まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.人生を成功させる秘訣はなんですか?

2009-10-15 20:34:54 | 哲学・倫理学ファック
質問文が長かったので、タイトルでは短く縮めてみましたが、
元の質問はこうでした。
「Q.人によって価値感は違うと思いますが、ずばり、人生を成功させる秘訣は、
 先生はなんだとお考えですか? 倫理学の先生らしい答えをおねがいします。」
うーん、注文の多い料理店ですね。
「ずばり」 と言われても、聞く人を間違えているとしか思えませんし、
「倫理学の先生らしい答えを」 と言われてもなぁ…。
まあいちおう考えてみることにいたしましょう。

まずは問いを問い直すという意味で言うならば、
2つ質問を投げ返すことができるでしょう。

その1、そもそも 「成功」 って何なのでしょう?
どういうことを成功と呼ぶのか、成功したかどうかを測る基準は何なのか、
そういうことがはっきりしていないと 「成功の秘訣」 の話に入ることができません。
ところが、質問文の冒頭ですでに述べていらっしゃいますように、
「人によって価値感は違う」 わけですから、
たぶん人それぞれ 「成功」 のイメージや中身が違っていることでしょう。
お金持ちになることが成功なのかもしれませんし、
お金はそれほど手に入らなくても、
仕事で多くの人から認められることが成功なのかもしれませんし、
女性にモテモテになることが成功なのかもしれませんし、
とにかく何でもいいから有名になることが成功なのかもしれません。
人によって成功の中身がバラバラならば、、
万人に当てはまるような 「成功の秘訣」 もない、
ということになるのではないでしょうか。

その2、そもそも成功ってよいことなんでしょうか?
私たちは成功しなきゃいけないのでしょうか。
成功はそんなに大切なことなんでしょうか。
成功をどのように定義するのであれ、それがよいことか否かも問題にされて然るべきでしょう。
前に 「人生で一番の失敗」 の話をしましたが、
たしかに失敗するよりは成功したほうがいいような気もします。
しかし、失敗もいい経験かもしれないわけで、
何が何でも成功しなきゃいけないということもないかもしれません。
むしろ、成功ばかりを夢見続けて、今の人生を肯定し受け容れることができなかったら、
そのほうが不幸なことのような気もしてきます。
本当に成功するのがいいことなのか、そう問い直してみるのも必要かもしれません。

この2つの問いは提示するだけにして、それに答えを出すことはしないでおきます。
倫理学者というのは、こういうことを考えてしまう人なので、
「ずばり、成功の秘訣をお教えしましょう!」 なんて簡単に教えてくれたりはしません。
聞く人を間違っちゃったね、というのが正直な感想です。
まあ、問いに対して問いで返すというのはまさに、
「倫理学の先生らしい答え」 と言えるのかもしれません。
しかしながら、質問者は実はそんなこともわかった上で、
だから、「先生はなんだとお考えですか」 という言い方で、
個人的・主観的な回答を許容する聞き方をされていたのかもしれません。
だとすると、上記のような、問いに対して問いで返すという方法だけでは、
十分にお答えしたことにならないかもしれません。
そこで、最後にまったく私の個人的な見解をいちおう披露しておくことにいたしましょう。

まあこれも、哲学・倫理学にありがちな概念分析に基づくお答えなので、
言葉の意味から導き出される同語反復的な答え、
つまり、中身はなくて同じことを繰り返しているにすぎない答えなんですが、
それは次のようなものです。

A.成功する秘訣は、ずばり、成功するまで続けることです。

バカバカしく聞こえますか?
でも、これはいろいろな自己啓発書やビジネス書にも書かれている、
けっこう大事な秘訣です。
人生一発で成功することなんてまずありえません。
最初のうちはどうしたって失敗してしまうんです。
失敗したままやめてしまえば、ただの落伍者です。
そうではなく、いくら失敗してもそのたびにいろいろ学び、やり方を変え、工夫をこらし、
そうやって何度でも挑戦し続けて、最後に成功すれば、その人は成功者であり、
それまでの失敗は失敗ではなく試行錯誤であった、ということになります。

よく例に出されるのがエジソンです。
エジソンは長時間点灯し続ける白熱電球を開発しようとして (当時は10時間がせいぜい)、
様々な材料でフィラメントを作りましたが、何度やってもうまくいかず、
なんと 10,000回以上も失敗しました (実際の回数に関しては諸説あり)。
皆さんなら何回ぐらいまで挑戦し続けられますか。
100回やるのもけっこう根気がいるでしょう。
1,000回やってもダメなら、これはもうムリなんだろうと諦めてしまいませんか?
そこでやめてしまえば、ただの落伍者、失敗者です。
最後まであきらめず粘り強く、成功するまで続けられる人のみが成功者となれるのです。
エジソンは最後の最後、京都の竹を使って1200時間以上光り続ける電球を作り出しました。
10,000回のうちのどこかで諦めていたら、この偉業はなしえなかったでしょう。
あなたが 「人生の成功」 をどういうものと捉えているのかわかりませんが、
人生を成功させる秘訣は、それを手に入れるまで続けること、だと言えるでしょう。
最後にエジソンの成功哲学を引用しておくことにします。

「成功するための最善の方法、それはもう一度試みることである。」

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