まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

勉強とは?

2012-10-08 01:22:48 | 教育のエチカ
私の講義科目の第1回目の授業や、中高生相手の講演会で必ず話す鉄板ネタに、
「勉強」 と 「学問」 の違いの話があります。
小中高までは皆さんは一生懸命 「勉強」 してきたと思いますが、
大学では 「学問」 をしてください、という話です。
「勉強」 というのは 「強いる」、「勉める」、
つまり 「ムリして頑張る」 という意味しかありません。
大阪商人が 「勉強しまっせ」 というとそれは
「ムリして頑張って値段を安くまけてあげますよ」 という意味になるのであって、
だからもともと 「勉強」 という言葉には 「学ぶ」 という意味は含まれていないのです。
小中高のあいだは皆さんは 「勉強」 をしてきました。
つまり、ムリして頑張っていろいろな答えを覚えてきたわけです。

それに対して大学では 「勉強」 ではなく 「学問」 をしてください、と言っています。
「学問」 は 「問いを学ぶ」、「問うことを学ぶ」 と書きます。
大学の研究者たちは既存の答えに満足することなく、
問いを学び、問いを発することを学んでいるのです。
だからこそ学問はどんどん進歩していくことができます。
ある答えで満足してしまったら、そこで学問の歩みは止まってしまいます。
与えられた答えで満足するのではなく、自ら問いを発し、
自ら答えを探し求めるという営みを大学ではやってもらいたいのです。

というような話をいつもしてきたわけですが、
この話を補強するエピソードを最近追加しました。
ネットで見つけた 「中国語の意味を知って驚く漢字ランキング」 からのネタですが、
中国語ではまさに 「勉強」 という熟語は 「無理にさせられる、強制される」 という意味らしいのです。
まあ先に見たように、一字ずつ意味を考えればそういう意味であることは明らかで、
むしろ日本語ではなぜ 「勉強」 が 「学習」 の意味をもつようになってしまったのか、
そっちのほうが不思議なくらいです。
小さい頃からフツーに使われ、耳に叩き込まれてきた言葉ですが、
「勉強」 という言葉こそ疑ってみる必要があったのかもしれません。
中国語では 「勉強」 というのは 「強制される」 という意味なんだよと付け足してあげると、
先ほどの私の話はよりいっそう説得力を増すのでした。
大学生の皆さんはたんに期末試験の勉強をしたり、
公務員試験や教員採用試験の勉強をするだけでなく、
ぜひとも 「学問」 をしていただきたいと思います。


P.S.
「中国語の意味を知って驚く漢字ランキング」 には 「勉強」 以外にも、
「挨拶」、「手紙」、「切手」 など、日本語と中国語でこんなに意味が違うのかと、
本当に驚くようなネタが満載ですので、ぜひご一読ください。


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