まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

講演会の反省

2010-07-16 17:20:11 | お仕事のオキテ
昨日は柳津中学校での講演でした。
講演会から帰ってきてすぐにある学生たちとの飲み会がありましたので (そのうち書きます)、
昨日はブログを書けませんでした。
というわけですでに予告しておいたとおり、
連続更新記録は367日間で途切れることになりました。
とてもせいせいしたというか、非常にさっぱりした気分です。
何も更新していないというのに250名を超える方々がここを訪れてくださいました。
ありがたいことと感謝申し上げるとともに、
これからもこうしたことがたびたび起こるであろうことをお許しいただければと思います。

さて講演会ですが、今回はちょっと反省点の多い講演会でしたので、
そのことを書き留めておかなくてはなりません。
演題は 「人はなぜ学び、なぜ働くのか」 で、中学校から大学院まで、
果ては5年間勤めた中高の先生方を集めて行われる研修の場でも話しているお得意のテーマです。
そうした慢心が出てしまったのでしょうか、
詰めが甘いというか、ええーっというようなミスの連発でした。

柳津中学校は会津坂下ICから252号線をほんの少し南下したところにあります。
これをえんえんと60㎞以上南下していくと昨年行った只見に行き着きます。
それに比べると柳津は高速下りたらすぐですから、
1時間半もあれば楽勝で着くだろうと余裕のヨッちゃんで出発しました。
地図で見るかぎり柳津中学校も、252号線からほんの少し左に入ったところにあるみたいで、
早く着きすぎたらどうしよう、近くの道の駅でお土産でも買ってようかな、
なんていう心配をしているくらいです。
そんな余裕をかましているうちに順調に柳津に到着し、
道の駅でちょっと用を足したりしながら、「できる大人は5分前行動だ」 と、
ちょっと早めに柳津中学校に向かいます。

ところが252号線からほんの少し左に入る道が見つからないのです。
地図上ではゼッタイこのへんにあるはずだというところに道がありません。
ちょっと通り過ぎてしばらく走ってしまいましたが、
これはどう考えても行き過ぎているはずです。
見落とした道がないかと目を皿のようにしながら引き返しますが、
どこかの民家に入っていくための細い坂道があるくらいで、
それらしい道が見当たりません。
また通り過ぎてしばらく進み、いやこれではゼッタイに戻りすぎだという地点に来てしまい、
再びUターンします。
途方に暮れてもう一度地図を見直し、でもあるべき場所に道はなく、
残るはあの誰かの家に続く私道ではないかと思われる、
細い坂道を試してみるしかありませんが、
ドライバーとしてのカンが、こんな道に突っ込んでいったら、
きっとドツボにはまってしまい立ち往生するに決まっていると警告を鳴らします。
しかたない、ダメだったら得意のバックで下りてこようと覚悟を決めて、
その坂道を試してみることにしました。
けっきょくこの道が大正解で、クルマ2台がすれちがうことのできない細い道ですが、
それがずーっと続いていて、しばらく上っていった先に中学校が現れ、
先生が待っていてくださいました。
これで大幅に時間をロスしてしまい、10分ぐらい遅刻して、
校長室に通されたときにはもう講演開始5分前くらいになってしまっていました。
私のクルマにナビがついていないのも敗因のひとつかもしれませんが、
しかしナビがあったとしてもあの坂道に入るように指示してくれたかどうかは疑問です。
初めて訪れる場所なんですから、地図だけに頼らず、
先方に行き方を確かめておけばよかったと反省しました。
「○○の信号のちょっと先に細い坂道があるから、そこを上ってきてください」
といった言葉をあらかじめおうかがいしておけば、
最初から勇気と確信をもってこの道に突っ込んでくることができたでしょう。
そういうやりとりを怠ったということが悔やまれます。

そんな感じで慌ただしく講演会に臨まなければならなかったので、
平常心で話し始められたわけではなかったというのは確かです。
しかも今回は、演題こそお得意のいつものテーマですが、
父母の方々も臨席されているというのが初めての経験です。
まあその点にはあまり拘らず、中学生相手に伝わることを第1に考えましたが、
はたして講演会の出来はどうだったのでしょうか?
話していてなんだか中学生のみんなのノリが悪いというか、
あまり伝わっていないのではないかという感じがしてなりませんでした。
只見高校や舘岩中学校で話したときのような手応えが感じられないのです。
しかし、いつもいつも話している最中に手応えを感じられるわけではなく、
話しているときは 「ん?」 と思っても、
感想を書いてもらうとちゃんと伝わっていたんだなということがわかることもあるのです。
というわけで、柳津中学校の場合は実際はどうだったのかが問題になるわけですが、
ここでまた痛恨のミスが。

いつもは講演会をするときに必ず感想用紙を配布して、
評点と感想を書いてもらうのですが (ブログやHPで発表していますよね)、
今回、これを書いてもらうことができなかったのです。
前日の教員会議のための原案・資料作りでこのところずっと追われていたというのもあるのですが、
柳津中学校の先生にアンケートをお願いするのを忘れてしまったのです。
感想用紙に書いてもらうというのは、
もちろんこちらが講演の出来をチェックするのに必要なことですが、
それ以上に、聴いてくださった皆さんが感想を書くことによって講演を振り返り、
学びを心に深く刻むという意味でも大事な意味をもつものです。
これを忘れてしまったというのはとても痛いポカでした。
というわけで、実際のところあの講演がどうだったのかはわからずじまいということです。

そして、最大の反省点は、講師紹介されてみんなの前に立った瞬間に判明しました。
昨日は体育館にイスを並べて1年生から3年生までが全員座っていたのですが、
なんと誰も筆記用具をもっていなかったのです。
これには愕然としてしまいました。
何に愕然としたかというと、
聴衆は筆記用具をもっているものという自分の思い込みに驚いてしまったのです。
講演のなかではいつもの 「ありがたい話」 もして、
「人間にとって当たり前のことは何もない」 なんて力説しているくせに、
聞き手が筆記用具をもっているのは当たり前だと私自身が思い込んでいたのです。
今回配布したのは以前にも使っていた資料の、文言をちょっと修正したやつですが、
大事なところは空白になっていて、自分で書き込んでもらうようになっています。
したがって筆記用具がないと、一番肝心なところを埋めてもらうことができないのです。
それに私の資料はマインドマップ形式ですから、
話を聞きながら大事なキーワードや、
自分で思いついたことなどをどんどん書き込んでいきましょう、
なんて言って話し始めるのですが、筆記用具がないと何も書き込めないじゃないですか。
メモを取る、書き留めるという作業をまったくせずに、
ただじーっと座って黙って話を聴き続けるというのは人間にとって至難の業です。
特に中学生は50分間もただ座って話を聴き続けたなんていう経験はしたことがないでしょう。
そんな彼らに50分間集中したまま、ただ話を聴いてもらうなんていくら何でもムリでしょう。
せいぜい可能なのは、お笑いとか漫才くらいでしょうか。
それでもよっぽどの腕がないかぎり、
50分間誰1人あきさせずに聞いてもらうなんていうことはできないだろうと思います。
私の話なんかじゃゼッタイにムリです。

それにしても、こういう事態に陥ってみて、
どれほど自分の思い込みが根深かったかということを思い知らされました。
これまで私も数多くの講演を行ってきましたが、
事前に先方の担当者の方と、
聴衆の皆さんに筆記用具を使えるような条件を整えてもらうことについて、
話し合ったことは一度もありませんでした。
最低限、筆記用具をもっていること、
そしてできればひとりひとりに机かクリップボードなど書くための台があること、
これらは、私の講演を聴いてもらうための必要条件ではありませんか。
今まではたまたま常にそういう条件が整っていましたが、
それは本当にたまたまの偶然で、けっして当たり前のことではなかったのです。
むしろ今までよくぞこういう問題が勃発しなかったもんだと不思議になってくるくらいです。
これからは講演を頼まれたら必ず、筆記条件について打ち合わせるようにしたいと思います。
いやあ長生きしてみるもんですねえ。
今頃になってやっとわかることもあるんだなあと、
深く反省しつつも、新しい学びに感謝したのでした。

これだけのポカが重なってしまいましたので、
柳津中学校の生徒の皆さんにとって記憶に残り、学びのある講演であったか、
はなはだ疑わしくなってしまいました。
本当に申しわけありません。
願わくば、あの50分の苦痛の時間の中に、
ほんの少しでも心に残るような何かを見出してもらえたのであればと思います。
幸いなことに、帰りがけ玄関のところやあの細い坂道を歩いている生徒のみんなが、
私のことを見つけて、笑顔で挨拶したり手を振ったりしてくれましたので、
今回の講演会がものすごくイヤな思い出として残ったわけでもない子たちも、
少しはいてくれたのではないかと思いたいです。
PTA会長さんからこんなリッパな、
あわまんじゅう、栗まんじゅう、梅まんじゅうの詰め合わせを頂戴したのですが、



それを入れた大きな袋を提げて歩いていたら (「岩井屋」 と書かれています)、
1人の男の子が 「それ、うちのお店のおまんじゅうなんだよぉ」 と、
ものすごく得意げに教えてくれました。
君たちのお父さんやお母さんは君たちを育てるために毎日一生懸命働いてくれていて、
しかも、その仕事を通して君たちだけではなくて、
たくさんの人たちに幸せを分け与えているんだよ、
君たちもこれからいっぱい学んで、多くの人たちを幸せにしてあげられるような、
カッコいい大人になろうね、という今回の講演のメッセージを、
彼はちゃんと受け止めてくれていたのでしょうか。
働いているお父さんやお母さんを、
昨日とはほんの少し違う目で見られるようになってくれているといいのですが…。
反省点は多かったですが、今回も心に残る旅となりました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自分の心を守る術 | トップ | 就活支援サークル 「Glow... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

お仕事のオキテ」カテゴリの最新記事