まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

『悪の教典』 エークセレーント!

2012-12-17 18:54:37 | 教育のエチカ


映画 『悪の教典』 をやっと見てきました。

小説を読んでいたのですが、まさかこれが映画化されるとは思っていませんでした。

試写会かなにかでAKB48の誰だかが 「この映画嫌い」 と言って、

上映途中で退席したなんていう話が伝えられたりしていましたが、

そりゃそうなるわなと納得せざるをえないストーリーなのです。

私は小説は楽しく読みましたが、そんな私でも映画化されたものを見たいかというと、

ちょっと二の足を踏んでしまうぐらいのインパクトのあるお話でした。

なんせ映画のキャッチコピーが 「クラス全員、皆殺し。」 ですからね。

ま、「よくぞこの小説を映画化した。エークセレーント!」 と言っておきましょう。

私は小説を読んだとき、まったく何の予備知識もなく読み始めたので、最初は、

ただの典型的なナイスガイというわけではない、ちょっと悪知恵の働く高校教師が、

現代の教育現場のさまざまな難問に立ち向かっていくお話かと思っていました。

そうしたら途中からハチャメチャなことになって、最後は 「クラス全員、皆殺し。」 ですよ。

いやあ、ぶったまげました。

倫理学者として、教員養成に携わる大学教員として、

この本を面白いと言ってしまってはいけないのかもしれませんが、

しかしムチャクチャ面白くて、上下2巻本を一気に読んでしまいました。

その小説が映画化されると聞いて、

そもそも小説を読んでしまったあとに映画を見ることに懐疑的な私は、

この映画に実はほとんど期待していなかったんです。

上下2巻本を1本の映画にするのも大変でしょうし、そして何よりも殺戮シーンだらけですし、

ただのグロい、心理描写もストーリーもよくわからないものにしかならないだろうと思っていました。

ところが、先に見た人たちの評判がなかなかよくて、やっぱり劇場で見てみることにしたのです。

たしかに、主人公の蓮見聖司を伊藤英明にしたキャスティングはハマってるなあと思っていましたが、

それだけでなく全体的に小説の映画化としてはみごとな成功だと評価してあげていいと思います。

エクセレントを超えて、マグニフィセントと形容してあげてもいいかもしれません。

ただまあ、だからといってみんなにオススメしたいかというと、やはりそういう映画ではありません。

特にうちのゼミの教員志望のあの子なんかがこの映画を見たら、

自分が途中退場するくらいでは収まらず、

「先生はなんでこんな映画見るんですかっ」 と逆にこっちが怒られちゃうだろうなあ。

あの小説の世界にハマることのできた人にだけこの映画をオススメしたいと思います。

ただ、映画館でビックリしたのは、けっこう女子高生のグループが見に来てたっていうことです。

特に映画の途中で観客の悲鳴が聞こえたり、鳴き声が聞こえたりということはなく、

上映終了後みんな楽しそうに話しながら帰って行っていましたので、

いまどきの高校生ってこれを平気で受け入れられちゃうんだなあと驚きました。

そういう意味では、教員志望の純粋な学生さんはこういう映画を見て、

リアルな高校生の感覚に触れておく必要はあるかもしれませんね。

私としてひとつ心残りなのは、この日曜日、投票したあとすぐこの映画を見に行ったのですが、

できれば、選挙結果が出たあとに見ればよかったなあと思いました。

次々と殺される被害者たちをあの人やあの人たちに重ね合わせて見ていれば、

少しはモヤモヤした気分をスカッとさせられたかもしれません。

いや、やっぱムリかな、いたいけな高校生に、不遜なしたり顔のおっさんをダブらせるのは。

むしろ主人公の薄笑いにダブってしまって、逆に皆殺しにされる気分を味わうことになったかも。

あー、ヤダヤダ(>_<)。



P.S.

小説のなかでいちばん好きなセリフは 「Say,”I am my teacher’s pet.”」 だったんですが、

そのセリフはシーンごと割愛されていました。

グロい場面をここまで映画化したんだから、

エロいシーンも忠実に再現してくれればよかったのに。

残念っ!


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1 コメント

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書き忘れた (まさおさま)
2012-12-18 12:17:50
そういえば書き忘れました。
『神様のカルテ』 読んだときにタイトルの意味が不明だなあと思っていたんですが、
映画化されたときはその意味を解説するくだりが付加されていました。
『悪の教典』 も読み終わって何が 「教典」 だったのかわからなかったのですが、
今回は映画を見ても 「悪の教典」 って何のことかわからずじまいでした。
原作の表紙には 「Lesson of the evil」 という英訳タイトルも記されていて、
それならわかるんだけど、なぜそれが 「悪の教典」 になる?
ぼくだったら 「悪魔の授業」 と訳したいところだけどなあ。
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