まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

がんばろう、東北! 東北学生ダンススポーツ大会

2011-05-04 07:41:11 | ダンス・ダンス・ダンス
今日は盛岡に来ています。
昨年のゴールデンウィークも盛岡に来ましたが、
例年、全東北学生競技ダンス連盟の春大会がこの地で開催されているのです。
しかしながら、今回は開催可能かどうか、開催すべきかどうか、たいへん危ぶまれました。
あんな震災があったばかりですから、はたしてダンスの大会を開けるのか、
開いていていいのか、いろいろと疑問の声があったのです。
連盟委員をはじめとして学生のみんなは相当苦慮したようです。
連盟会長である私も意見を求められましたが、
私としては、みんなでとことん話し合ってどちらにするか納得のいく結論を出してほしい、
やるにせよやらないにせよ苦渋の判断になるだろうけれども、
みんなが出した結論を支持したい、とだけ伝えておきました。
結果的に彼らが出した結論は、被災した学生とそうでない学生とでハンディがあるので、
公式戦として開催するのはムリだけれども、
復興に向かっていくためにもなんとか試合は開催したい、
そのためいつもの春大会としてではなくチャリティマッチとして開催し、
出場する学生のみならず、来場してくださった皆さまから震災復興義援金を募り、
被災地の子どもたちに届けるようにしよう、というものでした。
とても素晴らしい判断をしてくれたなあと、たいへん感激しました。
というわけで、今日はこれから競技ダンス観戦です。
以下は、急遽差し替えでパンフレットに寄稿した、連盟会長の挨拶文です。



           今、東北のダンサーにできること 
  
                                全東北学生競技ダンス連盟会長
                                小野原雅夫(福島大学教授)

 2011年3月11日、私たちは日本人がかつて経験したことのないような大きな災害に見舞われました。東日本大震災。東北から関東にかけて約500㎞もの広範囲を揺るがした莫大なエネルギーの巨大地震と、その直後に襲いかかってきた大津波。これだけでも、それによってもたらされた被害は甚大なもので、失ったものの多さには言葉を失ってしまいます。しかし、災難はこれだけではすまず、福島第一原発が地震と津波の被害を受けて大きく損傷して放射性物質を大量に漏出し、この天災による人災は現在も終熄する気配を見せていません。この原稿を書いている4月12日には、国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル7相当と暫定評価値が引き上げられました。
 さて、本日お集まりの東北学連所属の各大学の皆さん、今日ここにみんなで再会できたことを心から喜びあいたいと思います。それとともに、歴代の先輩の皆さん、ダンス教室の先生方や関係者の方々、大学関係者、また皆さんのご家族ご親戚、知人・友人等を含めて、今回の震災で被災したすべての皆さまに心からお見舞いを申し上げます。どんなにたたきのめされようとも、私たちがこうしてここに居るかぎり、東北は必ず立ち直ります。その日まで、ともに携え力を合わせて一歩ずつ進んでいきたいと思います。
 今、日本全国では、このような惨事を受けてなんでもかんでも自粛というムードが立ちこめています。本日のこの大会も開催するか否か、いや、開催するべき否かについて、みんな相当苦悩したことと思います。たしかに、スポーツをはじめとする文化というのは、余剰という側面があります。日常の生活や生活基盤が確保されていてはじめて、文化活動に勤しむことができます。幸いにも東北学連所属の学生諸君本人が直接負傷するということはなくてすんだようです。しかし、ご家族が被災されたり、実家が損害を被ったりした人がいるという話はうかがっておりますし、また、私たちとは直接関係のない多くの方々が、今この時に帰る家もなく避難生活を続けていらっしゃいます。そんな中で、たまたま助かった私たちがこうしてダンスに興じていていいのか。それは、とても難しい倫理学的問題だろうと思います。
 しかし、私は倫理学者として、こういう時だけれども、あるいは、こういう時だからこそ、チャリティマッチとして競技ダンスの大会を開催しようと決めた皆さんの決断を支持したいと思います。復旧、復興への道のりはとても長く遠いものです。そのゴールの見えない長い戦いの中で、いつまでも縮こまって何もかも我慢しながら生活していくことはできません。人間は文化を必要としてしまう動物なのです。日々の生活から離れた楽しみ、余剰が不可欠なのです。だとしたら、私たちは胸を張ってダンスを踊ろうではありませんか。みんなのダンスを楽しみに見に来てくださった方々がこんなにいらっしゃいます。痛手を受けた東北の地に、私たちの踊りがほんのわずかでも元気と活力を与えることができることを願っています。


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