を教えられ、黒田さんは日一日と里山の生活に親しんでいく。里山の魅力に、光りがあたりはじめた。先日の山登りで、脱サラして、農業を始める若者がいる、という話を聞いた。コロナ禍を経て、この国にも新しい生き方を模索する人がいる。黒田さんのような人が、里山に新しいコミュニティを生み出すような気がする。
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笹倉山

2023年02月19日 | 登山

昨日から、好天に恵まれて春を探しに宮城の山へ。大和町の七ツ森の主峰笹倉山に登った。主峰といっても506m、付近には合計7つのピークの七ッ森があり、それぞれに名がついている。山頂には薬師如来が祀られていて、一日で七薬師を巡拝すると、無病息災のご利益があると言われる。もう10年以上前に登ったころは、七つ掛けする近隣の人たちの参拝の姿を見かけたものだ。但し、山形からでは一日七つは厳しく、一度に3~4座で、2回ほどで全座を踏破したものだ。

山の会に新しい顔が加わって、会に新しい風が吹いている。40代のさんは、仙台在住の友達を誘って、登山口で合流。新品の登山靴がいかにも、登山の新人という雰囲気だ。他に、去年長年勤務した東京から定年で帰ってきたUさん、新聞社を勤め上げて、気に入った山形に移住したkさん。この山登りという小さなコミュニティへ、それぞれの個性を加える。若い女性の話は面白い。山小屋の泊まりに憧れ、ベランダで寝る練習。考えも及ばない、自由な発想だ。一度見た北アルプスの景色が頭を離れない、と話す。

古稀のkさんは、しきりにトレイニングを話題にする。そうしている内に、話好きのSさんが、笑いを誘う。一行9名に笑いの渦がまき起こる。老人の独り暮らしでは、なかなか味わえない笑いの渦だ。

ここまでカンジキを履かない。奥に山頂、反対の方角に展望台。陽ざしのなかを登ってくると、汗ばんでくる。フリースの上着を脱ぎ、カンジキを履き、いよいよ急登にとりかかる。精神科医の樺沢先生に、「笑う人は絶対に幸せになれる」という話がある。幸せは脳内に分泌する物質は、セレトニン、オキシトシン、ドーパミンだが笑いはこの三つのを同時に分泌する。特に大勢の人と一緒になって笑えば、その効果は倍増する。

運動でストレスを発散し、笑いで幸福を感じさせる脳内物質を獲得する。こんな、効率のよい老後の楽しみはなかなかない。
展望台から見える七ツ森湖。渓流をせき止めたダム湖だ。暗い杉林をぬけた尾根筋にひらける眺望である。すでに登山道は、雪が融け、やはり春の兆しだ。明日は雨水、もう雪から雨へ。季節のめぐりは早い。
頂上で陽ざしをたっぷりと浴びながら弁当を開く。太平洋へと続く仙台平が広がる。頂上から周遊する下りを選ぶ。数日に降った雪が、下りの道をやさしく包んでくれている。先に下った人たちのトレースを踏んで、ジグザグ道を下る。この山は相変わらず、近隣の人たちに愛されている。幾組の人たちと山中で出会う。長靴を履き、登山の格好をしていない人の姿もあった。やはりここで身体を動かし、お薬師さまにお参りすれば、高齢になっても素晴らしい健康を約束してくれる。
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