まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

おとぎの宿 米屋

2011-08-21 19:11:15 | 飲んで幸せ・食べて幸せ
このところのんびり夏休みを取って海外旅行に行ったりなどしていないですねぇ。
2人ともなんだか毎年忙しくて…。
で、お盆の頃は大学も閉鎖されていますし、いちおう数日はまとまった休みを取るのですが、
事前に旅行の手配などしておかないために、
休みがぎりぎり近づいてからとか、あるいは休みに入ってしまってから、
慌てて 「じゃらん」 のホームページで近場の温泉旅館を探したりして、
1泊かせいぜい2泊くらいのプチ旅行に出かけることになるわけです。
今年も完全に後手に回ってしまい、前日になってやっと手配をし、
1泊だけの温泉旅行に出かけることになりました。

ところが、前日の手配にもかかわらず、前々からずっと行きたいと思っていて、
なかなか取れずにいた宿をなぜか取ることができてしまいました。
福島県須賀川市にある 「おとぎの宿 米屋」 さんです。
「じゃらんネット」 上のクチコミ情報でもものすごい高い評価を得ていますし、
福島の高級宿を特集した旅行雑誌などを見ても必ず取り上げられている有名な宿です。
人気が高くて、私たちが行きたいと思う時期には常に満室だったのですが、
やはり震災や原発事故の影響のせいなのでしょうか、初めて予約を取ることができました。
とはいえ、最後の1室が空いていただけでしたので、ギリギリになってキャンセルが出て、
たまたま前日にチェックしてみたのがよかったというだけなのかもしれません。
とにかく念願の宿に泊まれることになりました。

部屋にも露天風呂が付いていて、それとは別に大風呂もあり、
午後と朝とで男女が入れ替わるというシステムです。
このお風呂の評価がめちゃくちゃ高いのですが、入ってみてたしかに納得しました。
アルカリ泉独特のとろーりとした肌触りのお湯です。
否が応でもお肌がツルツルになってしまう感じです。
15時にチェックインして翌日の11時にチェックアウトするまで、
何度もお風呂に入り続けてしまいました。

そして、夕食です。
夕食に関してはあまり情報も得ないままうかがってしまったのですが、
食事もさらに素晴らしかったです。
部屋食ではなく、食事処に場所を移しての夕食ですが、
お食事処も完全に小部屋に分かれていて、他のお客さんのことを気にせずに食事ができます。
テーブルの真ん中には囲炉裏があります。



「おとぎの宿」 と謳うだけあって各部屋もお伽話にちなんで名前がつけられていたりするのですが、
今回の夕食のコースにも 「夏のおとぎ会席 かぐや姫」 という名前がつけられていました。
献立は第1話から第7話までの構成になっており、それぞれにタイトルが付けられています。
第1話は前菜で、タイトルは 「竹取の翁 輝く竹と出会う」 です。
小部屋に通されるとまず最初に次の2皿が持ってこられました。



右側はいわゆるサラダですが、左側はどれも細かい細工が施された前菜です。
献立表にはすべての食材が逐一記されていました。
特にこちらは野菜がどれも美味しくて、
ドレッシングを除いてここまでですでに25種類もの野菜が使われています。
笛の形の細長いお皿にはホントに小さな可愛らしい前菜が盛り付けられています。



写真ではわかりにくいかもしれませんが、
左から2番目の黄緑色の丸いものは一粒の枝豆ですので、
それを基準にすると全体がどれほど小さい作品なのかわかってもらえるのではないでしょうか。
さらに右手前の小皿はこんな感じ↓になっていて、



小さな地竹も1本配されていますが、全体として竹林が表現されています。
そして、これらの前菜をいただきながら日本酒をちびちび飲んでいると、
しばらくしてからこんな竹の切り株をイメージした器が運ばれてきました。



茗荷の衣に包まれた白い百合根のお団子が、輝く竹のなかにいるかぐや姫を表しています。
わあ可愛いと言いながらパクリと一口で頂いてしまいました。

続いて第2話はお造りで、「日々の楽しいくらし」 と題されています。
天然鯛とオアリイカとウニがメインで、どれも素晴らしく美味しくて、
たぶんいずれも相当お値段が張ると思われ、どこが 「日々の楽しいくらし」 なんだという感じですが、
添えられているキュウリにこんな細工↓が施されていて、



手桶の形に作り込まれているのです。
まあ、どっちみちキュウリですから私には関係ありませんが、
この手桶キュウリを客数分作っている人の姿が思い浮かび、ちょっと頭が下がりました。
なお、ウニの向こう側にはマグロコラーゲンという初めて耳にする食べ物もありました。



ほとんど味はしない透明の物体ですが、温泉効果と相まってお肌はさらにツルツルになったことでしょう。
第3話は焼き物で、「想い慕う人々」 というタイトルです。
贈り物をイメージしたこんな箱が持ってこられました。



箱には2段の棚が納められていて、開けると鰻の白焼きと野菜が出てきました。



これをテーブル真ん中の囲炉裏で炭火を使って焼き上げていきます。



手前の棚に入っている枝豆マヨネーズも美味でしたが、
塊の岩塩をその場ですりおろして付けて食べるのが絶品でした。

第4話は煮物で、「花嫁になるためには…」 ということで、
花婿候補に名乗りを上げた若者たちを表しているという説明でした。



夏らしく、煮物ではありますが冷やしてあって、
囲炉裏の炭火でちょっと火照っていたところでしたので、
まさにこういうものが食べたかったのだという、
こちらの気持ちをお見通しのメニュー構成に脱帽させられました。

第5話が主菜のトマトすき焼きで、「月夜につのる思い」 というタイトルです。
郡山特産の采女牛 (うねめぎゅう) とトマトやたまねぎが運び込まれてきました。



満月のまんまるい鍋でニンニクをオリーブオイルで熱し、
そこに半月型のトマトやたまねぎを入れていきます。



それを采女牛で覆ったところにクレソンを添え、すき焼き用の割り下を加えて煮ていきます。



初めて食べる不思議な味で、冬にはぜひうちでやってみたいと思いました。

第6話はお食事で、「月からの使い」 というタイトルです。
なんでこのタイトルなのかもう聞き忘れてしまいましたが、
麦ごはんにぶっかけ野菜 (モロヘイヤや長芋その他の野菜のみじん切りの入ったもの) をかけて、
ツルツルッといただきます。



第5話までですでに十分お腹いっぱいになってしまっていましたが、
この麦ごはんは文字通りツルツルとお腹に入っていってくれました。

第7話は 「輝く未来へ」 というタイトルのデザートです。



辛党の私はデザートには手を付けないことも多いのですが、
トマトゼリーやトマトアイスは甘さ控えめでほのかな酸味があり、
甘いもの嫌いの私でも美味しくいただくことができました。
ドライトマトやドライパパイヤはやはり満月を表現しているのだそうですが、
これらも初めての味わいの、残ったお酒のつまみにもなる感じのデザートで、
けっきょく第5話まででお腹いっぱいと言っていたにもかかわらず、第7話まで完食してしまいました。

もう食べられない、もう動けないと思っていたら、最後にこんな小箱を渡されました。



こちらのメニューは3ヶ月ごとに変わるのだそうですが、
9月からは 「さるかに合戦」 になるのだそうです。
その次のメニューを先取りして柿の絵が描かれています。
お夜食にお部屋にお持ち帰りくださいとのことでした。
部屋に戻ってまたひとっ風呂浴びてから箱を開けてみると、
しその葉に包まれた小ぶりのおにぎりが入っていました。



あれだけ夕食を食べたにもかかわらず、夜が更けてくるとちょこっとお腹が空いたりするんですよね。
非道なサルと非業の死を遂げたカニのことを語り合いながらこのおにぎりも完食してしまいました。

いやあ、噂に違わぬみごとな宿でした。
ぜひとも 「さるかに合戦」 も食べてみたいなあ。
なんだかこれから年に4回くらい通うことになってしまうんではないかと心配です。
ほかにもあっちこっち行ってみたいところはあるというのに…。
でも、新しいところにチャレンジして裏切られるよりは、
安心できるクォリティにお任せしてしまったほうがいいのかなあ?
とにかくまた訪れたくなる宿であることは間違いありませんでした。
須賀川あたりはひどく揺れたらしく、道がまだ陥没したままだったりするところもあり、
まだまだ復興には時間がかかりそうでした。
県外の皆さんもぜひFUKUSHIMA復興のためにこちらを訪れてみてはいかがでしょうか。
ゼッタイにおすすめです。


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